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第五章
雑魚寝、もとい大規模反省会
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「………」
ちょっと前にオネイロスから全員で雑魚寝しようという誘いを受けていて、それを「いいですね」と同意したのはわたしだ。わたしなのだが。
「……さて~、まず一つ。お前、なんであの自販機の位置からあんなに移動したわけ?お前につけてたGPSが全然違う位置にいるのを教えてきたからガチ焦りしてたんだよボク等はさ。何?なんで階層移動してまでサービスカウンターに行ったのさ」
「……本当に、あのとき自分がどこでどうしてたか、位置がわからなくて。スマホでマップとか開いたけど、それもだめで…じゃあ、迷子センター行きますか、って…。」
「そしたらあのアマが迎えに来たんだぁ。…バ~カ。危機管理能力雑魚人間がよ。恥ずかしくないのかよ」
人外3人と人間1人での雑魚寝というシチュエーションのままめちゃくちゃ詰められている、多分初めて本気でこんなにヒュプノスに詰められている。地獄だ。
このレーテー絡みの話題が始まることでの精神的な圧迫感が恐ろしくて端っこで寝ようとしたのだが「そんなところで寝てたら風邪引くよ、シオン」とオネイロスに引き戻されて、ほぼ真ん中で寝ることになった。結果、長身の男たちに囲まれて今どこにも逃げ場がない。大焦りしている。
こちらの肩からずり落ちた毛布をかけ直しながら自分のすぐ右にいたタナトスが話の間に入る。
「……私達が歩いていたあのあたり全域がレーテーの幻術の範囲内だった可能性もあるな。位置情報を特定しようにも、一定時間ごとに飛び飛びの位置に点が動いていた。が、それはお前のせいではないのだろう」
その言葉の後にヒュプノスがきゃんきゃん吠える。
「甘やかすなタナトス!こいつは一回煮沸なりしてあいつの生臭い魚臭を取らないといけないの!!消毒消毒消毒!」
「……煮沸とか熱菌消毒とか、わたしのことを熱に強い金属かなんかだと思ってませんか。それされたら死にますよ、人間なんだから」
「死にたい死にたい言ってたじゃ~ん、丁度いいだろ。なーに、口答え?お前が?できると思ってんの?」
……本当に今日はヒュプノスの目が笑ってない。普通にいつもの癖で突っ込んでしまったけど、今は本当に何も言わないほうが賢いかもしれない。
「…シオンがあの人のことを素手で触らなかったのはえらかったね、いくら依代とはいえさ。多分、手袋も何もなしに触ったりあっちに触られてたらおまえもおかしくなってたかも。」
オネイロスは特にこちらを庇う気などなさそうに、あくまでマイペースにこちらの判断を褒めてくる。でも、彼の目線は未だに少しじっとりしている。…ご飯、そんなに行きたかったんだな。
「…さて。こちらは粗方言いたいことは言い終えた。今度はお前からレーテーについての話を聞きたいんだが、いいか」
「…はい。」
タナトスがこちらに聞いてきたのを皮切りに、あの日あったことを話していく。レーテーの手が水で作られた依代の身体だからなのかとても冷たかったこと、わたしがレーテーと目を合わせたら相手が毎回ふらついたこと、レーテーは精神的に健康そうな人間でも相手によってはすぐ懐柔できること、お姉さんと呼んだら機嫌が目に見えて良くなったこと、レーテーが2人前の食事を軽く平らげる大食漢だったこと、そして――
周りに人がいないときの小さな子供を自分のターゲットにしようとしていたこと。
「……偽物のレーテーさんの動きを鈍らせるのがまだできたので。多分彼女の眷属…もとい依代くらいだったら自分でもどうにかできるかも、って思いました。外に出るときはちゃんとゴム手袋常備します」
……わたしがそう言うと、その場にいる全員が何故か黙った。え?返答ミスりました?デジャヴだ。
タナトスがはぁ、と息を吐きながら話し出す。
