4 / 5
4
しおりを挟む
人々と交わり、人を嫌い、人に嫌われる。当たり前の出来事が
自分には苦痛で苦痛で、胸が張り裂けそうになるのです。
手のひらの忍耐という文字が消えるころには、すっかり心は傷つき、また新しい忍耐という文字を書き続ける毎日でした。
いつかは報われる。そう思い、今まで生きて参りました。
しかし、鎧を脱いだ今の自分にはわかるのです、母上。
現実という、世にこれほど残酷なものがあるのでしょうか。
この世界で、生きていくには現実を直視しなければなりません、ですが、母上、現実を直視するのが恐ろしいのです。
現実を直視し、打ち克って、生きていくだけの気力が、もう自分にはないのです。
嘘に塗れた、偽った自分をもうこれ以上続けるのは、到底、出来そうにありません。
自分には彼女がとても眩しく見えました。
後ろから後光が差すかのように、彼女は眩しかったのです。
うす暗い地下鉄を明るく照らす、地上に降りてきた天使のように彼女は神々しい存在でした。
酒臭い天使とでも言いましょうか。
母上、この前一緒にテレビのニュースを見たことを覚えていらっしゃいますか?
その時自分は、持っていたスプーンを思わず落としてしまっていましたね。
それには、ちゃんと理由があるのです。
テレビを見て母上は、
「あらま、なぜこんなことするのかしらね、死ぬなら一人で死ねばいいのに」
とおっしゃっていましたね。
そうなんです。
繁華街で、無差別殺人を起こした彼女こそが
自分が助けた彼女なのです。
初めは、自分も目を疑いました。彼女に似ている誰かなのだと自分に言い聞かせ、
もう一度よく見てみました。
それは紛れもない彼女でした。
自分には苦痛で苦痛で、胸が張り裂けそうになるのです。
手のひらの忍耐という文字が消えるころには、すっかり心は傷つき、また新しい忍耐という文字を書き続ける毎日でした。
いつかは報われる。そう思い、今まで生きて参りました。
しかし、鎧を脱いだ今の自分にはわかるのです、母上。
現実という、世にこれほど残酷なものがあるのでしょうか。
この世界で、生きていくには現実を直視しなければなりません、ですが、母上、現実を直視するのが恐ろしいのです。
現実を直視し、打ち克って、生きていくだけの気力が、もう自分にはないのです。
嘘に塗れた、偽った自分をもうこれ以上続けるのは、到底、出来そうにありません。
自分には彼女がとても眩しく見えました。
後ろから後光が差すかのように、彼女は眩しかったのです。
うす暗い地下鉄を明るく照らす、地上に降りてきた天使のように彼女は神々しい存在でした。
酒臭い天使とでも言いましょうか。
母上、この前一緒にテレビのニュースを見たことを覚えていらっしゃいますか?
その時自分は、持っていたスプーンを思わず落としてしまっていましたね。
それには、ちゃんと理由があるのです。
テレビを見て母上は、
「あらま、なぜこんなことするのかしらね、死ぬなら一人で死ねばいいのに」
とおっしゃっていましたね。
そうなんです。
繁華街で、無差別殺人を起こした彼女こそが
自分が助けた彼女なのです。
初めは、自分も目を疑いました。彼女に似ている誰かなのだと自分に言い聞かせ、
もう一度よく見てみました。
それは紛れもない彼女でした。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる