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婚約破棄の顛末

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ふざけんじゃないわよー!切れるマリアゼルに婚約者オービスはアホヅラ下げて婚約破棄を告げた。
「黙れ!ミナティアがいじめなんかしているはずないだろう!!」…どうやらこの馬鹿と召使いの侍女は通じていたらしい。私は呆れて言葉も出なかったわ。オービスは鼻息荒く手紙を取り出した。
それには、私が悪女でミナが被害者だと書かれていたわ。私を陥れるための自作自演だとまで書いてあったわ。
さすがの私も頭にきたから、反論したわ。
すると、オービスは怒り狂ったように怒鳴り散らしてきたわ。
「うるさい!お前のような性悪女の味方をする奴なんてろくなもんじゃない!!俺には分かるんだ!」……なんなのこの馬鹿。もうダメだと思ったわ。こんな馬鹿に付き合ってられないもの。でもね、ここで引いたら負けな気がして言い返したわ。
「あら?そのろくでもない人とこれまで一緒にいたあなたは何なのかしら?」
「俺はミナの恋人だぞ!?」
恋人?笑わせる。本当に頭おかしいんじゃないかって思ったわ。
オービスは私に向かって剣を抜いて斬りかかって来たの。だから私も剣を抜き、剣に魔法を使って返り討ちにしてやったわ。
そしたら喚きながら逃げていったわ。
貧弱野郎が。(スチャッ)剣を戻す音。
あぁ気持ち悪い。思い出すだけで。そういえば、あの男の顔、どこかで見たことがあると思って調べたら、私の友人のストーカーだったのよ。
まったく、何年前からやってるのかしら。キモすぎるわ。
えっ?そんなことよりミナのことを話せですって?………………
わかったわよ。話すわよ。
ミナティアはお得意の嘘を言いふらし、ある貴族の怒りを買いました。そして、断罪されたのです。それはもう凄惨なものでした。
ミナは貴族の家の地下牢に閉じ込められていました。そこには血生臭い匂いが立ち込めています。その部屋の中心には大きな鍋があり、中には人骨と思われるものが入っております。ミナはその中に入れられて釜茹でにされました。彼女の悲鳴は誰にも届くことはありません。
それからしばらくして、ミナの体は鍋から出されました。彼女は全身火傷を負い、顔の形が変わるほど焼け爛れた姿になっていました。
当然のことながら、すぐ彼女は死にました。
えぇ、もちろん彼女が死ぬ前に聞いた言葉があります。それは、「もうしません」「許して」というものでした。
誰に対しての言葉か分かりませんが、初めて反省という心を知ったのね。きっと。
これで終わりよ。
「これが真実よ」


マリアゼルの話を聞き終えた俺は、あまりの内容に声が出なかった。まさかあのオービスと、ミナティアが……。
「ああ、賢明なる美しきマリアゼルよ、ミナティアの最後はいささか悲惨すぎるね」

「嘘よ」マリアゼルはころっと笑った。

「本当は、ミナティアは、ただ牢屋に入れられているわ。今頃は謙虚にお祈りと反省の日々でしょうね。頭を丸めて、囚人服を着せられながら」
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