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第23幕
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一方その頃。
城の裏門を通る、粗末な荷馬車の姿があった。
裏門は、主に資材搬入や使用人の出入りに使われる。ただし今日は、舞踏会で振る舞われる料理の食材を運ぶ馬車などが、頻繁に出入りしていた。
「止まれ」
その馬車も例に漏れず、裏門を守る衛兵にまず止められた。
御者台に座っているのは、素朴でにこやかな顔立ちの青年だ。
「まいど」
その青年が屈託ない笑みを浮かべながら、搬入許可証を衛兵に提示した。積み荷は、確認するまでもなく荷台いっぱいのカボチャだった。
「追加のカボチャか。そういやぁ厨房の連中が足りねえってボヤいてたな」
衛兵に付き添われて、馬車は城門をくぐる。裏門には数人の衛兵が駐屯しており、こういった搬入出の際は側で監視するよう定められているのだ。
「急な注文だったんで、ちょっと時間食っちゃいましたよ。間に合って良かった」
「気にすんなよ。むしろ祭りの当日だってのに、よく用意できたもんだな」
「そりゃ、我らが王のためとありゃ、カボチャの方から畑を飛びだしてくるってもんで」
「ちげえねえ」
ひとしきり笑いあっていると、馬車は城の裏手にある厨房の勝手口に辿り着いた。
「すんませんけど、厨房の人たちを呼んできてもらえませんか。カボチャ下ろすの手伝ってもらいたいんで」
「判ったよ」
気のいい衛兵は、御者の頼みを快く引き受けて、厨房に向かった。
「今だよ」
御者が小声で呟く。
荷台の下から人影が飛びだし、風のような速度で裏庭の垣根に身を潜めた。衛兵が厨房の者を連れて戻ってきたのは、その直後である。
カボチャを全て下ろすと、荷馬車は衛兵と共に元来た経路を引き返していった。
「幸運を祈ってるよ、レラ」
「ん、何か言ったか?」
「いえ」
決して後ろは振り向かず、メイガスはそっと呟くのだった。
城の裏門を通る、粗末な荷馬車の姿があった。
裏門は、主に資材搬入や使用人の出入りに使われる。ただし今日は、舞踏会で振る舞われる料理の食材を運ぶ馬車などが、頻繁に出入りしていた。
「止まれ」
その馬車も例に漏れず、裏門を守る衛兵にまず止められた。
御者台に座っているのは、素朴でにこやかな顔立ちの青年だ。
「まいど」
その青年が屈託ない笑みを浮かべながら、搬入許可証を衛兵に提示した。積み荷は、確認するまでもなく荷台いっぱいのカボチャだった。
「追加のカボチャか。そういやぁ厨房の連中が足りねえってボヤいてたな」
衛兵に付き添われて、馬車は城門をくぐる。裏門には数人の衛兵が駐屯しており、こういった搬入出の際は側で監視するよう定められているのだ。
「急な注文だったんで、ちょっと時間食っちゃいましたよ。間に合って良かった」
「気にすんなよ。むしろ祭りの当日だってのに、よく用意できたもんだな」
「そりゃ、我らが王のためとありゃ、カボチャの方から畑を飛びだしてくるってもんで」
「ちげえねえ」
ひとしきり笑いあっていると、馬車は城の裏手にある厨房の勝手口に辿り着いた。
「すんませんけど、厨房の人たちを呼んできてもらえませんか。カボチャ下ろすの手伝ってもらいたいんで」
「判ったよ」
気のいい衛兵は、御者の頼みを快く引き受けて、厨房に向かった。
「今だよ」
御者が小声で呟く。
荷台の下から人影が飛びだし、風のような速度で裏庭の垣根に身を潜めた。衛兵が厨房の者を連れて戻ってきたのは、その直後である。
カボチャを全て下ろすと、荷馬車は衛兵と共に元来た経路を引き返していった。
「幸運を祈ってるよ、レラ」
「ん、何か言ったか?」
「いえ」
決して後ろは振り向かず、メイガスはそっと呟くのだった。
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