14 / 31
14 大神殿での旅支度
入り口で挨拶をすると神殿に仕える下女がこちらに気がついてくれました。
神殿には聖女見習いの他にも働く方は大勢いました。地方神殿は家族のような感じだったけれどここは大きすぎて底冷えがするほど冷たい……。
「あれ? 平み……、聖女様。お帰りがいつもより遅かったですね」
下女さんは私の後ろのパーシーさんを見て慌てて言い方を変えました。
いつものように平民聖女の呼び方でいいと思いますよ。
「ええ、王太子様から急なお話がいろいろとありまして……」
「そうですか、そんな言い訳をしている暇があったらさっさと参拝者に挨拶して、祈願や治癒のお仕事をしてください。皆が待ちくたびれていますよ!」
一方的に言うと下女は私の言葉を聞かずに慌ただしく去って行かれました。
「あ、はい。あ、いえ、あのもう私は聖女では……」
あまりにも早かったので大事なことが伝えられませんでしたね。困りました。
「私は聖女ではないので、もうできないのですが……」
私の言い方が遅いと言われるのでしょうが、既に下女の方は立ち去っていた。
「聖女様。あの下女の態度はいくらなんでも不敬かと思われます。今までもこのような扱いだったのでしょうか?」
パーシーさんからも心配されました。でも、何もかも、もう終わったことです。
「私は平民でそれも田舎の出身なので平民の聖女と呼ばれいつもこんな扱いでした。皆さんは何かしらの良い所のお嬢様なので、でも話をしてくれるだけで十分でしたよ」
……村では嫌われて石なんか投げられたこともありましたね。遠い昔の話ですが、今更ですが村の皆は元気にしているのでしょうか。
「それにしても……」
パーシーさんは不服そうでした。
そうしている内に神殿の奥からやってくる人影が見えました。
「あ、聖女様。お久しぶりです。今日はお姿が見えないので案じておりましたよ」
テオ君が私を見つけてこちらにやってきました。
彼が働いている商会は月に何度か神殿にいろいろな商品を売りに来てくれるので私もよく買っていました。
私も聖女になって忙しく、今まで以上に神殿から王宮や結界の維持する場所に行く以外は気軽には出られませんでした。
テオ君は本当に親切で、私の細々した日用品やアクセサリーは必ず彼から買っていました。テオ君から装身具は何かの時に買い取れると教えてもらったし、お布施も自分のものとしても大丈夫なように私のために魔道具まで開発してくれました。
最近は執務室まで商品を見せに来てくれます。テオ君はもう立派な聖女ご用達商人でしょう。
「今日も聖女様にいろいろとご用意してきました。楽しみにしてください」
「うわあ。嬉しい。楽しみです。あ、いいえ。今日はもう見ません。これからも多分……。私は聖女ではなくなったので、今直ぐ片づけして神殿から出て行かないといけないのです」
「は?」
テオ君は目を見開くと驚いた声を上げました。
いつも穏やかで優しい雰囲気のテオ君は私が聖女候補としてこの大神殿に入ったときからの知り合いなので幼馴染とも言っていいかもしれない。
初めて出会った頃のテオ君はまだ商人見習いの新人さんで私に話しかけて仲良くしてくれました。
薄茶色の髪にキラキラした琥珀色の瞳でいつもにこにこしているテオ君。商売をしているので人当たりが良くて平民の私にとても優しい。
それに私と同じ年なのもあって直ぐ仲良くなれました。
テオ君とって私はただの顧客かもしれませんがこの大神殿での大切なお友達でした。
なんたって私は親からも要らないからと売られるほど嫌われている子でした。そんな人間だからきっと人から好かれることなんてありませんね。こうして大神殿でも嫌われていましたから。
私の見た目はまるでカラスのように不吉な黒髪に青褪めたような汚い瞳と他の聖女見習いから言われていました。
年の割に小さいのと全体的に薄っぺらいので成人しているのに年齢より若く見られることも多々ありました。
ヘンリー王太子様もそう思っていたのでしょう。
私のボディが小さいのは貧しい暮らしだったのと両親がそう大きい方ではなかったからだと思います。
そういえば八歳の時に村から地方の神殿に修行に出てからは家族にも会ったことが無いので顔もうろ覚えになっていますね。
