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第一章 覚 醒
十一 穏やかなとき
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王宮に帰る馬車の中で、
「ガラハド、早速だけど冒険者アスランとやらの身元の確認をして欲しい。東の大陸の砂漠国ジプラなら時間がかかるかもしれないが、一級冒険者ならそれなりに情報も集まるだろう」
「はっ。畏まりました。至急調べさせます」
――多分、大丈夫だと思うけどね。それに何も不審なことは出てこないか、エードラム帝国の皇帝だと判明するかも。
「護衛に、側仕え、人員の配置は本当に難しい」
お兄様が額に手をやった。
「そうですわね。それでもお兄様はいつも最善を尽くされていますわ」
私がそう言うとお兄様は少し驚いた様子だったが、くしゃりと破顔した。
――本当に大変だと思う。王子様とかは煌びやかに見えても、お兄様は勉強して国のことを考えてらっしゃるものね。私も子どものままだったら、きっとそんな努力には気がつかなかった。
「ありがとう。いつもそうなるように頑張るよ。リルアに尊敬される兄でいられるように」
「ええ。いつも敬愛いたしておりますわ」
お互い視線を合わすとくすりと笑いあった。
そんな他愛もない家族との穏やかなやり取り、それがとても愛おしく感じるのは私が二度目の人生だからかもしれない。失いたくないな……。
思い出されるのは炎に包まれて崩れ落ちるエイリー・グレーネ城。それが私の脳裏を翳めていた。馬車の中から見える街並みも整っていて、他国からは宝石のようだと街と称されている。この街もできれば守りたい……。
城に着くとバルドが出迎えてくれて、ガラハド卿は騎士団やお父様に報告に向かう。
「お疲れさまでした。大神殿ではいかがでしたか?」
「ああ、無事リルアの封印は解かれたよ」
「そうでしたか。ではこれから魔術の時間は少しは進みますね」
「それについては、実は司祭長がリルアのために指導者を派遣してくださることになった。城の礼拝堂に新しく派遣される。ファルクという者だ。あとリルアの護衛候補に推薦されたアスランという一級冒険者の身元の調査もしておいてくれ」
「お兄様、ファルクもアスラン様のように身元を調べるということですか?」
「勿論だ。残念なことに僕達の周の者はいつも危険に備えなければならないんだよ」
お兄様が私の問いに穏やかに答えてくれた。
「で、では他国の者が側にという場合には」
「それは少し問題になるよ。慎重にね」
――うふぁ。そうですよね。アスランの身元は何処まで判明するのだろうか。もし、エードラム帝国の皇族だっと分かっても護衛を頼むのかしら。
でも彼はまだ十六歳、設定ではまだ皇帝では無かったはず。まだ皇太子かもしれない。だから、冒険者なんてしているのかも。そんなの公式設定には無かった。でも、どっちにしてもエードラム魔道帝国の皇族だとバレれば面倒なことになりそう。
別にうちのエイリー・グレーネとエードラムは敵対などはしていない。寧ろ交友国。ただ大海を隔てた大陸だからそう交流は無かったと思う。
何せエイリー・グレーネにはモンスターの沸く西の樹海があるから各国から冒険者がそれを目当てに集まってくる。
私達は部屋に戻るとお兄様は剣術の練習に私は音楽の練習の時間になっていた。
「私も剣を、是非。音楽なんて何にも役には立たないわ」
「駄目だよ。リルアには危険だし、それに……」
「むうう。ちょっとだけ、ほんの切っ先だけでも」
「なんだよ。切っ先だけって。くくく」
――くっ、ダメか。
「リルア様。楽の音は祭事には必須でありますよ。そして、それも力となります」
バルドがにこりと微笑んだ。確かにこの薔薇伝の設定なら、よく楽師の出番はあった。魔術には何とかの歌とかついてる術名もあったし。例えばモンスターを一斉に眠らせる眠りの歌は闇魔術で光魔術の英雄の歌なんかは全員のステータスをアップするのでボス戦には必須だし。海を渡るときセイレーンの誘惑の歌に対抗できる歌も水魔術のものだった。そういうイベントもあったような気がする。
「まあ、そうね。補助魔法も使えた方が良いかもしれないわね」
私は子ども用区画にある音楽室へ向かった。ここではダンスや音楽の練習をする。
「笛は神事の神降ろしに必要なものです。他には竪琴で魔力のこもった歌も十分脅威となりますよ」
神事は国で行う様々な祈願のことで、ここエイリー・グレーネでは王族と大神殿の司祭長とで行われる。ほら、新嘗祭とか平癒祈願とかのような感じ。
