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第一章 覚 醒
四 先ずは状況把握
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「リルア、起き上がれる?」
お兄様に私の右手は優しく包み込むように握られた。その顔は幼いながら美しいとしか言いようのないものだった。美少年過ぎる。
そもそも私達の先祖にはエルフ族とかの血が混ざっていると言い伝えられていて、我が王家の一族はそのため儚げで美しいと称えられていた。
フォルティスお兄様が心配して覗き込みながら私の手を握り締めいる姿を見て、
――尊い。という感情が沸き上がってくる。間近に見て目がちかちかするぐらい。
もうね。光の勇者になるのが分かるくらい神々しい。でも、多分私の見た目もこれに近い。今はきっと見た目詐欺になっている。
もし、本当にこの世界がゲームを準えているならいずれは……。
でも、この美しい国や人々を滅亡させられるのは絶対嫌だ。だって、今までのリルアとしての記憶もばっちりあるものね。このゲームをしていたとかいう変な記憶も甦っちゃったけど。
それから、フォルティスお兄様から、遊戯室で倒れたと口裏を合わせるようにと言われたので黙って肯いた。あの書庫は王立図書館と違って入室禁止のところだったからだ。そうしていると、侍従長達が私達を呼びにきた。
「――さあ、王子様方、そろそろお茶会が始まりますよ。会場へいらしてください」
「すぐ参ります。じゃあ。行こう。リルア」
「ええ」
私はお兄様の手を取って一緒に広間へと向かった。後には私達の側仕えも続く。その中にはお兄様の護衛騎士見習いの一人であるバルドが直ぐに私達に付き添った。でも彼はあのゲームの中にいない。
次いで魔術師見習いのマドラが並ぶ、彼はお兄様の友人兼将来の側近的存在である。それに彼はゲームの中では滅亡の際にリルア王女と一緒に逃亡するあのサブキャラなのだ。
ゲームの設定の彼は主家の姫に恋心を抱いてしまい、じっとその想いを我慢して健気に尽くすエピソードや命を賭して守るイベントがあって、結構人気があったのよね。
でも、実際はどうかしらね。彼は裏では少し横柄なところがあって、私は少し苦手。
それから私の侍女達。二つ上のいつも明るいアナベル。そばかすが気になるお年頃で、私は姉のように慕っている。勿論ゲームの設定ではいないけれど、オープニングムービーの多分リルアの後ろにいたモブに似ている。
あとはお兄様と私の筆頭護衛騎士のガラハド。彼はもう大人で私達のお目付け役という感じ。彼もゲームの設定には出てこない。
実際には他にも沢山の人々が城で働いている。
今回は城の中庭でのガーデンパーティの形式でお茶会は行われた。お茶会といっても王家とごく親しい方々を招いてのものだった。それでも国の主だった人々が参加してた。
「ごきげんよう。皆様。いつも王国を支えてくださってありがとう。今日は楽しんでいってくださいな」
お母様が主催なのでご挨拶をなさるとお茶会は賑やかに始まった。
会場には王族派の貴族の令夫人とその子女が集まっていた。
私は今は八歳になったところで、フォルティスお兄様は二つ上なので十歳。
お茶会は私達の昼の社交といったところ。
私は顔馴染みのご令嬢達とおしゃべりをし始めてそれなりに楽しい時間を過ごしていた。
ふとこの会場で楽し気に歓談する人々を眺めながら、改めてこの国のことを考えてみた。
このエイリー・グレーネ王国は王政が敷かれ由緒のあるとても美しい国である。国土の広さと国力は中規模くらい。その辺りはあのゲームの知識と変わらない。
そして、この国の西方にはどこの国の領域でも無い深い樹海があり、この奥の地下の穴から魔物が生まれ湧いて出てくるという。このモンスター討伐が目当てで冒険者が集まり、我が国はそれらの収益で潤っていた。
