謎の快適ビーチ

碧絵まり

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謎の快適ビーチ

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 夏の海とは焼けつくような暑さと日本の夏の唸るような蒸し暑さを併せ持ち尚且つ砂浜の照り返しにより一層眩しさを増す。水面は、ギラギラと光り、風によって揺れている。といったイメージがあるが、ここは何だ。景色は夏の景色そのもの、いや、何処となくギラギラ感がキラキラになっている気がするがそれよりもだ。
 体感気温がまるで違う。焼けつく様な暑さや唸るような蒸し暑さは微塵も感じず、代わりに陽だまりのような暖かさ、何処となく快適な微風が身体を包み込む。ここは楽園なのだろうか。快適過ぎて時間を忘れてしまう。
 いや、おかしい。俺は間違いなく、イメージ通りの海に来ていた。しかも30分ぐらい前まではそこに居たはずだ。
 すると「ピンポンパンポーン、お時間になりました。元に戻ります。景品のパラダイスビーチはいかがでしたか。これからもスカイリゾートビーチをお楽しみください。」
 そうだった。俺は会社の抽選で当選して、スカイリゾートビーチを満喫していたんだった。そして、そこで開催されていたビンゴ大会でも優勝して、VIPしか利用できないパラダイスビーチという仮想空間に居たんだ。快適過ぎて仮想空間だという事すら忘れていた。だが、あの快適さはこの先もずっと忘れられないだろう。
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