バルドとアナベルを控えて私は音楽の先生に吹き方を習った。今日は横笛。指の押さえから習った。奏でるまでにはまだまだ先は遠い。
「ガラハド、早速だけど冒険者アスランとやらの身元の確認をして欲しい。東の大陸の砂漠国ジプラなら時間がかかるかもしれないが、一級冒険者ならそれなりに情報も集まるだろう」
「はっ。畏まりました。至急調べさせます」
――多分、大丈夫だと思うけどね。それに何も不審なことは出てこないか、エードラム帝国の皇帝だと判明するかも。
「護衛に、側仕え、人員の配置は本当に難しい」
お兄様が額に手をやった。
「そうですわね。それでもお兄様はいつも最善を尽くされていますわ」
私がそう言うとお兄様は少し驚いた様子だったが、くしゃりと破顔した。
――本当に大変だと思う。王子様とかは煌びやかに見えても、お兄様は勉強して国のことを考えてらっしゃるものね。私も子どものままだったら、きっとそんな努力には気がつかなかった。
「ありがとう。いつもそうなるように頑張るよ。リルアに尊敬される兄でいられるように」
「ええ。いつも敬愛いたしておりますわ」
お互い視線を合わすとくすりと笑いあった。
そんな他愛もない家族との穏やかなやり取り、それがとても愛おしく感じるのは私が二度目の人生だからかもしれない。失いたくないな……。
思い出されるのは炎に包まれて崩れ落ちるエイリー・グレーネ城。それが私の脳裏を翳めていた。馬車の中から見える街並みも整っていて、他国からは宝石のようだと街と称されている。この街もできれば守りたい……。
城に着くとバルドが出迎えてくれて、ガラハド卿は騎士団やお父様に報告に向かう。
「お疲れさまでした。大神殿ではいかがでしたか?」
「ああ、無事リルアの封印は解かれたよ」
「そうでしたか。ではこれから魔術の時間は少しは進みますね」
「それについては、実は司祭長がリルアのために指導者を派遣してくださることになった。城の礼拝堂に新しく派遣される。ファルクという者だ。あとリルアの護衛候補に推薦されたアスランという一級冒険者の身元の調査もしておいてくれ」
「お兄様、ファルクもアスラン様のように身元を調べるということですか?」
「勿論だ。残念なことに僕達の周の者はいつも危険に備えなければならないんだよ」
お兄様が私の問いに穏やかに答えてくれた。
「で、では他国の者が側にという場合には」
「それは少し問題になるよ。慎重にね」
――うふぁ。そうですよね。アスランの身元は何処まで判明するのだろうか。もし、エードラム帝国の皇族だっと分かっても護衛を頼むのかしら。
でも彼はまだ十六歳、設定ではまだ皇帝では無かったはず。まだ皇太子かもしれない。だから、冒険者なんてしているのかも。そんなの公式設定には無かった。でも、どっちにしてもエードラム魔道帝国の皇族だとバレれば面倒なことになりそう。
別にうちのエイリー・グレーネとエードラムは敵対などはしていない。寧ろ交友国。ただ大海を隔てた大陸だからそう交流は無かったと思う。
何せエイリー・グレーネにはモンスターの沸く西の樹海があるから各国から冒険者がそれを目当てに集まってくる。
私達は部屋に戻るとお兄様は剣術の練習に私は音楽の練習の時間になっていた。
「私も剣を、是非。音楽なんて何にも役には立たないわ」
「駄目だよ。リルアには危険だし、それに……」
「むうう。ちょっとだけ、ほんの切っ先だけでも」
「なんだよ。切っ先だけって。くくく」
――くっ、ダメか。
「リルア様。楽の音は祭事には必須でありますよ。そして、それも力となります」
バルドがにこりと微笑んだ。確かにこの薔薇伝の設定なら、よく楽師の出番はあった。魔術には何とかの歌とかついてる術名もあったし。例えばモンスターを一斉に眠らせる眠りの歌は闇魔術で光魔術の英雄の歌なんかは全員のステータスをアップするのでボス戦には必須だし。海を渡るときセイレーンの誘惑の歌に対抗できる歌も水魔術のものだった。そういうイベントもあったような気がする。
「まあ、そうね。補助魔法も使えた方が良いかもしれないわね」
私は子ども用区画にある音楽室へ向かった。ここではダンスや音楽の練習をする。
「笛は神事の神降ろしに必要なものです。他には竪琴で魔力のこもった歌も十分脅威となりますよ」
神事は国で行う様々な祈願のことで、ここエイリー・グレーネでは王族と大神殿の司祭長とで行われる。ほら、新嘗祭とか平癒祈願とかのような感じ。
バルドとアナベルを控えて私は音楽の先生に吹き方を習った。今日は横笛。指の押さえから習った。奏でるまでにはまだまだ先は遠い。
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