小学6年生、同級生30人全員を殺した日本の歴史史上最凶最悪の少年殺人鬼が、異世界の12歳に乗り移り、異世界を駆ける!

yuraaaaaaa

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作戦会議

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 ダラムの屋敷へと戻ったジャン達は今、部屋でただただ黙っていた。
 「「「……」」」

 圧倒的な数の差を埋めるだけの作戦を思いつかないからだった。
 部屋にはジャンとジェイド、ジェイドの部下、そして部下にした山賊の中の二人、計五人がいる。

 「相手は父上の奇襲も通用しなかった相手だ。その時、間近で見ていたのはジェイドと部下のグロッセだけでしょ? その結界について、もっと詳しい事は分からないの?」

 「はっ! 俺! グロッセが説明します!」
 「まあまあ……落ち着いて話して」

 「あの時、相手の陣地の中央に何やら大きな杖を持った何人かの集団がいたんです。多分ですが、彼らが協力し合って巨大な防御結界を張ったのではないだろうかと」

 「防御結界の魔法なんて普通は、三、四人程度を守れる範囲しか展開出来ない。一万人もの大軍を守れるほど膨大な魔力を持っているとでもいうのだろうか?」

 「ダル公国だって流石に馬鹿ではありません。今までのような小競り合いではなく、本格的に勝てると見越して今回侵攻してきているはずです。その一つがこの防御結界なのでしょう。私にはこれだけじゃなく、他にも何か用意しているのではと考えています」

 「新しいお頭! 新しいお頭! オイラの舌って長いの知ってた? 見てみて! 鼻の穴に入るんだよ。凄いでしょ!?」
 「分かったらテディ……静かにしてもらえないだろうか」

 「お頭、テディは俺達でさえも頭がおかしいと思っている奴ですぜ? こんな奴そばに置いて大丈夫なのか?」

 そうジャンに話しかけてきたのは、部屋にいる一人の山賊エルガルド。
 スキンヘッドに大きな体格をしている奴である。
 エルガルドとテディを分隊長に任命して、二人に荒くれ共を任せることにした。

 「大丈夫なのかな??」
 (大丈夫だってジャン!)

 (どこからその自信がくるんだよユウタ。なんでテディを分隊長にしたのさ)
 (面白いから!)

 「エルガルドは何かいい案ない?」
 「俺にか? 魔法使いと戦った事ありゃしませんからね。何がなんだかさっぱり」

 「ん~。はてさて、どうしたものか……」
 
 その時、作戦会議をしていた部屋のドアが開き、ベイルと何人かのメイドが現れた。
 「ジャン様、食事を持って参りました」

 部屋には食欲をそそる匂いが充満していく。
 「ありがとうベイル。それじゃあ皆で食事にしようか」

 そういえば、昨日から何も食べていないことを思い出した。
 山賊達にもここまで走りっぱなしで、食事を与えていなかった。
 久しぶりに食べる温かい食事が骨身に染みた。


 「美味しかった! 美味しかった! ワーイワーイ」
 テディが殻になった皿の器とスプーンで太鼓のように音を鳴らし、はしゃいでいた。

 「最悪の状況をどうしようか? どうにかして防御結界を破壊する事が出来ないだろうか……

 (その防御結界って破壊するの大変なのか?)
 (一万人の規模を囲える程なんだよ。相当強力なのは間違いないと思う。こちらもかなり強力な攻撃魔法か、魔法を無力化するような魔法を放たないと破壊出来ないと思う)

 (それじゃあ罠とか待ち伏せとかで迎え討つってのは?)
 (この辺の地域は見晴らしがいい場所がほとんどだから、そういった戦略はほぼ使えないんだよ。罠を仕掛けようにも広大な範囲に設置する必要があるし、そんな時間がもうないよ)

 (なるほどな……)
 「お頭見てみて! オイラの唇ってこんなに伸びるんだよびよ~ん!」

 「ねえテディ、テディは魔法って知ってる?」
 「魔法知ってるよ~」
 「防御結界って知ってる?」
 「オイラ知ってるよ」

 「防御結界を破壊する方法知らない?」
 「ん~、破壊するのは無理だけど、通り抜ける事は出来るぴょ~ん」

 「!?!?!?!?」
 「えっ!? テディ今なんだって!?」

 「いやだからお頭、通り抜ける事が出来るよ~ん」
 片足でクルクル回りながらテディがとんでもない事を口走った。

 「テディ、その通り抜ける方法を詳しく教えてくれない?」
 「お頭オイラにご飯くれたから教えるよ~ん」

 「オイラ、前のお頭によくいじめられていたんだ。その日は寝ている間に土の中に埋められていたんだよ。起きたら土の中で外に出たらなんかいっぱい人間がいたんだよ。オイラはとにかくお頭の所に戻らないとって思って走り出したらいきなり目の前に見えない壁があったんだよ」