「……貴様な、解るか。お前は確かに追憶の蔵書庫の能力は持ち合わせている、レーテーに対して対抗できる存在かもしれない。だがな、貴様の身体も精神性も普通の人間なんだ。あの人は私達と精神性がまるきり違う。そんな道理の通じない存在を誰の手も借りずにもう一度請け負ってみろ。死ぬところだったんだぞ貴様」
「え゙っ、いやでも……あのときは、レーテーさん放っておいたらめちゃくちゃ被害出るかなぁって思ってちょっと頑張っちゃって……少なくとも見える範囲だけならどうにかできていたというか」
――ふるふると首を振るタナトスに制されて、少し黙ることにする。
オネイロスがこちらの頬にタトゥーシールをぺた、と貼りながらそれに続いて話し出す。
「…レーテーはさ、多分そのときはおまえ1人をターゲットにして色々試してたと思うよ…正直。今のシオンはレーテーの依代の動きくらいなら止められるんだよね。でも、もしかしたら次に会うときは能力も通じなくなってるかもしれない。なんなら、本物は絶対一筋縄じゃいかない。ゆえに、おれ達はもっとおまえに対して過保護になったっていい。またあの変な状況に陥ったとき、今度は対抗手段を用意できるようにするから」
ヒュプノスが珍しく笑顔ではない口角の下がりきった不機嫌そうな表情を見せて、話す。
「……クソガキが。お前ってさ、人間って下位存在の中でも特にクソ脆いし。お前、自分ならどうにかできるとか思ってあの話通じないアマにも突っ込んでたけどそれら全て無謀なんだっつーの!あの時はそうするしかなかった?まだ選択肢くらいあったろ。ボク達がいただろ馬鹿が。なんで頼らねーんだよ!お前はそもそもボクから見てもクソ雑魚だしまだガキなんだからさぁ、一人でどうにかできると思うんじゃねーよ…」
……あれ?これってもしかして、心配されてる?
別に、レーテーさんを一人で相手して、依代とはいえ彼女を取り逃がしてしまったこととか道に迷って危ない目に遭ってしまったことを怒られているわけではない?
それに気づいたわたしのやることと言えば、ただ一つだった。
「……あの、みなさん、ちょっといいですか」
「何だ、ちゃんと聞くから言ってみなさい」
タナトスに促されて、やっと話し始める。
「………………はい。あの、ですね。ここで生活するようになってからお出かけに散々行ってるのにわたしが方向音痴なこと、みなさんに言ってなくてですね。普段が団体行動もしくは保護者同伴だから全然それを気にしなくてよかったんだなって迷子になった時に気付いたんですよ。だから…勝手に何の断りもなくGPS付けられてたのは若干怖かったけど結果的にそれに助けられたので、それはありがとうございます。」
それと、と前置きをしてから少し息を吸う。
「……心配かけてしまって、すみません。わたしは一応レーテーさんのことをどうにかできる対抗手段なのに、わたしが沈んじゃったらみなさんが打つ手をなくしちゃうかもしれないですよね。ちゃんと頼ります。わたしは、みなさんに心労をかけるのは大分嫌なので。」
補足、とオネイロスが手を挙げる。…補足?
「…にいちゃんたちは多分照れちゃって言えないことだから言うけど。別におまえが追憶の蔵書庫って対抗手段じゃなくても、これはみんな心配することなんだよ。小さい女の子が誰にも頼らず一人でやばい化け物をどうにかしようとして危ない目に遭ってる。シオンも客観的に、第三者視点で見たら心配しない?…するでしょ。だから、ちゃんと時々自分のこと客観視してね」
…なるほど。なるほど?別にわたしが対抗手段として強くなくても心配されることではあったのか。いやいやいや。そうかな、そうかも…。
「何目ェ回してんだよガキ。当然のこと言ったまでだろ。そうだよ、心配してんの!悪いかよクソボケが」
「…ヒュプノス、今日は一段と口が悪い…。…何やら誤解されているようだが、私達だってお前の身の心配だってする。花見の時にレーテーの眷属が姿を見せた時もお前は一人でどうにかしようとしたな。本当に、ああいうのは良くない。」
彼らから真剣な面持ちで話しかけられながらも全方向から全然違うテンポで寝かしつけの要領の背中ポンポンまたは横腹ポンポンをやられている。ぶっちゃけ混乱する。
そうか、わたし、心配されてるんだ。
別にわたしが普通の子供でも、心配するんだ。