どうも樹海の奥に魔物の国と繋がった洞穴があると言われているのよね。ひょっとして地下迷宮(ダンジョン)の一つでもあったりしてね。それに樹海のまだ奥にはエルフの里があったと言い伝えられていた。現在はエルフ族はここより海洋諸国にある聖地へと移住してそこで暮らしている。
北には踏破が難しい霊峰と断崖を備え、東には荒野と湿原があってそこにも国が幾つかあった。それらを分断するように流れる大河があり、南に行くと大海に面している。この国はある意味難攻不落な土地だから、他国の侵略にも耐えてこられたのだろう。
東の荒野を抜けた先にもエイル海と呼ばれる海があり、そこに海洋諸国がありその島の一つが聖地と呼ばれ聖女や神官がいる。更にその先の東の大陸には魔導帝国があるのよね。そこはエードラム魔導帝国と呼ばれて、実はそこの皇帝も初期メンバーでゲームのパッケージでお兄様の右側に大剣を構えて描かれている美青年がそう。
彼は黒髪長髪に紅い瞳の超絶美形。細マッチョな彼から繰り出される大技は天地を揺るがすほどの威力がある。なんたって空中を舞うのよね。
そして、魔道帝国と呼ばれるの所以は魔力を動力とする機械を魔道具と呼ばれ、その魔道具の開発を一早く取り入れて強化してきた国だったからである。
その魔道具でこの世界の覇者になったエードラム魔導帝国の皇帝であり、更には大剣の達人で剣聖とも称えられるほど。でも気を付けないと彼は選択肢によっては闇の神に従う闇落ちするシナリオもあるという。
そして、ゲームの設定から、このエイリー・グレーネ王国はこれから十年後、即ち私が十八歳で兄が二十歳のときに闇の邪神に堕ちた国々の軍勢とモンスターによりこの国は侵略される。
いいえ、侵略というのは生易しい。闇の軍勢が攻め入ると同時に西の樹海の洞穴からはモンスターの暴走(スタンピート)も起きたため国土には草木一本残らないような悲惨な滅亡を迎えるのだった。
私は美しい城内を見るとはなしに眺めながらその滅亡をどうやって回避させようかと考え始めた。
お兄様に私の右手は優しく包み込むように握られた。その顔は幼いながら美しいとしか言いようのないものだった。美少年過ぎる。
そもそも私達の先祖にはエルフ族とかの血が混ざっていると言い伝えられていて、我が王家の一族はそのため儚げで美しいと称えられていた。
フォルティスお兄様が心配して覗き込みながら私の手を握り締めいる姿を見て、
――尊い。という感情が沸き上がってくる。間近に見て目がちかちかするぐらい。
もうね。光の勇者になるのが分かるくらい神々しい。でも、多分私の見た目もこれに近い。今はきっと見た目詐欺になっている。
もし、本当にこの世界がゲームを準えているならいずれは……。
でも、この美しい国や人々を滅亡させられるのは絶対嫌だ。だって、今までのリルアとしての記憶もばっちりあるものね。このゲームをしていたとかいう変な記憶も甦っちゃったけど。
それから、フォルティスお兄様から、遊戯室で倒れたと口裏を合わせるようにと言われたので黙って肯いた。あの書庫は王立図書館と違って入室禁止のところだったからだ。そうしていると、侍従長達が私達を呼びにきた。
「――さあ、王子様方、そろそろお茶会が始まりますよ。会場へいらしてください」
「すぐ参ります。じゃあ。行こう。リルア」
「ええ」
私はお兄様の手を取って一緒に広間へと向かった。後には私達の側仕えも続く。その中にはお兄様の護衛騎士見習いの一人であるバルドが直ぐに私達に付き添った。でも彼はあのゲームの中にいない。
次いで魔術師見習いのマドラが並ぶ、彼はお兄様の友人兼将来の側近的存在である。それに彼はゲームの中では滅亡の際にリルア王女と一緒に逃亡するあのサブキャラなのだ。
