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新しい部隊と一通の手紙

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 俺は自分の机に足を乗せ、机の向こうには分隊長の四人とリリアの姿が。
 「それじゃあ発表しまーす! リリアにはアウル軍の分隊長になってもらいま~す」
 (急だねユウタ)

 「ちょっと待って下さいよ! いきなり来たこんな小娘を分隊長にするんすか!?」
 グロッセが俺に進言してきた。

 「まあ落ち着きなよグロッセ。リリアには女性部隊を作って欲しいんだ! 女性だけの部隊だ」
 (ユウタ、それ本気で言ってるの?)
 (本気も本気だよ!!)

 「ちょっ、ちょっとジャン様、意味が分かりませんて。女性だけの部隊なんて聞いた事もないっすよ。部隊として役に立つとは到底思えないっすよ」

 「ほう、グロッセとか言ったか。お前は主様の意見に逆らうと言うのか?」
 「ジャン様、私にもそんな部隊を作る意図が分かりません」

 「ドクター。流石に女だけってのは足手まといになりゃしませんか?」

 「皆は反対か?」
 皆を見ると、ジェイドとグロッセ、エルガルドの三人は反対の様子だった。
 テディに至っては話を全く聞いてもいなくて、ペロペロキャンディのように枝の先に刺さった目玉をペロペロしていた。

 (ジャンはどう思うんだ?)
 (今まで女性だけで構成されている部隊なんて存在した事がない。全く予想出来ないってのが正直な感想かな。それに実践で役に立つのかも分からない……)

 「俺さぁ~、この世界で出会ったきた人間の中で、一番強かった人って女の人なんだよね。つまりさ俺の中では男より女の方が強いって認識なんだよ。それに女性だけの部隊ってなんだかカッコいいだろ!?」

 「ジャン様、カッコいいって理由だけでこの女を隊長にして部隊を作るんすか?」

 「俺ってば、三傑と呼ばれていた頃の地位まで昇りつめないといけないらしいんだよね。だから今まで以上に俺も含めて部隊が強くならないといけないんだよ。テディ以外は正直、女部隊の事バカにしてるだろ? だけど、もし作ってその部隊が一番大活躍したらどうなる?」

「お前ら全員、馬鹿にしている女部隊より無能で、男なのに弱くてカッコ悪いってなっちゃうよね。負けてらんないよね? さてお前ら、男の部隊はどうなる? 頑張るしかないよね」
 (なるほど……)

 「それにリリア、女部隊を作って活躍したらどうなると思う? この俺ジャン・アウルが再び三傑と呼ばれるほど活躍したらきっと歴史の書物に記録が残るぜ!? きっとこんな風に書かれるだろうよ」

 「落ちぶれた一傑、再び三傑の座へと舞い戻る。その裏で支えたのは異色の女部隊だった。その部隊を率いていた女性隊長の名はリリア! その可憐な姿と可憐な剣さばきで戦場を駆け抜け、ジャン・アウルを支えたってな!」

 「主様!! それは素晴らしいですな!!」

 「ちょっと待ったぁぁぁぁぁ! ジャン様、俺達の方が活躍してるっすよ? それに今の話は活躍したらって話っすよね? その歴史書には俺が載ってやりますよ」
 「書物に載るなら側近の部隊である私になるでしょう」

 「お前らは分かってねぇな! 山賊達だった俺達が本に載ったほうが話として面白いだろ? 載るんだったら俺なんじゃねえか? なあ!? ドクター」

 「お前らがそれだけやる気があるなら、女部隊位なら増やしても大丈夫だろ?」

 「「「……」」」
 「おったまゲルゲール?」

 「よし決まりだな! じゃあリリアは女だけを集めた女部隊を作ってくれ! 人材も教育も同じ女性であるリリアに全て任せる」
 「はっ! お任せください! 主様の期待に応えられる部隊を作ります」

 「それからアウル軍のユニフォームを作ろうと思うんだけど……」

 「ユ、ユニなんですか?」

 「簡単に言うと、全員お揃いの格好にしようって事。エルガルドとテディの部隊は山賊や盗賊の集まり、リリアは女部隊、ジェイドとグロッセは今までいたアウル軍の兵士だし、皆バラバラだから統一された格好を作ろうって事」

 「それでしたら、私達が今着ていますアウル軍の甲冑が良いのではないでしょうか?」
 「でもさぁ~、その甲冑マジでダサいんだよ……銀色でしょ!?」

 「その問題の甲冑の色なんだけど、全部黒く出来ない? 絶対に黒い方がカッコいいから。それにアウル家のフクロウは夜行性で夜の存在だなんろ? 絶対に黒がいいって!」

 「確かに夜は黒ければ目立ちませんし、黒い甲冑の部隊ってのは、ある意味で目立っていいかもしれませんね」
 「俺も黒ってのは賛成っすよ」

 「私は主様の意見に賛成します」
 「オイラは真っ黒コケコッコ」
 「じゃあユニフォームは早速作ってくれ。じゃあ解散!」

 数ヶ月が経過した。提案したユニフォーム、もとい甲冑は完成し全員が装着して並ぶと、見るからに異形な部隊が出来上がった。

 リリアの部隊も着実に女性兵士を増やしていった。
 俺自身は、相手に心底恐怖を感じて欲しい思いがあった。精神的にも恐怖に追い込まれて、恐怖に歪む顔を見ながら殺すのが最高に気持ちいいのだ。

 その他には、特注で俺が被る般若の仮面を作ってもらった。
 俺は俺であるが俺ではない。

 そんなある日、一通の手紙がジャン宛で届いた。
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