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第三章
番外 夢幻の回生といっしょ
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朝からタナトス、ヒュプノスと一緒に数十年間隔で起きる大規模行方不明事件の動向を少しずつ自分の中に記録し、SNSから見つけてきた…所謂ズボラ飯の類が収録されたレシピから自炊を練習し、家事をこなしてたまにゴロゴロする。最近の生活リズムの良さは希死念慮の死の字もない。
結構な深夜になってから、身体をベッドに横たえる。最近の夢はやたらと明晰夢が多い。その理由も、大体見当がついていた。
意識が遠のいてレム睡眠にシフトすると――その明晰夢の中には、当たり前のようにオネイロスがいた。
「…あ、シオンだ。偶然だね、これで夢の中で会うのは6回目…」
「…偶然ですね夢境さん。今日もゲームとかやりますか」
「今日はね、普通におしゃべりしたい。」
「いいですよ、脳内トークテーマガチャを引くのでちょっと待っててくださいね」
オネイロスがこちらに加わってから、彼の夢を連続で六回見ている。そして、それはおそらく彼の意思によるものだ。
こういうのも、少しアレだが。
『…!うん、うん…!シオンは、にいちゃんとかあさんとうさんの次におれのこと、分かってくれてる。』
『…えへへ、シオンだいすき』
ここまで相手に明確に好意を伝えられていて夢の中に何回も出てこられたら、わたしも少しくらいなにかを察する。
「…別に恋愛沙汰のあれそれじゃなくても責任を取らないといけないかもしれないですね……。」
「?なにか言った?」
「いえ何でも、――今回は埋もれた名作有料アプリの話をしましょうか」
「はは、わーい。知ってても知らなくてもうれしいやつだ」
話し続けて、体感数十分。
「――それで絵画の中の女の子が、プレイヤーの手を借りて本当のしあわせを手にするんです」
「プレイヤーという描き手が一度終わったはずの創作物の運命を変える、すごく燃えるね。世のリメイク作品がみんなこんな感じならいいのにな」
「そうですね……あ。」
ぴちちちち、ちゅんちゅん。
意識の遥か遠くから、鳥の声が聞こえる。
これは、おそらく夢から醒めたあとの世界はもう日が昇った朝ということだろう。
「そろそろ、起きなくちゃですね…」
「…シオン、行っちゃうの?」
「…ゔっ」
オネイロスは、あの双子のような例に漏れず、麗しい見目の美丈夫である。重たげで気だるい印象を抱かせる瞼にしっかり垂れた切れ長の、カラフルな瞳をした目が少し不安そうに揺れて――大きな手がこちらの手を握ってくる。
正直言って美しい男がこちらに縋ってくるという視覚情報とオネイロス本人の無垢さが合わさって、これはかなり。
「……乙女ゲー何個か通ってなかったらキャパ超えて死んでましたこんなの」
「乙女ゲーも、いいよね。おれ男だけど、全然ときめいちゃう時はあるよ」
「そうですよね、わかります。それじゃあ…」
また次の夢で。
そう言って、意識を手に取って目を覚ます。
そのオネイロスの表情は、柔らかいものだった。
ぴちちちち、ちゅんちゅん。かあかあかあ。
鳥の声を聞きながら瞼を開けると、そこには――
「……おはよ、シオン。楽しかったね。」
「え゙ッ、覚めても当然のようにいらっしゃる」
オネイロスが夢と同じような姿で現実にも居た。
そういえば死神さんと睡魔さんが、夢境さんが現実世界でも動けるようにリハビリに付き合ってたって聞いた気がする。その2人はいま不在のようで、オネイロスはこう話した。
「にいちゃんが不在のときはおれも一緒だよ、さみしくないよ、シオン」
「お気遣い、ありがとうございます……。あの、夢境さんのご尊顔が眩しいのでカーテンを付けたいんですけど」
「あはは、変なの。あんなに夢の中で近くにいたのにまだ慣れないんだ。もっと近くにおいでよ、はなそ」
