【完】聖女じゃないと言われたので、大好きな人と一緒に旅に出ます!

えとう蜜夏

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07 アイテム収納の魔道具

 そして、月に何度か大神殿に行商にやってくるテオ君と話すのが楽しみになった。

 たくさんお話をすると私も元気になった。

 それに日用品などをテオ君から買うようになった。こちらが欲しいと思うものを手ごろな値段で用意してくれるから。

「テオ君。凄いね。欲しい物ばかりだよ」

「そりゃあ、ミリアさんのために用意したんだよ。商人見習いでも商売だからね!」

 そして、テオ君からいろいろと商売の話や王都の庶民のお話を聞くのが楽しみになった。

 失敗して落ち込んだ時はお互い慰めたり、励まし合ったりした。

 そうしていると私も大神殿で一年間聖女候補者として修業をしていたので一般の怪我人や祈願を頼まれるようになった。

 給金は思ったより少ないけど一般の祈願者からお布施以外に渡される物が多くなって、それを自分のものにできた。だけどお金や貴金属なんかもいただくようになってそれでいろいろと問題が出てどうしたらいいのかテオ君に相談してみた。他に相談できる人はいないし。

「……でね。祈願者から頂いた物をいつの間にか他の聖女見習いに取り上げられるのよ。神殿での説明では祈祷の手数料以外は自分のものにしていいはずなのに」

「そんな酷いことをするなんて、本当にその人達は聖女見習いなのか? 悪いことすると女神様の祝福なんてもらえないんじゃないのか」

「そうね。女神様からの祝福は……」

 正直どうなったらできるのか分からない。

 私が祈ると空からキラキラと光が振り注いでくるけど他の候補者や見習いが出しているのはここでは見たことがなかった。

 マルクトならジョイだってほんの少しだけどたまにキラキラした光が降り注いでいたのに。

 ――あ、そういえばここで聖女様だけが祝福を出しているのを見た覚えがある。流石、聖女様よね。

「取り上げられて困るのか……。そうだ。じゃあ、これあげるよ。僕の作ったおもちゃだけど」

 そう言ってテオ君が私の左手首に細いシルバーのブレスレットをつけてくれた。

 それには小さくかごのような絵が彫られていた。

「これは?」

「そうだな。これを収納と念じて」

「収納」

 そうすると私の掌に載せられていたキャンディがすっと消えてしまった。ブレスレットに飴の絵が増えていた。

「嘘! どうして? まるでアイテムボックスみたい!」

 驚く私にテオ君が苦笑いを浮かべた。

 アイテムボックスとは冒険者が持っている所持品をコンパクトに収納する魔道具の一つだ。それなりに高価なものだった。

「実は家が商人でなければ僕は魔道具を作りたかったんだ」

「テオ君が魔道具職人……」

 テオ君が照れながら話してくれた。

「あまり入れることはできないし、大きなものも入らないけど……。ここまで収納した物の絵が来たら一杯になるんだ」

「ほぇぇ~。本当に凄いね。ありがとう。テオ君。これなら直ぐ隠せるし見つかって取り上げられなくなるね!」

 シンプルなシルバーのブレスレットだから華美を好んでいる他の見習い達から盗まれることはなさそうね。

 実際私が身に着けていても平民はみすぼらしいアクセサリーを付けているわねと嫌味を言われたほどだった。

 まさか、アイテムボックスとは思わなかったみたい。これで取り上げられることはなくなった。

 そもそも聖女候補者や見習いは小さいながら個室を頂けるので鍵もかけられるけれど管理人の聖女見習いが鍵を管理しているから意味がなかった。

 私の場合は勝手に入ってこられ置いてある寄進物を物色されて持ち去られるのが普通だったのだ。大事なものはとても部屋に置いておけそうにない。

「凄いね! テオ君は商売も出来るし魔道具だって作れるんだね!」

「凄い? 商売の邪魔になるって言われていたんだけどな」

「だって、自分で作って売れるじゃない。それに壊れても自分で修理できると楽だし」

「……そうか、もっと商売に役立つようにしたら良いんだ。でも趣味として……」

 ブツブツと独り言をテオ君は言っていたけれど吹っ切れたようににこりと微笑んだ。

 眩しいくらいのいつもの笑顔だった。

「うん。今度はきちんとお金を払うからまた作ってね」

「それなら、僕は魔力あまりないので試作品を試してくれればいいよ」

「あ、それには自信あるよ。私ってそれだけが取り柄みたいだもの」

 テオ君が楽しそうに話すので私も嬉しくなって微笑んだ。テオ君がいなければこの冷たい大神殿でやっていけなかった。
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