ゲームの設定の彼は主家の姫に恋心を抱いてしまい、じっとその想いを我慢して健気に尽くすエピソードや命を賭して守るイベントがあって、結構人気があったのよね。
でも、実際はどうかしらね。彼は裏では少し横柄なところがあって、私は少し苦手。
それから私の侍女達。二つ上のいつも明るいアナベル。そばかすが気になるお年頃で、私は姉のように慕っている。勿論ゲームの設定ではいないけれど、オープニングムービーの多分リルアの後ろにいたモブに似ている。
あとはお兄様と私の筆頭護衛騎士のガラハド。彼はもう大人で私達のお目付け役という感じ。彼もゲームの設定には出てこない。
実際には他にも沢山の人々が城で働いている。
今回は城の中庭でのガーデンパーティの形式でお茶会は行われた。お茶会といっても王家とごく親しい方々を招いてのものだった。それでも国の主だった人々が参加してた。
「ごきげんよう。皆様。いつも王国を支えてくださってありがとう。今日は楽しんでいってくださいな」
お母様が主催なのでご挨拶をなさるとお茶会は賑やかに始まった。
会場には王族派の貴族の令夫人とその子女が集まっていた。
私は今は八歳になったところで、フォルティスお兄様は二つ上なので十歳。
お茶会は私達の昼の社交といったところ。
私は顔馴染みのご令嬢達とおしゃべりをし始めてそれなりに楽しい時間を過ごしていた。
ふとこの会場で楽し気に歓談する人々を眺めながら、改めてこの国のことを考えてみた。
このエイリー・グレーネ王国は王政が敷かれ由緒のあるとても美しい国である。国土の広さと国力は中規模くらい。その辺りはあのゲームの知識と変わらない。
そして、この国の西方にはどこの国の領域でも無い深い樹海があり、この奥の地下の穴から魔物が生まれ湧いて出てくるという。このモンスター討伐が目当てで冒険者が集まり、我が国はそれらの収益で潤っていた。
どうも樹海の奥に魔物の国と繋がった洞穴があると言われているのよね。ひょっとして地下迷宮(ダンジョン)の一つでもあったりしてね。それに樹海のまだ奥にはエルフの里があったと言い伝えられていた。現在はエルフ族はここより海洋諸国にある聖地へと移住してそこで暮らしている。
北には踏破が難しい霊峰と断崖を備え、東には荒野と湿原があってそこにも国が幾つかあった。それらを分断するように流れる大河があり、南に行くと大海に面している。この国はある意味難攻不落な土地だから、他国の侵略にも耐えてこられたのだろう。
東の荒野を抜けた先にもエイル海と呼ばれる海があり、そこに海洋諸国がありその島の一つが聖地と呼ばれ聖女や神官がいる。更にその先の東の大陸には魔導帝国があるのよね。そこはエードラム魔導帝国と呼ばれて、実はそこの皇帝も初期メンバーでゲームのパッケージでお兄様の右側に大剣を構えて描かれている美青年がそう。
彼は黒髪長髪に紅い瞳の超絶美形。細マッチョな彼から繰り出される大技は天地を揺るがすほどの威力がある。なんたって空中を舞うのよね。
そして、魔道帝国と呼ばれるの所以は魔力を動力とする機械を魔道具と呼ばれ、その魔道具の開発を一早く取り入れて強化してきた国だったからである。
その魔道具でこの世界の覇者になったエードラム魔導帝国の皇帝であり、更には大剣の達人で剣聖とも称えられるほど。でも気を付けないと彼は選択肢によっては闇の神に従う闇落ちするシナリオもあるという。
そして、ゲームの設定から、このエイリー・グレーネ王国はこれから十年後、即ち私が十八歳で兄が二十歳のときに闇の邪神に堕ちた国々の軍勢とモンスターによりこの国は侵略される。
いいえ、侵略というのは生易しい。闇の軍勢が攻め入ると同時に西の樹海の洞穴からはモンスターの暴走(スタンピート)も起きたため国土には草木一本残らないような悲惨な滅亡を迎えるのだった。
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