〜鉄塊〜

yuraaaaaaa

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第二章

〜それぞれの画策〜

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 当然クラスの皆は俺の顔を見て笑いをこらえてるのか,何があったのか? と思っているのか分からないが,不思議な顔で見ている。

 山口先生が教室に訪れると,あくびをしながら出席をいつものように取る。
 俺の名前が呼ばれ返事をすると,俺の顔を見た先生が止まった。

 「雄二! お前なんだその顔! 朝から笑わせるなよ! すっげー男前だな!」
 「ハッハッハッハ! 腹いてぇ~」
 そう言ってるが,ずっと笑っている……
 
 事情を知らない恭子には心配される。
 「雄二くん何があったの? 大丈夫?」
 「え? ん~まあ大丈夫だよ! 身体中痛いけど」

 「昨日雷斗と雄二が寮で喧嘩したんだよ! それでこうなったんだよ!」
 「え? そうなの? 顔見たら大丈夫そうではないよね」

 「大丈夫だよ! 心配してくれてありがとう恭子」

 「あぁ~そうだ! 雄二の顔見て笑って忘れる所だったが,今日の放課後冬月大佐の学長室に,雄二と恭子,雷斗と恵それに彩乃の五人が呼ばれているから,放課後に行くように! それじゃあ授業始めていくぞ」

 俺達のチームは大佐に呼ばれたらしい。何があるのだろうか?
  
 俺は今日の授業で座学以外の授業は見学する事となった。
 むしろこの状態で身体を動かしたり,山口先生と組手なんかしたら,今度は本当に死んでしまう! 本当に見学でよかった。

 今日一日の授業が終わり,山口先生が帰り際に,
 「あ! 今日の朝言ったけど,大佐の所に五人ちゃんと行けよ! 行かなかったら私が怒られるから行かなかったらぶっ飛ばすからな! じゃあ今日は解散」

 言われた五人で冬月大佐の元へと足を運ぶ。
 俺は正直昨日の今日で雷斗とは気まずい……

 リーダーである恭子がそんな中,口を開いた。
 「冬月大佐に呼ばれるなんて,私達何か変な事したかしら?」
 「いやぁ~分からないな! とりあえず行けば分かるっしょ!」
 そう返す雷斗。

 「いやぁ~私怖くて行きたくないです……」
 「正直,私も緊張するわ! 冬月大佐に呼ばれるなんて……」
 恵と彩乃がそう言葉を零した。

 冬月大佐が居る学長室の前に着く。
 皆が皆緊張した面持ちで学長室の前に立つ。
 「じゃあ入るよ! いい?」
 「「「「了解」」」」
 
 コンコンコンと恭子がノックする。

 「失礼します! 一年クマさんクラスの藤井です!」
 「入れ!」
 そう言われ俺達は冬月大佐の待つ学長室に入る。

 そこにはいつもより緊張感を漂わせた雰囲気を持った大佐が学長の机に座っていた。
 隣には山口先生も同席していた。
 
 「ご苦労だったな!」
 「いえ! それで……私達にお話があると聞きましたが……」
 恭子が早速本題に入るように促した。

 「ん? 雄二どうしたんだ? その顔は」
 「いえ……特には」

 「昨日,寮で喧嘩したらしいですよ冬月大佐! それで清美さんにぶっ飛ばれたらしい」 
 山口先生が昨日あった事を掻い摘んで説明する。

 「なるほどな! まあいいだろう! それと清美さんを怒らせないほうがいい」

 「まあそれよりも早速だが,君達はなんで最初の野外演習の選抜メンバーに選ばれたと思う?」
 「わからないです……」

 「お前達も分かると思うが,Antsybalとの戦いはずっと続いてる」
 「このずっと続く戦いを終わりに,Antsybalを殲滅する為には現状を変える必要があると私は考えている」

 「一つは学校の授業のカリキュラムの変化だ。今までのカリキュラムより,より適合率が高くなるようなカリキュラムに変更していく事だ。実際にデータを取って,研究してカリキュラムの変化を実験的に今は行っている!」

 「それだけではなく,鉄騎乗りのチーム構成についてもだ! ここに山口先生は鉄騎に乗ってAntsybalを沢山倒した。しかし適合率は決して高くはなかった。彼女が前線で
戦えるようになるまで時間がかかったという。もったいないとは思わないか??」

 「つまり今までのような成績順や適合率でチームを考えるのではなく,Antsybalとの戦闘に強いチーム作りとしようという動きを私が始めたのだ!」

 「担任の先生の意見と私の意見と独断で選んだ人をチームとして組んでもらっているのだ。それは一年生に限らず二年も三年生もだ! 東雲会長のチームが最初に私が選んだチームなんだ。上手く結果を残してもらっているので嬉しい限りではある」

 「特に一年生のクマさんクラス,ウサギさん,ゾウさんクラスは特にAntsybalを殲滅特化のメンバー構成にしている為に癖が強いことは確かだが,他のクラスのチームは結果を残している」