なんだかくすぐったい気持ちになりながらキャパオーバーで限界だったので意識を手放したら、いつものように明晰夢に接続されてなんだかんだオネイロス達に話の続きを余儀なくされたのは、また別の話。
ちょっと前にオネイロスから全員で雑魚寝しようという誘いを受けていて、それを「いいですね」と同意したのはわたしだ。わたしなのだが。
「……さて~、まず一つ。お前、なんであの自販機の位置からあんなに移動したわけ?お前につけてたGPSが全然違う位置にいるのを教えてきたからガチ焦りしてたんだよボク等はさ。何?なんで階層移動してまでサービスカウンターに行ったのさ」
「……本当に、あのとき自分がどこでどうしてたか、位置がわからなくて。スマホでマップとか開いたけど、それもだめで…じゃあ、迷子センター行きますか、って…。」
「そしたらあのアマが迎えに来たんだぁ。…バ~カ。危機管理能力雑魚人間がよ。恥ずかしくないのかよ」
人外3人と人間1人での雑魚寝というシチュエーションのままめちゃくちゃ詰められている、多分初めて本気でこんなにヒュプノスに詰められている。地獄だ。
このレーテー絡みの話題が始まることでの精神的な圧迫感が恐ろしくて端っこで寝ようとしたのだが「そんなところで寝てたら風邪引くよ、シオン」とオネイロスに引き戻されて、ほぼ真ん中で寝ることになった。結果、長身の男たちに囲まれて今どこにも逃げ場がない。大焦りしている。
こちらの肩からずり落ちた毛布をかけ直しながら自分のすぐ右にいたタナトスが話の間に入る。
「……私達が歩いていたあのあたり全域がレーテーの幻術の範囲内だった可能性もあるな。位置情報を特定しようにも、一定時間ごとに飛び飛びの位置に点が動いていた。が、それはお前のせいではないのだろう」
その言葉の後にヒュプノスがきゃんきゃん吠える。
「甘やかすなタナトス!こいつは一回煮沸なりしてあいつの生臭い魚臭を取らないといけないの!!消毒消毒消毒!」
「……煮沸とか熱菌消毒とか、わたしのことを熱に強い金属かなんかだと思ってませんか。それされたら死にますよ、人間なんだから」
「死にたい死にたい言ってたじゃ~ん、丁度いいだろ。なーに、口答え?お前が?できると思ってんの?」
……本当に今日はヒュプノスの目が笑ってない。普通にいつもの癖で突っ込んでしまったけど、今は本当に何も言わないほうが賢いかもしれない。
「…シオンがあの人のことを素手で触らなかったのはえらかったね、いくら依代とはいえさ。多分、手袋も何もなしに触ったりあっちに触られてたらおまえもおかしくなってたかも。」
オネイロスは特にこちらを庇う気などなさそうに、あくまでマイペースにこちらの判断を褒めてくる。でも、彼の目線は未だに少しじっとりしている。…ご飯、そんなに行きたかったんだな。
「…さて。こちらは粗方言いたいことは言い終えた。今度はお前からレーテーについての話を聞きたいんだが、いいか」
「…はい。」
タナトスがこちらに聞いてきたのを皮切りに、あの日あったことを話していく。レーテーの手が水で作られた依代の身体だからなのかとても冷たかったこと、わたしがレーテーと目を合わせたら相手が毎回ふらついたこと、レーテーは精神的に健康そうな人間でも相手によってはすぐ懐柔できること、お姉さんと呼んだら機嫌が目に見えて良くなったこと、レーテーが2人前の食事を軽く平らげる大食漢だったこと、そして――
周りに人がいないときの小さな子供を自分のターゲットにしようとしていたこと。
「……偽物のレーテーさんの動きを鈍らせるのがまだできたので。多分彼女の眷属…もとい依代くらいだったら自分でもどうにかできるかも、って思いました。外に出るときはちゃんとゴム手袋常備します」
……わたしがそう言うと、その場にいる全員が何故か黙った。え?返答ミスりました?デジャヴだ。
タナトスがはぁ、と息を吐きながら話し出す。
「……貴様な、解るか。お前は確かに追憶の蔵書庫の能力は持ち合わせている、レーテーに対して対抗できる存在かもしれない。だがな、貴様の身体も精神性も普通の人間なんだ。あの人は私達と精神性がまるきり違う。そんな道理の通じない存在を誰の手も借りずにもう一度請け負ってみろ。死ぬところだったんだぞ貴様」
