DTガール!

Kasyta

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がっこうにいこう!

191話「異世界トラック」

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 流れる景色を横目に、ハンドルを軽く握って行く先を見据える。
 まさか異世界に来てトラックを運転することになるとは思わなかったが・・・・・・なんというか、浮いているせいか全く運転している気がしない。
 ゲームかシミュレーターでもやっているかのようだ。
 しかも近未来の代名詞だった”空飛ぶ車”である。
 想像してたのとは全然違うけど。

「到着までまだまだ掛かるし、フラムも後ろで休んでて良いよ。」
「ぅ、ううん・・・・・・ここが、いい。」

「分かったよ。けど、疲れたらちゃんと後ろで休んでね。後ろは広めに作ってあるから。」

 荷台部分には凝った内装は無く座席しかないが、その分広く作ってあるため、何人かが横になっても十分なスペースが確保できるだろう。
 ただ流石にそれだけでは味気ないので、「防弾ガラス並みの強度!」が触れ込みの魔女製ガラスを嵌め込んで、外の景色は見れるようにしてある。

「ァ、アリスも、休まないとダメ・・・・・・だよ?」
「あー・・・・・・そうだね。次に良さそうな場所があれば今日はそこで休むことにするよ。」

 刺激が無さ過ぎて油断してたらすぐに寝ちまいそうだしな・・・・・・。
 トラック自体は崖から落ちても壊れることはないだろうが、中の人は別だ。
 異世界でトラックで事故って死亡、なんて目も当てられない。

「あるー、ヒマにゃ!」

 荷台と繋がる扉が勢いよく開き、サーニャが飛び出さんばかりに顔を出してきた。

「ま、また? はぁ・・・・・・。じゃ、もうすぐ進んだら野営の準備するから狩りに行ってきていいよ。車からはあまり離れないようにね。」
「分かってるにゃ!」

 俺の返事を聞くや否や、今度は本当に飛び出して行ってしまった。
 まぁ、そんなスピードを出してるわけじゃないし、サーニャなら迷子になることはないだろう。

「全く・・・・・・いつもしょうがないわね、あの子は。そっちの調子はどう、アリス?」
「私は全然平気だよ。後ろの皆は?」

「フィーはニーナが連れて屋根に出てるわ。ヒノカは横になってる。私も・・・・・・あまり気分が良いと言える状態ではないわね。」
「そ、そっか・・・・・・ごめん。」

「貴女のせいじゃないわ。みんな慣れていないだけだと思うから。」

 車の揺れで、というよりは独特の浮遊感のせいで酔ってしまったのだろう。
 俺も最初は戸惑ったが、運転しているうちに慣れたので今は問題無い。車は車だしな。

「貴女は大丈夫なの、フラム?」
「ぅ、うん。ァ、アリスの言うとおりにしてたら・・・・・・へ、平気だった。」

「・・・・・・どういうことかしら。後ろの私たちは何も聞いていないのだけれど?」
「い、いや、進む方向を見てれば良いっていうだけだから。後ろじゃ出来ないでしょ?」

「まぁ、そうだけれど・・・・・・。」
「今日はもうすぐ野営だから、あと少しだけ頑張って。それからちょっと車の方に手を加えてみるよ。」

「分かったわ。大変だと思うけれど、お願いするわね。」

 屋根に楽に上がれるよう階段をつけて、屋根にも座席と手摺をつけてみるか。
 風に当たれれば気分もかなり違ってくると思うし。
 それでもダメなら次の手を考えてみよう。
 皆がグロッキー状態ってのは避けておきたいしな。

「それで、迷宮都市まではどれくらい掛かりそうなの?」
「んー、このままだと・・・・・・結構掛かるかも。ただ、皆がこの車に慣れればもっと速度を上げることもできるから、それ次第だね。」

 開きっぱなしのMAP画面とにらめっこしながらリーフの問いに答えた。
 この画面も魔女用の魔道具”ゲームメニュー”に付いている機能の一つだ。
 ナビゲーション機能は無いものの、現在位置に大まかな地形と主要街道、街の場所が分かるようになっている。
 よくもまぁこんなものを作れたものだ。
 こういうので現実逃避したい勢がいるのかもな。

「速度を上げるって・・・・・・これ以上?」
「うん。今は普通の馬車くらいしか出してないけど、まだまだいけるよ。」

 リーフの顔色がサーッと青くなった。

「だ、大丈夫だよ。皆が慣れてから少しずつ上げるようにするから。」
「・・・・・・信用できないわ。」

「え、えぇ~・・・・・・。」

 ちょっとくらい信用してくれても・・・・・・。

*****

「お~、そういや迷宮都市の外門って初めて見たかも。」

 馬車の列に並びながら、運転席から前方に見える迷宮都市の外門を観察する。
 門のデザイン自体は普通だが、街の中心の小高い丘に建つ遺跡が門を突き破るように見えて中々壮観だ。

「あるー、中に入らないにゃ?」
「門番の人に許可を貰わないといけないから、もうちょっとだけ我慢しててね。」

 学院からの転移ならこんな必要も無くて楽だったんだけど。
 身分は学院が保証してくれていたからな。

「むー、ツマンナイにゃ。また早く走らないにゃ?」
「あ、あはは・・・・・・次はこの街を出る時かな・・・・・・。」

 うぅ・・・・・・リーフの視線が痛い。

「あ! 進んだよアリス! 早く早く!」
「わ、分かってるから屋根叩かなくていいよニーナ。」

 じわじわと列が進んでいき、ようやく自分たちの番。
 門番が怪訝な目をトラックに向けてから俺の新しい身分証に視線を向けると、その目が大きく見開く。

「こ、これはイストリア家の・・・・・・!? ど、どうぞお通り下さい!」

 すごいなー・・・・・・貴族の威光。
 ま、ここは有難くさっさと通らせてもらおう。

「私たちの身分証・・・・・・確認しなくて良かったのかしら?」
「それはそれで時間かかっちゃうしね。役得ってことにしとこう。もう次の人の審査に入っちゃってるし・・・・・・。」

「うむ、そうだな。特にこのような奇妙な乗り物なら検められるのも時間が掛かるだろうからな。」
「それもそうね・・・・・・。」

 そそくさと門を進み、街を行く人にギルドの場所を聞き出して、そこからラビの店を目指して車を走らせた。
 何度か通ったことのある道でも、こうやって車から見るとまた違った景色に見える。

「ぁ、あそこ・・・・・・。」

 フラムが指差した方向にはラビの店が見えた。
 ・・・・・・なんか、またちょっと大きくなってないか?
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