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02 雅彦
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初めての喫煙は美味いとか不味いとかそんな次元ではなく、ただただ煙たかった。それでもオッサン……雅彦さんはしっかり肺に入れるように言ってきて、涙目になりながらなんとか一本吸いきった。
「一箱やるわ。ライターも」
「ありがとうございます……」
雅彦さんは中々帰らなかった。そのうちに母が起きてくるんじゃないかとヒヤヒヤしたが、母の部屋からは全く物音がしなかった。
「美月くん、腹減ったやろ。何か食いに行くか」
「いえ……お構い無く……」
「そんな他人行儀にせんでええで。焼肉どうや」
「うん……行きたい……」
「よっしゃ、行こか」
僕は一旦私服に着替えて雅彦さんに着いて焼肉屋へ行った。そこそこ値段の張るところで果たして大丈夫なのだろうかと思ったが、雅彦さんはどんどん高い肉を頼んだ。
こっそりとビールも一口飲ませてもらった。こんなもののどこが美味いんだという味だった。慣れれば病み付きになるのだろうか。
「たくさん食べや」
「ほな、遠慮なく」
焼肉なんて小学生の頃祖父母に連れていってもらって以来だった。僕は焼けたそばからどんどん食べた。米も大盛りにしてもらい、スープもキムチも頼んでもらった。
「美月くん、ええ食べっぷりやな。気持ちええわ」
「雅彦さんはそんだけでええの?」
「おれは酒のアテの分だけでええねん」
そう笑う雅彦さんは首を絞めてきたあの人とはまるで別人で、どこにでもいる温厚なオッサンだと錯覚した。けれど、僕はやられたのだ。飲ませて飲んだ。母に知られたら一体どうなってしまうのだろう、それを考えるとおそろしかった。
「雅彦さんは……なんであんなこと、したんですか……」
肉が尽きる頃に聞いてみた。雅彦さんはビールを四杯飲んでいたがまるで顔色が変わっていなかった。
「元々美月くん目当てやったんや。涼子……君のお母さんに高校生の息子がおるって聞いてな。それで近付いた」
「男が好きなんですか……」
「そうや。それがバレて嫁とも離婚した。娘もおるで。ちょうど美月くんと同い年や」
子持ちのくせによくもまああんなことができるもんだ、と僕は憤った。首絞めてはたいて言うこと聞かせて、あんな無理やり。僕は茶碗に残った米をかきこんでウーロン茶で流し込んだ。
「美月くんのこと、気に入ったわ。もっと色々教えたる」
「嫌や、こわい……」
「大人しくしとったら殴らへん。気持ちよくさせたる。お母さんには内緒やで」
帰宅すると母はいなかった。僕は風呂に入って入念に股間を洗った。雅彦さんの感触を思い出してしまって身震いした。食事まで奢ってもらってしまったし、僕はあの人の言うことを聞くしかないのだろう。
ベッドに入ったもののなかなか寝付けなかったので、リビングに行ってもう一本タバコを吸ってみた。むせることなく吸い、今度はいくぶん心地よさを感じた。
僕は汚れてしまった。母と同じだ。あんな風にはなりたくないと常々思っていたのにこのザマ。血は争えないとでもいうのだろうか。
強引に目を閉じて他のことを考えた。この家から出ることだ。そのためには懸命に勉強して合格してみせる必要があった。
早く力が欲しかった。一人でも飯を食えて風呂に入れて空調の効いた部屋で眠れる力が。少しでもいい大学を出ていい会社に入って自立するんだ。
翌朝も学校があったので何食わぬ顔をして登校した。クラスの奴らは僕が母の愛人に手込めにされたことなんて夢にも思っていないだろう。いつも通りに僕は愛でられいつも通りに僕は笑った。
帰宅すると雅彦さんだけがいて、ニッコリと微笑みかけてくれた。
「ほな、しよか」
「……うん」
今度はされているのをじっくり見るよう言われた。雅彦さんの端正な顔が歪み、僕のものをくわえている姿はとても醜悪だった。けれど、僕だって同じことをしなければならない。どこをどうすれば男は気持ちよくなれるのか、それを身体で覚えさせられた。
「あっ、出るっ……」
雅彦さんの喉がごくりと鳴り、僕の顔はかあっと熱くなった。
「若いな。たっぷり出たで」
「言わんといて……」
「次、美月くんやで」
雅彦さんにされたことを思い出しながら必死にしごいて舐め回した。僕の頬には汗が伝い呼吸も乱れた。母もこうやってこの男のものをしゃぶったのだろうか、そう考えてしまい集中できなかった。
「出すけど、すぐ飲んだらあかんで」
ぴゅるりと注ぎ込まれてそのまま舌の上に乗せていた。雅彦さんは僕の唇をつまんでくぱりと開けさせた。
「そしたら、お口の中でくちゅくちゅして」
「んっ……」
こんなことよりトイレの水でもすすらされた方がマシだ、それかドブ川でもいい。
「もう飲んでええよ」
ぐっと飲み込んで雅彦さんを見上げると子犬でも見つけたみたいに優しく撫でてくれた。
「ようできたな。じきに美味しくなるわ」
それからはまた喫煙だ。タバコの苦味が口の中を紛らせてくれて、僕はすっかりセブンスターが好きになった。