「ウワーッ殺される、無垢さに殺される…!」
その身を助けた一件以降懐いてくる歳上のお兄さん――中身はお兄さんか怪しい――にたじたじになりながら、今日も1日が始まるのだった。
結構な深夜になってから、身体をベッドに横たえる。最近の夢はやたらと明晰夢が多い。その理由も、大体見当がついていた。
意識が遠のいてレム睡眠にシフトすると――その明晰夢の中には、当たり前のようにオネイロスがいた。
「…あ、シオンだ。偶然だね、これで夢の中で会うのは6回目…」
「…偶然ですね夢境さん。今日もゲームとかやりますか」
「今日はね、普通におしゃべりしたい。」
「いいですよ、脳内トークテーマガチャを引くのでちょっと待っててくださいね」
オネイロスがこちらに加わってから、彼の夢を連続で六回見ている。そして、それはおそらく彼の意思によるものだ。
こういうのも、少しアレだが。
『…!うん、うん…!シオンは、にいちゃんとかあさんとうさんの次におれのこと、分かってくれてる。』
『…えへへ、シオンだいすき』
ここまで相手に明確に好意を伝えられていて夢の中に何回も出てこられたら、わたしも少しくらいなにかを察する。
「…別に恋愛沙汰のあれそれじゃなくても責任を取らないといけないかもしれないですね……。」
「?なにか言った?」
「いえ何でも、――今回は埋もれた名作有料アプリの話をしましょうか」
「はは、わーい。知ってても知らなくてもうれしいやつだ」
話し続けて、体感数十分。
「――それで絵画の中の女の子が、プレイヤーの手を借りて本当のしあわせを手にするんです」
「プレイヤーという描き手が一度終わったはずの創作物の運命を変える、すごく燃えるね。世のリメイク作品がみんなこんな感じならいいのにな」
「そうですね……あ。」
ぴちちちち、ちゅんちゅん。
意識の遥か遠くから、鳥の声が聞こえる。
これは、おそらく夢から醒めたあとの世界はもう日が昇った朝ということだろう。
「そろそろ、起きなくちゃですね…」
「…シオン、行っちゃうの?」
「…ゔっ」
オネイロスは、あの双子のような例に漏れず、麗しい見目の美丈夫である。重たげで気だるい印象を抱かせる瞼にしっかり垂れた切れ長の、カラフルな瞳をした目が少し不安そうに揺れて――大きな手がこちらの手を握ってくる。
正直言って美しい男がこちらに縋ってくるという視覚情報とオネイロス本人の無垢さが合わさって、これはかなり。
「……乙女ゲー何個か通ってなかったらキャパ超えて死んでましたこんなの」
「乙女ゲーも、いいよね。おれ男だけど、全然ときめいちゃう時はあるよ」
「そうですよね、わかります。それじゃあ…」
また次の夢で。
そう言って、意識を手に取って目を覚ます。
そのオネイロスの表情は、柔らかいものだった。
ぴちちちち、ちゅんちゅん。かあかあかあ。
鳥の声を聞きながら瞼を開けると、そこには――
「……おはよ、シオン。楽しかったね。」
「え゙ッ、覚めても当然のようにいらっしゃる」
オネイロスが夢と同じような姿で現実にも居た。
そういえば死神さんと睡魔さんが、夢境さんが現実世界でも動けるようにリハビリに付き合ってたって聞いた気がする。その2人はいま不在のようで、オネイロスはこう話した。
「にいちゃんが不在のときはおれも一緒だよ、さみしくないよ、シオン」
「お気遣い、ありがとうございます……。あの、夢境さんのご尊顔が眩しいのでカーテンを付けたいんですけど」
「あはは、変なの。あんなに夢の中で近くにいたのにまだ慣れないんだ。もっと近くにおいでよ、はなそ」
「ウワーッ殺される、無垢さに殺される…!」
その身を助けた一件以降懐いてくる歳上のお兄さん――中身はお兄さんか怪しい――にたじたじになりながら、今日も1日が始まるのだった。
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