 「私が呼んだのは,君達のチームには正直結果を残してもらいたいという事だ。しかし,君達は最近全くと言っていいほど,結果を残せていないと聞く」

 「はい……上手くはいってないです……」
 「財前がいなくなった事でチームとして難しくなったのも分かる。分かるが,このままだと君達のチームは解散する事になる」

 「クマさんクラスのメンバーは新たにまた選抜し直す事になる! だから君達が今のメンバーのまま任務に行きたいなら,このメンバーで財前の かたきを取りたいと思っているのだとしたら,まずは演習できちんとした結果を残してくれ!」

 となりで静かにしていた山口先生が話す。

 「あぁ~お前ら,大佐はこう優しく言ってるが,大佐が選んだメンバーというのは,今までの常識じゃない選出の仕方をしているだ。だから軍の上の方からも面倒くさい事を色々言われるんだよ! そいつらを黙らすには結果しかないだろ??」

 「いいか? 恵と雷斗,そして雄二が選ばれるなんて文句が出ないわけがないだろ? 恵は鉄騎に乗ると暴走する。雷斗は普段の授業や成績は悪い。新しく来た雄二がいきなり選抜される! 普通に考えてありえないし,今までだったら絶対に選ばれない」

 「だが,お前達のチームは個人,個人として鉄騎の能力だけ見たら一年全体でも,いや学校全体でも強いと思っている。お前ら自身が自覚しているし,体験しているから分かっていると思うが,チームとして実力がどうか? が一番大事だ!」

 「Antsybalとの戦闘はチーム力が大事だからな!」

「大佐も私もお前達ならAntsybalとの戦闘で、今までになく殲滅ができるようなチームになると思っている。でも今のままだとそういうわけにはいかないって事だ」

 大佐と先生の一通りの話を俺達は黙って聞いた。
 恭子がふいに発言をする。

 「冬月大佐の話しはわかりました。つまりはAntsybalを殲滅する為に周りの意見や今までの常識ではなく、特別に選んでくれたって事ですよね! だからこそ結果を出して周りを納得させてほしいって事ですよね」

 「まあそういう事になるな」
 「今日呼んだのはそういう事だ。分かってるみたいだな」
 「今日は急に呼んだりして悪かったな。もう帰って良いぞ!」
 
 「「「「「「失礼します」」」」」
 俺達は学長室を後にした。

 皆何も喋ろうとしなかった。
 俺は正直どうでもいいと思っていた。

 恭子の提案で一度教室で話し合う事になった。

 「皆は大佐の話どう思った??」
 「結果をだしゃあいいんだろ結果を」
 一番最初に発言したのは雷斗だった。

 「私は怖いですよ……解散するならもう鉄騎乗らなくていいんですよね?」
 
 「私は……皆の意見に賛成しますけど……」
 良い意見が出てくるような様子もなかった。

 「私の素直な意見を言ってもいい?」
 「正直このチームを立て直すなら雄二くんの力しかないと思ってる」
 「それ以外にない!」

 「なんで……皆して俺に頼るんだよ!」

 俺は何故か無性に腹が立った。皆は俺が違う世界の日本から来たことは知らない。
 ここにいる皆とは全く違った人生の過程,世界の過程を歩んだ事は知らない。
 そんな俺に死ぬかもしれない戦いで期待する,頼るなんて正直荷が重い。

 元々居た世界の日本で,バスケット部だった俺が監督にお前がこのチームの柱なんだ! だから頼むぞ! なんて期待されたり,チームメイトから期待されたら張り切っていただろう。

 しかしこの世界では違う!
 俺はここにいる皆の命を背負えるほどの覚悟も勇気もない。
 そんな俺に恭子も雷斗も何期待してるんだか……。

 「雄二くん以外の他の四人は,昔から皆一緒で,皆がどういった人間で,どんな鉄騎の扱いをするのか,特徴や特技など適合率も含めてはっきりしているわ」
 「でも雄二くんは未知で,まだまだ可能性を秘めている事が多いのが理由の一つ! 適合率が高い事も理由の一つ!」

 「俺じゃなくても恭子の方が向いているんじゃないのか? 頭も良いしリーダーだし!」 

 「私だとどうしても,恵ちゃんや彩乃ちゃんに遅れをとってしまう。また鉄騎でしたいことがあっても具現化出来ないから,どうしても限界があるのよ」

 「でも雄二くんなら適合率も高いから,自分が思い描く通りに鉄騎も反応してくれるはず。この個性の強い皆の力に対応出来る可能性を秘めているのは雄二くんしかいないと思う」

 「俺も藤井の意見に賛成だし,俺もそう思ってる」
 「おい! 恵は本当の所どう思ってるんだよ!?」

 「私ですか……? 私は雄二くんに頑張ってほしいです……」
 「彩乃ちゃんは何か意見ある??」
 
 「私は皆の意見に,リーダーの藤井さんの意見に賛成させてもらうわ! それでもやはりこのメンバーで進化する為には雄二さんの力は必要だと思う」
 「後は雄二くん自身はどうしたいの??」

 「俺は……正直財前の代わりなんて出来ない……悪いけど。俺帰るから」
 そのまま俺は逃げるように教室の外へ出て,寮へと帰ろうとした。
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