「またちょいちょい来るわ。連絡先教えとくな」
その時の僕はこれさえ我慢すればどうにかなるのだと思い込んでいたのだが、雅彦さんはもっと卑劣なことを考えていたのだった。
「一箱やるわ。ライターも」
「ありがとうございます……」
雅彦さんは中々帰らなかった。そのうちに母が起きてくるんじゃないかとヒヤヒヤしたが、母の部屋からは全く物音がしなかった。
「美月くん、腹減ったやろ。何か食いに行くか」
「いえ……お構い無く……」
「そんな他人行儀にせんでええで。焼肉どうや」
「うん……行きたい……」
「よっしゃ、行こか」
僕は一旦私服に着替えて雅彦さんに着いて焼肉屋へ行った。そこそこ値段の張るところで果たして大丈夫なのだろうかと思ったが、雅彦さんはどんどん高い肉を頼んだ。
こっそりとビールも一口飲ませてもらった。こんなもののどこが美味いんだという味だった。慣れれば病み付きになるのだろうか。
「たくさん食べや」
「ほな、遠慮なく」
焼肉なんて小学生の頃祖父母に連れていってもらって以来だった。僕は焼けたそばからどんどん食べた。米も大盛りにしてもらい、スープもキムチも頼んでもらった。
「美月くん、ええ食べっぷりやな。気持ちええわ」
「雅彦さんはそんだけでええの?」
「おれは酒のアテの分だけでええねん」
そう笑う雅彦さんは首を絞めてきたあの人とはまるで別人で、どこにでもいる温厚なオッサンだと錯覚した。けれど、僕はやられたのだ。飲ませて飲んだ。母に知られたら一体どうなってしまうのだろう、それを考えるとおそろしかった。
「雅彦さんは……なんであんなこと、したんですか……」
肉が尽きる頃に聞いてみた。雅彦さんはビールを四杯飲んでいたがまるで顔色が変わっていなかった。
「元々美月くん目当てやったんや。涼子……君のお母さんに高校生の息子がおるって聞いてな。それで近付いた」
「男が好きなんですか……」
「そうや。それがバレて嫁とも離婚した。娘もおるで。ちょうど美月くんと同い年や」
子持ちのくせによくもまああんなことができるもんだ、と僕は憤った。首絞めてはたいて言うこと聞かせて、あんな無理やり。僕は茶碗に残った米をかきこんでウーロン茶で流し込んだ。
「美月くんのこと、気に入ったわ。もっと色々教えたる」
「嫌や、こわい……」
「大人しくしとったら殴らへん。気持ちよくさせたる。お母さんには内緒やで」
帰宅すると母はいなかった。僕は風呂に入って入念に股間を洗った。雅彦さんの感触を思い出してしまって身震いした。食事まで奢ってもらってしまったし、僕はあの人の言うことを聞くしかないのだろう。
ベッドに入ったもののなかなか寝付けなかったので、リビングに行ってもう一本タバコを吸ってみた。むせることなく吸い、今度はいくぶん心地よさを感じた。
僕は汚れてしまった。母と同じだ。あんな風にはなりたくないと常々思っていたのにこのザマ。血は争えないとでもいうのだろうか。
強引に目を閉じて他のことを考えた。この家から出ることだ。そのためには懸命に勉強して合格してみせる必要があった。
早く力が欲しかった。一人でも飯を食えて風呂に入れて空調の効いた部屋で眠れる力が。少しでもいい大学を出ていい会社に入って自立するんだ。
翌朝も学校があったので何食わぬ顔をして登校した。クラスの奴らは僕が母の愛人に手込めにされたことなんて夢にも思っていないだろう。いつも通りに僕は愛でられいつも通りに僕は笑った。
帰宅すると雅彦さんだけがいて、ニッコリと微笑みかけてくれた。
「ほな、しよか」
「……うん」
今度はされているのをじっくり見るよう言われた。雅彦さんの端正な顔が歪み、僕のものをくわえている姿はとても醜悪だった。けれど、僕だって同じことをしなければならない。どこをどうすれば男は気持ちよくなれるのか、それを身体で覚えさせられた。
「あっ、出るっ……」
雅彦さんの喉がごくりと鳴り、僕の顔はかあっと熱くなった。
「若いな。たっぷり出たで」
「言わんといて……」
「次、美月くんやで」
雅彦さんにされたことを思い出しながら必死にしごいて舐め回した。僕の頬には汗が伝い呼吸も乱れた。母もこうやってこの男のものをしゃぶったのだろうか、そう考えてしまい集中できなかった。
「出すけど、すぐ飲んだらあかんで」
ぴゅるりと注ぎ込まれてそのまま舌の上に乗せていた。雅彦さんは僕の唇をつまんでくぱりと開けさせた。
「そしたら、お口の中でくちゅくちゅして」
「んっ……」
こんなことよりトイレの水でもすすらされた方がマシだ、それかドブ川でもいい。
「もう飲んでええよ」
ぐっと飲み込んで雅彦さんを見上げると子犬でも見つけたみたいに優しく撫でてくれた。
「ようできたな。じきに美味しくなるわ」
それからはまた喫煙だ。タバコの苦味が口の中を紛らせてくれて、僕はすっかりセブンスターが好きになった。
「またちょいちょい来るわ。連絡先教えとくな」
その時の僕はこれさえ我慢すればどうにかなるのだと思い込んでいたのだが、雅彦さんはもっと卑劣なことを考えていたのだった。
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