「え゙っ、いやでも……あのときは、レーテーさん放っておいたらめちゃくちゃ被害出るかなぁって思ってちょっと頑張っちゃって……少なくとも見える範囲だけならどうにかできていたというか」
――ふるふると首を振るタナトスに制されて、少し黙ることにする。
オネイロスがこちらの頬にタトゥーシールをぺた、と貼りながらそれに続いて話し出す。
「…レーテーはさ、多分そのときはおまえ1人をターゲットにして色々試してたと思うよ…正直。今のシオンはレーテーの依代の動きくらいなら止められるんだよね。でも、もしかしたら次に会うときは能力も通じなくなってるかもしれない。なんなら、本物は絶対一筋縄じゃいかない。ゆえに、おれ達はもっとおまえに対して過保護になったっていい。またあの変な状況に陥ったとき、今度は対抗手段を用意できるようにするから」
ヒュプノスが珍しく笑顔ではない口角の下がりきった不機嫌そうな表情を見せて、話す。
「……クソガキが。お前ってさ、人間って下位存在の中でも特にクソ脆いし。お前、自分ならどうにかできるとか思ってあの話通じないアマにも突っ込んでたけどそれら全て無謀なんだっつーの!あの時はそうするしかなかった?まだ選択肢くらいあったろ。ボク達がいただろ馬鹿が。なんで頼らねーんだよ!お前はそもそもボクから見てもクソ雑魚だしまだガキなんだからさぁ、一人でどうにかできると思うんじゃねーよ…」
……あれ?これってもしかして、心配されてる?
別に、レーテーさんを一人で相手して、依代とはいえ彼女を取り逃がしてしまったこととか道に迷って危ない目に遭ってしまったことを怒られているわけではない?
それに気づいたわたしのやることと言えば、ただ一つだった。
「……あの、みなさん、ちょっといいですか」
「何だ、ちゃんと聞くから言ってみなさい」
タナトスに促されて、やっと話し始める。
「………………はい。あの、ですね。ここで生活するようになってからお出かけに散々行ってるのにわたしが方向音痴なこと、みなさんに言ってなくてですね。普段が団体行動もしくは保護者同伴だから全然それを気にしなくてよかったんだなって迷子になった時に気付いたんですよ。だから…勝手に何の断りもなくGPS付けられてたのは若干怖かったけど結果的にそれに助けられたので、それはありがとうございます。」
それと、と前置きをしてから少し息を吸う。
「……心配かけてしまって、すみません。わたしは一応レーテーさんのことをどうにかできる対抗手段なのに、わたしが沈んじゃったらみなさんが打つ手をなくしちゃうかもしれないですよね。ちゃんと頼ります。わたしは、みなさんに心労をかけるのは大分嫌なので。」
補足、とオネイロスが手を挙げる。…補足?
「…にいちゃんたちは多分照れちゃって言えないことだから言うけど。別におまえが追憶の蔵書庫って対抗手段じゃなくても、これはみんな心配することなんだよ。小さい女の子が誰にも頼らず一人でやばい化け物をどうにかしようとして危ない目に遭ってる。シオンも客観的に、第三者視点で見たら心配しない?…するでしょ。だから、ちゃんと時々自分のこと客観視してね」
…なるほど。なるほど?別にわたしが対抗手段として強くなくても心配されることではあったのか。いやいやいや。そうかな、そうかも…。
「何目ェ回してんだよガキ。当然のこと言ったまでだろ。そうだよ、心配してんの!悪いかよクソボケが」
「…ヒュプノス、今日は一段と口が悪い…。…何やら誤解されているようだが、私達だってお前の身の心配だってする。花見の時にレーテーの眷属が姿を見せた時もお前は一人でどうにかしようとしたな。本当に、ああいうのは良くない。」
彼らから真剣な面持ちで話しかけられながらも全方向から全然違うテンポで寝かしつけの要領の背中ポンポンまたは横腹ポンポンをやられている。ぶっちゃけ混乱する。
そうか、わたし、心配されてるんだ。
別にわたしが普通の子供でも、心配するんだ。
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