竜剣《タルカ》

チゲン

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第五幕 リボン

6頁

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 町が燃えている。
 少年のミランと、若い母親は、炎のなかを逃げ惑っていた。
 崩れた瓦礫がれきや、そこらじゅうに転がる死体たちに、何度も足を取られて転んだ。
 違う。足を取られたのではない。死体に足を掴まれたのだ。
 死体は物臭ものぐさな動作で起き上がると、ミランと母に寄りついてきた。うつろな光を、その目に宿して。
 気が付くと、無数の死体に囲まれていた。
 逃げだそうとして母の手を引いても、母は動かなかった。
 振り返ったミランは愕然とした。
 母もまた、炎に焼かれ、ただれていた。
 きだしの眼球が、ミランを見た。
 ミランは母の手を離すと、脇目も振らずに逃げだした。
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