猫被りも程々に。

ぬい

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July

夏休み突入

あれからなんとか熱も下がり、テストと結果発表も終わって、俺は既に夏休みを迎えていた。

試験の結果は結論から言うと満点、というわけにはいかず。
会長からは溜息を吐かれたが、それでもなんとか1位をキープ出来たので良かったとしよう。

夏休みはこれでも一応図書委員長なのでほぼ毎日図書室へ顔を出すことになっている。といってもやることは無いので夏休みの宿題か、本を読むかの2択しかない。
開ける意味はあるのかと思うが夏休みの宿題をしに利用する生徒が結構いるらしい。

午前中は学校。午後は適当に寮へ帰宅してゲームや理久に勉強を教える。
そんな感じの生活パターンを毎日送っていたが、今日は違った。

「…要先輩」
「あれ…湊?お見舞い来てくれたの?」

藤田要とかかれた札の病室を訪ねると何ヶ月ぶりの姿の要先輩が優しく微笑んだ。

実は前からお見舞いに行こうも思っていたのだが、なかなか時間が取れずやっと昨日顧問の先生に要先輩の入院先を聞いたところだった。

「元気だった?」
「それはこっちのセリフです。身体の調子どうですか?」
「僕は元気だよ。2学期からは復帰できそうだしね」

そう言って笑う要先輩は記憶の中の姿と全く変わっておらず、元気そうで安堵した。
連絡はこまめにとってはいたがやっぱり文字だけで話すのと顔を見て話すのは全然違う。

「図書委員長、大変?」
「全然。結構暇ですよ」
「そっか、ごめんね」
「なんでそこで謝るんですか」

要先輩が謝る必要なんてないのに。
眉を下げて軽く笑えば、申し訳なさそうに要先輩が笑い返す。

「あ、そうだ。勉強は?ついていけてる?」
「…あー…それについては問題ないです」

本当のことを言うべきか誤魔化すべきか迷ったがもう遅かった。俺の様子に気付いた要先輩はきょとんと不思議そうな顔で俺を見つめる。顔が整っているだけあって、無駄に変な威圧感を感じた。

「その様子だと誰かに教えてもらってるの?」
「えっと、まあ」

正直に会長に教えてもらいました、なんて言えるはずもなく。曖昧に濁せば要先輩は考えるような表情で俯いた。
そんな暫くの沈黙に俺は何も言わず要先輩の言葉を静かに待つ。

「…もしかして会長?」
「え、なんで分かったんですか」
「なんとなく、そうかなって」

頭の良い湊に勉強教えられそうな人ってうちの学園だと久石と会長くらいだから、と続ける要先輩に納得せざるおえなかった。
確かに副会長と会長、消去法でいけば外面の良さから考えると会長の方が教えてくれそうな感じはある。あくまで外面の会長での話だが。

納得した表情の俺に何が面白いのか急にクスッと要先輩が笑う。

「笑う要素ありました?」
「いや、僕も会長が勉強面倒見てくれてるなら安心だなって思って」

そんなので笑いが出るものなんだろうか。
要先輩の笑いのツボがよくわからない。

この後勉強を教えてもらうまでの経緯を聞かれた時用に嘘のエピソード等を色々考えていたが、そこまで深く聞かれることはなく、あっさりと新しく入荷した本の話に変わった。

「…また来ますね」
「うん。あんまり無理しないようにね」
「要先輩もしっかり治してくださいよ」

空白の期間が長かったからか、かなり話が弾んでしまい時刻は夕方過ぎ。
面談の時間もそろそろの終わりだということもあり、今日はとりあえずお開きということで病室を後にする。

(…そういえば、当分会長と話してないな)

一応終業式で姿は見たけど。

要先輩との会話で会長の名前が出たからか、今更そんなことを思った。恐らく看病してもらった以来、話していない。まあ呼ばれないということは生徒会の仕事が落ち着いているということだからいい事ではある。

特に呼ばれてもないのに行くのも気が引けたがもうすぐ8月に入るし、なんとなく様子見がてら俺は会長の部屋に向かった。

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