十歳のとき正式に聖女見習いとして認められて、素質有りと推薦されて王都の女神教の大神殿に移り、十五歳で大結界を守る聖女に選ばれて三年間務めました。
それがとても激務だったのと食事も少ないから大きくなれなかったと私は思っています。
主に胸なんかは平らに近いのでヘンリー王太子殿下がときおり残念そうにじろじろ見ていた。
流石に私も王太子殿下のお顔は存じていますので、王宮で何度かお見掛けした際に王太子様は我儘ボディのお嬢様方をお側に侍らしておりました。
私のような胸が未熟な者は好みでは無かったのでしょう。
「ど、どうしてですか?!」
テオ君が叫ぶような声を上げたので私も我に返りました。
私は早く私室を整理して旅支度をしなければならないので手短に説明しました。
早くしないとヘンリー王太子殿下のご不興をかってもいけません。
「ええとさっき王城でヘンリー王太子殿下から聖女ではないと地位を剥奪されました。それに国外追放も言い渡されましたので急いでこの国を出なければなりません。一時的なものだそうですけどとにかく身辺整理と旅支度をするために部屋に戻ってきました。だから、急いでいます。この兵士の方は私が出ていくのを見届けてくださるそうです」
「聖女の地位剥奪に国外追放だって? なんでまたそんなことになったのですか……」
「……」
テオ君に尋ねられても答えられませんでした。
――そんなこと分かりません。私の方こそお聞きしたい。でも、ヘンリー王太子様からはぼんやりした聖女とか仰っていましたね。でも、もう終わったことなのです。
ごめんなさいと言いながら前を過ぎようとしたら、何故かテオ君は一緒について来ました。
そして、どうやら私が着替えて支度している間に廊下でパーシーさんから追放の話を聞いていたみたいです。
パーシーさんなら事情が分かっているので大丈夫でしょう。
テオ君は私が支度をする間廊下で待っていました。そして私を見ると、
「聖女様。大体事情は分かりました。じゃあ、行く先は決まっていますか?」
「特にはありません。……急なことでしたので」
「じゃあ。決まっていないようなら東の国境で待ち合わせましょう。僕が着くまで待っていてくださいね。お願いしますよ。パーシーさん」
テオ君はそう言うと慌ただしく去って行きました。
神殿には聖女見習いの他にも働く方は大勢いました。地方神殿は家族のような感じだったけれどここは大きすぎて底冷えがするほど冷たい……。
「あれ? 平み……、聖女様。お帰りがいつもより遅かったですね」
下女さんは私の後ろのパーシーさんを見て慌てて言い方を変えました。
いつものように平民聖女の呼び方でいいと思いますよ。
「ええ、王太子様から急なお話がいろいろとありまして……」
「そうですか、そんな言い訳をしている暇があったらさっさと参拝者に挨拶して、祈願や治癒のお仕事をしてください。皆が待ちくたびれていますよ!」
一方的に言うと下女は私の言葉を聞かずに慌ただしく去って行かれました。
「あ、はい。あ、いえ、あのもう私は聖女では……」
あまりにも早かったので大事なことが伝えられませんでしたね。困りました。
「私は聖女ではないので、もうできないのですが……」
私の言い方が遅いと言われるのでしょうが、既に下女の方は立ち去っていた。
「聖女様。あの下女の態度はいくらなんでも不敬かと思われます。今までもこのような扱いだったのでしょうか?」
パーシーさんからも心配されました。でも、何もかも、もう終わったことです。
「私は平民でそれも田舎の出身なので平民の聖女と呼ばれいつもこんな扱いでした。皆さんは何かしらの良い所のお嬢様なので、でも話をしてくれるだけで十分でしたよ」
……村では嫌われて石なんか投げられたこともありましたね。遠い昔の話ですが、今更ですが村の皆は元気にしているのでしょうか。
「それにしても……」
パーシーさんは不服そうでした。
そうしている内に神殿の奥からやってくる人影が見えました。
「あ、聖女様。お久しぶりです。今日はお姿が見えないので案じておりましたよ」
テオ君が私を見つけてこちらにやってきました。
彼が働いている商会は月に何度か神殿にいろいろな商品を売りに来てくれるので私もよく買っていました。
私も聖女になって忙しく、今まで以上に神殿から王宮や結界の維持する場所に行く以外は気軽には出られませんでした。