 「訳が分からなかったけど、とにかく戻らないと殺されちゃうと思って、土の中に戻って掘り進めてみたんだ~! 少し掘り進めて地上に顔を出したらさっき見えなかった壁を越えていたんだよ。オイラやったぁ~って思ったけど、地上に出たら知らない人達に見つかると思って、そのまま土の中で寝ちゃった」

 「起きたら誰もいなくなってて、お頭の所に戻ったらお頭はカンカンに怒ってオイラのほっぺに棒を突き刺して穴を空けられちゃったぁ~」
 テディがとんでもない情報をフザながら発言した。

 「ちょ、ちょ、ちょっと待ってテディ! それは本当なの?」
 「オイラは嘘付けないでおさる。ウッキッキー」
 テディはそう言って猿の真似をする。

 「ジェイド!! ダル公国がここへやって来る前に、陣を敷くような場所ってある?」
 「……モロヘイヤ平原に陣を敷くのではないかと思います」

 「地図を見て僕もそう思う。よし決めた! 作戦の全貌を伝える!」
 (おいおいマジかよジャン! まさかあんな奴の話を鵜呑みにするのか?)

 (そうだよ。テディの話を信じて賭けてみるよ)
 (嘘だったら終わりだぜ!?)
 (普通に戦っても確実に終わりなんだ。それならまだ賭けごたえがあるよ)
 (おいおい勝負師だな)

 「ジャン様、一体何を考えているんですか?」
 「よし! 全員服を脱げ! 出発するぞ!」


 「おーい! しっかり掘れよ! 時間がないからな!」
 「「「おいっさーー!」」」
 俺達は今、大急ぎて穴を掘り進めている。

 (なあ本当にこれで大丈夫なのか?)
 (もう賽は投げられたんだ引き返せないよ)

 「お頭ーーー! お頭ーー!」
 「テディなんだようるせーな!」
 「おっきなミミズがいたよ」
 「気持ち悪っ!! それと俺の事はお頭って呼ぶなよ」

 「じゃあなんて呼べばいいの?」
 「俺の魔法は医者みたいだからな。これからドクターと呼べ」
 「分かったよドクター! ドクター!」
 「時間がないんだからさっさと掘れ」

 俺達が行う作戦はこうだ。
 ダル公国が陣を敷くであろうモロヘイヤ平原の中心まで穴を掘り進め、駐屯地の真下から地上に出て、奇襲をかけるというものだった。

 テディが言っていたように防御結界が地下に届かないなら有効だが、地下にも届くなら俺達の作戦は全て無駄になる可能性もある。だけどジャンはこの作戦に全てを懸けていた。

 「ジャン様、お休みになられたほうがいいのではないですか?」
 「いいんだよ。とにかく平原の真下に到達しなかったらそもそも作戦の意味がない! 時間がないんだからジェイドも手を動かせ」

 「分かりました」
 交代制で昼夜問わず掘り続けた。
 掘り始めて四日、目的地まで掘り進める事が出来た。

 「ジャン様、ダル公国の進軍具合を見ると、明日の夕刻にはモロヘイヤ平原に到着するそうです」
 「そうか。全員疲れ果てて外で寝てしまってるよね? 起きる頃に合わせて全員分の食事の用意をしといてってベイルに頼んでもらえるかな? ジェイドもしっかり休んで」

 「分かりました」
 ジャンもそのまま床に横になり、泥のように眠りについた。

 目が覚めると外からいい匂いがしてきて、匂いの出処を探していると、屋敷の庭で炊き出しのように大量に食事を作って兵に食事を出していた。

 「今日が運命の日だね」
 (上手くいくといいけどな)

 バタンッ! と強く扉が開いた。
 「ジャン様起きましたか? 予定通りダル公国は夕刻にはモロヘイヤ平原に着くそうです。夜はそこで過ごすと思われます」
 「そうか予定通りだね。ところでジェイド体と顔中が真っ黒で男前が台無しだぞ」
 「それを言ったらジャン様こそ真っ黒ですよ」
 そう言われて見た窓のガラス越しに写った姿は、確かに真っ黒だった。

 「ハハハ。真っ黒だなこれは!」
 「私達だけじゃなく全員真っ黒ですよ」

 「そうだな。食事を終えたら準備を整えよ! 出陣するぞ」
 「はっ!!」

 綺麗な満月の月明かりに照らされた上半身裸の男達が、外にズラッと勢揃いしていた。
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