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大聖堂の天道
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大聖堂から天界へワープできることはわかった。このペリア郷土料理店から大聖堂は歩いて2分とかからない距離らしい。移動しながら周りの人間を観察してみる。別段、変わった点はないのだが、人種としてはアジア系、偶に白人が混ざっている感じだ。鎖でつながれ労働を強いられて居るのは黒人...?いや、アラブ系の人も混じっている様だ。
「なーミサ、あのつながれてる人達は奴隷なのか...?」
するとミサは少し顔を曇らせて
「おそらくは...。下界の民は敗戦国の兵士を捕らえて奴隷にする風習があるらしく、奴隷はそれは過酷な労働をさせられて居る様です...」
なるほど。天界と言えども下界の情勢には基本無干渉なんだな?
そんな事を考えながら歩いていると、大聖堂がもう目の前だ。大聖堂の割にはどこか物足りない感じがするが、一般的な教会の様な感じだろうか?
「直也様、ここがだいせい...キャッ!」
ミサが説明を始めようとすると憲兵らしき男が
「どけ小娘っ!」
とミサを押し飛ばした。
「...っ」
ミサはお尻から派手に尻もちをつき、声にならない悲鳴をあげている。
「おい小娘、よく見たらいい女じゃねーか!俺が可愛がってやる...こいっ!」
そう言ってミサの左手を掴むと立ち去ろうとした。こいつ...そう思って俺が飛び出そうとすると
ガシャンッ!
いきなり大聖堂の扉が開き
「......欲に惑し哀れな子羊よ...いや、あんたには狼がお似合いかぃ?あたしの教会の前で女拐かそうとするたぁいー度胸じゃねーかよー!」
...この人はシスター...?なんだよな?頭から白い布を被り、黒の礼服を着ている。見るから教会のシスターだ...しかし、その細い右手には2mは優に越すだろうと思われる大剣を持っているではないか。
「お、おまえは...![斬撃尼(スライス・シスター)]!?わ、悪かった...!もうしねぇ、許してくれぇ...!」
と、声も切れ切れに逃げ出してしまった。
「ほーら、早くお立ち、ミ~サ!ほらあんたも突っ立ってない!男だろ!」
へたり込んでしまったミサをひょいと引っ張り起こしてしまった。...こいつ本当に戦と愛を司る天使なのか...?
「おい、あんた!聞いてるのかい?」
また声をかけられてしまった。この人には自然と頭が下がってしまう。
「あ、はい。すいません。えーと...その、さっきはありがとうございましたっ!」
自然界の格を感じたのか俺もらしくなく、素直に答えてしまってる。
「あの...シスター、あ、ありがとうございましたっ!私、このまま...手込めにされるかと...」
麗しい瞳に水玉を浮かべてふるえ声でミサが言った。
「しっかりおし!あんた天使でしょ!ガブリエルでしょ!あとあたしのことはシスターでなくカツェと呼びなさい!何度言ったらわかるの!それとミサ...この頼りなさそうなヒョロい男はなんだね?」
ヒョロい男...俺のことか?ヒョロいんじゃない、細マッチョなだけだ!...そう思ったが確かに俺は体育以外、スポーツなんてしたことねーな...
「あ、カツェさんっ!この人は私の旦那さんですっ!」
満面の笑みで答える。ちょっとミサさん、何度言ったらわかるんですか...訂正する気力もわきやしない。
「へー、この坊ちゃんがぁ?って事は先代の言ってた勇者かいな?って事はこれも分かるのかな...?”星はなぜ回る?なぜ天界の道は閉ざされている”。」
んーと、意味わからんな。
「星はなぜ回る?なぜ天界の道は閉ざさている?なんですかその謎掛けみたいなの。」
さっぱりわからなかったので聞いてみると
「おぉ!こいつぁ本物だ!天籍の証拠じゃないかぃ!生まれながらの!今のは天界の言葉だよ!意味が通じたから間違いない!」
よくわからんが頭の中で自動翻訳してくれたみたいだな...?
「あのぉ、カツェさん...失礼ですが天道の解放お願いできますか...?急いで水晶宮に直也様を連れて帰らなければならないので...」
水晶宮...?天界の城なんだろうか?
「ミサ、水晶宮に行くのかい!?だったらあたしも行くよっ!なんたってこの時をあたしはずっと待ってたんだからね!」
ずっとって...高々25年でしょ。外見25歳入ってないように見えるもの。よく見るとスタイルバツグン、おまけに美人だ...なんかお姉様的魅力が...
「ほんとですかっ!ありがとうございます!斬撃尼の二つ名を持つ王都最強の魔女が手伝ってくれるのなら心強いですわ!」
...魔女?魔女ってあの魔女?魔法使ってドカーン的なチーター?科学無視の...?え、なにそれ凹む...