テオ君は本当に親切で、私の細々した日用品やアクセサリーは必ず彼から買っていました。テオ君から装身具は何かの時に買い取れると教えてもらったし、お布施も自分のものとしても大丈夫なように私のために魔道具まで開発してくれました。
最近は執務室まで商品を見せに来てくれます。テオ君はもう立派な聖女ご用達商人でしょう。
「今日も聖女様にいろいろとご用意してきました。楽しみにしてください」
「うわあ。嬉しい。楽しみです。あ、いいえ。今日はもう見ません。これからも多分……。私は聖女ではなくなったので、今直ぐ片づけして神殿から出て行かないといけないのです」
「は?」
テオ君は目を見開くと驚いた声を上げました。
いつも穏やかで優しい雰囲気のテオ君は私が聖女候補としてこの大神殿に入ったときからの知り合いなので幼馴染とも言っていいかもしれない。
初めて出会った頃のテオ君はまだ商人見習いの新人さんで私に話しかけて仲良くしてくれました。
薄茶色の髪にキラキラした琥珀色の瞳でいつもにこにこしているテオ君。商売をしているので人当たりが良くて平民の私にとても優しい。
それに私と同じ年なのもあって直ぐ仲良くなれました。
テオ君とって私はただの顧客かもしれませんがこの大神殿での大切なお友達でした。
なんたって私は親からも要らないからと売られるほど嫌われている子でした。そんな人間だからきっと人から好かれることなんてありませんね。こうして大神殿でも嫌われていましたから。
私の見た目はまるでカラスのように不吉な黒髪に青褪めたような汚い瞳と他の聖女見習いから言われていました。
年の割に小さいのと全体的に薄っぺらいので成人しているのに年齢より若く見られることも多々ありました。
ヘンリー王太子様もそう思っていたのでしょう。
私のボディが小さいのは貧しい暮らしだったのと両親がそう大きい方ではなかったからだと思います。
そういえば八歳の時に村から地方の神殿に修行に出てからは家族にも会ったことが無いので顔もうろ覚えになっていますね。
十歳のとき正式に聖女見習いとして認められて、素質有りと推薦されて王都の女神教の大神殿に移り、十五歳で大結界を守る聖女に選ばれて三年間務めました。
それがとても激務だったのと食事も少ないから大きくなれなかったと私は思っています。
主に胸なんかは平らに近いのでヘンリー王太子殿下がときおり残念そうにじろじろ見ていた。
流石に私も王太子殿下のお顔は存じていますので、王宮で何度かお見掛けした際に王太子様は我儘ボディのお嬢様方をお側に侍らしておりました。
私のような胸が未熟な者は好みでは無かったのでしょう。
「ど、どうしてですか?!」
テオ君が叫ぶような声を上げたので私も我に返りました。
私は早く私室を整理して旅支度をしなければならないので手短に説明しました。
早くしないとヘンリー王太子殿下のご不興をかってもいけません。
「ええとさっき王城でヘンリー王太子殿下から聖女ではないと地位を剥奪されました。それに国外追放も言い渡されましたので急いでこの国を出なければなりません。一時的なものだそうですけどとにかく身辺整理と旅支度をするために部屋に戻ってきました。だから、急いでいます。この兵士の方は私が出ていくのを見届けてくださるそうです」
「聖女の地位剥奪に国外追放だって? なんでまたそんなことになったのですか……」
「……」
テオ君に尋ねられても答えられませんでした。
――そんなこと分かりません。私の方こそお聞きしたい。でも、ヘンリー王太子様からはぼんやりした聖女とか仰っていましたね。でも、もう終わったことなのです。
ごめんなさいと言いながら前を過ぎようとしたら、何故かテオ君は一緒について来ました。
そして、どうやら私が着替えて支度している間に廊下でパーシーさんから追放の話を聞いていたみたいです。
パーシーさんなら事情が分かっているので大丈夫でしょう。
テオ君は私が支度をする間廊下で待っていました。そして私を見ると、
「聖女様。大体事情は分かりました。じゃあ、行く先は決まっていますか?」
「特にはありません。……急なことでしたので」
「じゃあ。決まっていないようなら東の国境で待ち合わせましょう。僕が着くまで待っていてくださいね。お願いしますよ。パーシーさん」
テオ君はそう言うと慌ただしく去って行きました。
あなたにおすすめの小説
奪われる人生とはお別れします 婚約破棄の後は幸せな日々が待っていました
水空 葵
恋愛
婚約者だった王太子殿下は、最近聖女様にかかりっきりで私には見向きもしない。
それなのに妃教育と称して仕事を押し付けてくる。
しまいには建国パーティーの時に婚約解消を突き付けられてしまった。
王太子殿下、それから私の両親。今まで尽くしてきたのに、裏切るなんて許せません。
でも、これ以上奪われるのは嫌なので、さっさとお別れしましょう。
◇2024/2/5 HOTランキング1位に掲載されました。
◇第17回 恋愛小説大賞で6位&奨励賞を頂きました。
◇レジーナブックスより書籍発売中です!
本当にありがとうございます!
聖女を騙った罪で追放されそうなので、聖女の真の力を教えて差し上げます
香木陽灯
恋愛
公爵令嬢フローラ・クレマンは、首筋に聖女の証である薔薇の痣がある。それを知っているのは、家族と親友のミシェルだけ。
どうして自分なのか、やりたい人がやれば良いのにと、何度思ったことか。だからミシェルに相談したの。
「私は聖女になりたくてたまらないのに!」
ミシェルに言われたあの日から、私とミシェルの二人で一人の聖女として生きてきた。
けれど、私と第一王子の婚約が決まってからミシェルとは連絡が取れなくなってしまった。
ミシェル、大丈夫かしら?私が力を使わないと、彼女は聖女として振る舞えないのに……
なんて心配していたのに。
「フローラ・クレマン!聖女の名を騙った罪で、貴様を国外追放に処す。いくら貴様が僕の婚約者だったからと言って、許すわけにはいかない。我が国の聖女は、ミシェルただ一人だ」
第一王子とミシェルに、偽の聖女を騙った罪で断罪させそうになってしまった。
本気で私を追放したいのね……でしたら私も本気を出しましょう。聖女の真の力を教えて差し上げます。
【完結】 私を忌み嫌って義妹を贔屓したいのなら、家を出て行くのでお好きにしてください
ゆうき
恋愛
苦しむ民を救う使命を持つ、国のお抱えの聖女でありながら、悪魔の子と呼ばれて忌み嫌われている者が持つ、赤い目を持っているせいで、民に恐れられ、陰口を叩かれ、家族には忌み嫌われて劣悪な環境に置かれている少女、サーシャはある日、義妹が屋敷にやってきたことをきっかけに、聖女の座と婚約者を義妹に奪われてしまった。
義父は義妹を贔屓し、なにを言っても聞き入れてもらえない。これでは聖女としての使命も、幼い頃にとある男の子と交わした誓いも果たせない……そう思ったサーシャは、誰にも言わずに外の世界に飛び出した。
外の世界に出てから間もなく、サーシャも知っている、とある家からの捜索願が出されていたことを知ったサーシャは、急いでその家に向かうと、その家のご子息様に迎えられた。
彼とは何度か社交界で顔を合わせていたが、なぜかサーシャにだけは冷たかった。なのに、出会うなりサーシャのことを抱きしめて、衝撃の一言を口にする。
「おお、サーシャ! 我が愛しの人よ!」
――これは一人の少女が、溺愛されながらも、聖女の使命と大切な人との誓いを果たすために奮闘しながら、愛を育む物語。
⭐︎小説家になろう様にも投稿されています⭐︎
妹なんだから助けて? お断りします
たくわん
恋愛
美しく聡明な令嬢エリーゼ。だが、母の死後に迎えられた継母マルグリットによって、彼女の人生は一変する。実母が残した財産は継母に奪われ、華やかなドレスは義姉たちに着られ、エリーゼ自身は使用人同然の扱いを受ける。そんなある日――。
聖女の妹、『灰色女』の私
ルーシャオ
恋愛
オールヴァン公爵家令嬢かつ聖女アリシアを妹に持つ『私』は、魔力を持たない『灰色女(グレイッシュ)』として蔑まれていた。醜聞を避けるため仕方なく出席した妹の就任式から早々に帰宅しようとしたところ、道に座り込む老婆を見つける。その老婆は同じ『灰色女』であり、『私』の運命を変える呪文をつぶやいた。
『私』は次第にマナの流れが見えるようになり、知らなかったことをどんどんと知っていく。そして、聖女へ、オールヴァン公爵家へ、この国へ、差別する人々へ——復讐を決意した。
一方で、なぜか縁談の来なかった『私』と結婚したいという王城騎士団副団長アイメルが現れる。拒否できない結婚だと思っていたが、妙にアイメルは親身になってくれる。一体なぜ?
異世界から本物の聖女が来たからと、追い出された聖女は自由に生きたい! (完結)
深月カナメ
恋愛
十歳から十八歳まで聖女として、国の為に祈り続けた、白銀の髪、グリーンの瞳、伯爵令嬢ヒーラギだった。
そんなある日、異世界から聖女ーーアリカが降臨した。一応アリカも聖女だってらしく傷を治す力を持っていた。
この世界には珍しい黒髪、黒い瞳の彼女をみて、自分を嫌っていた王子、国王陛下、王妃、騎士など周りは本物の聖女が来たと喜ぶ。
聖女で、王子の婚約者だったヒーラギは婚約破棄されてしまう。
ヒーラギは新しい聖女が現れたのなら、自分の役目は終わった、これからは美味しいものをたくさん食べて、自由に生きると決めた。
出来損ないと言われて、国を追い出されました。魔物避けの効果も失われるので、魔物が押し寄せてきますが、頑張って倒してくださいね
猿喰 森繁
恋愛
「婚約破棄だ!」
広間に高らかに響く声。
私の婚約者であり、この国の王子である。
「そうですか」
「貴様は、魔法の一つもろくに使えないと聞く。そんな出来損ないは、俺にふさわしくない」
「… … …」
「よって、婚約は破棄だ!」
私は、周りを見渡す。
私を見下し、気持ち悪そうに見ているもの、冷ややかな笑いを浮かべているもの、私を守ってくれそうな人は、いないようだ。
「王様も同じ意見ということで、よろしいでしょうか?」
私のその言葉に王は言葉を返すでもなく、ただ一つ頷いた。それを確認して、私はため息をついた。たしかに私は魔法を使えない。魔力というものを持っていないからだ。
なにやら勘違いしているようだが、聖女は魔法なんて使えませんよ。
聖女は記憶と共に姿を消した~婚約破棄を告げられた時、王国の運命が決まった~
キョウキョウ
恋愛
ある日、婚約相手のエリック王子から呼び出された聖女ノエラ。
パーティーが行われている会場の中央、貴族たちが注目する場所に立たされたノエラは、エリック王子から突然、婚約を破棄されてしまう。
最近、冷たい態度が続いていたとはいえ、公の場での宣言にノエラは言葉を失った。
さらにエリック王子は、ノエラが聖女には相応しくないと告げた後、一緒に居た美しい女神官エリーゼを真の聖女にすると宣言してしまう。彼女こそが本当の聖女であると言って、ノエラのことを偽物扱いする。
その瞬間、ノエラの心に浮かんだのは、万が一の時のために準備していた計画だった。
王国から、聖女ノエラに関する記憶を全て消し去るという計画を、今こそ実行に移す時だと決意した。
こうして聖女ノエラは人々の記憶から消え去り、ただのノエラとして新たな一歩を踏み出すのだった。
※過去に使用した設定や展開などを再利用しています。
※カクヨムにも掲載中です。