「そうと決まりゃ、チャチャっといくよ!......ザン......ゴラ...ンダ...」
とブツブツ何かを唱えると
キュワァァァアン‼‼
高い機械音とともに目の前に螺旋階段が出来ているではないか!
「直也様、ここを登れば天界、水晶宮です!...心配しないで下さい!距離は長く感じるかもしれませんが、大聖堂と天界、直接空間を繋げて居るので30段位で着きますよ!」
天使に世界鏡、おまけに魔女......挙句、空間歪めて来たよ...俺は本物にこの世界で生きていけるのか?科学の通じなさそうなこの世界で...。立ち止まる暇はなく、半ば強引にカツェさんに引き摺られ、階段へと行くのであった...
「なーミサ、あのつながれてる人達は奴隷なのか...?」
するとミサは少し顔を曇らせて
「おそらくは...。下界の民は敗戦国の兵士を捕らえて奴隷にする風習があるらしく、奴隷はそれは過酷な労働をさせられて居る様です...」
なるほど。天界と言えども下界の情勢には基本無干渉なんだな?
そんな事を考えながら歩いていると、大聖堂がもう目の前だ。大聖堂の割にはどこか物足りない感じがするが、一般的な教会の様な感じだろうか?
「直也様、ここがだいせい...キャッ!」
ミサが説明を始めようとすると憲兵らしき男が
「どけ小娘っ!」
とミサを押し飛ばした。
「...っ」
ミサはお尻から派手に尻もちをつき、声にならない悲鳴をあげている。
「おい小娘、よく見たらいい女じゃねーか!俺が可愛がってやる...こいっ!」
そう言ってミサの左手を掴むと立ち去ろうとした。こいつ...そう思って俺が飛び出そうとすると
ガシャンッ!
いきなり大聖堂の扉が開き
「......欲に惑し哀れな子羊よ...いや、あんたには狼がお似合いかぃ?あたしの教会の前で女拐かそうとするたぁいー度胸じゃねーかよー!」
...この人はシスター...?なんだよな?頭から白い布を被り、黒の礼服を着ている。見るから教会のシスターだ...しかし、その細い右手には2mは優に越すだろうと思われる大剣を持っているではないか。
「お、おまえは...![斬撃尼(スライス・シスター)]!?わ、悪かった...!もうしねぇ、許してくれぇ...!」
と、声も切れ切れに逃げ出してしまった。
「ほーら、早くお立ち、ミ~サ!ほらあんたも突っ立ってない!男だろ!」
へたり込んでしまったミサをひょいと引っ張り起こしてしまった。...こいつ本当に戦と愛を司る天使なのか...?
「おい、あんた!聞いてるのかい?」
また声をかけられてしまった。この人には自然と頭が下がってしまう。
「あ、はい。すいません。えーと...その、さっきはありがとうございましたっ!」
自然界の格を感じたのか俺もらしくなく、素直に答えてしまってる。
「あの...シスター、あ、ありがとうございましたっ!私、このまま...手込めにされるかと...」
麗しい瞳に水玉を浮かべてふるえ声でミサが言った。
「しっかりおし!あんた天使でしょ!ガブリエルでしょ!あとあたしのことはシスターでなくカツェと呼びなさい!何度言ったらわかるの!それとミサ...この頼りなさそうなヒョロい男はなんだね?」
ヒョロい男...俺のことか?ヒョロいんじゃない、細マッチョなだけだ!...そう思ったが確かに俺は体育以外、スポーツなんてしたことねーな...
「あ、カツェさんっ!この人は私の旦那さんですっ!」
満面の笑みで答える。ちょっとミサさん、何度言ったらわかるんですか...訂正する気力もわきやしない。
「へー、この坊ちゃんがぁ?って事は先代の言ってた勇者かいな?って事はこれも分かるのかな...?”星はなぜ回る?なぜ天界の道は閉ざされている”。」
んーと、意味わからんな。
「星はなぜ回る?なぜ天界の道は閉ざさている?なんですかその謎掛けみたいなの。」
さっぱりわからなかったので聞いてみると
「おぉ!こいつぁ本物だ!天籍の証拠じゃないかぃ!生まれながらの!今のは天界の言葉だよ!意味が通じたから間違いない!」
よくわからんが頭の中で自動翻訳してくれたみたいだな...?
「あのぉ、カツェさん...失礼ですが天道の解放お願いできますか...?急いで水晶宮に直也様を連れて帰らなければならないので...」
水晶宮...?天界の城なんだろうか?
「ミサ、水晶宮に行くのかい!?だったらあたしも行くよっ!なんたってこの時をあたしはずっと待ってたんだからね!」
ずっとって...高々25年でしょ。外見25歳入ってないように見えるもの。よく見るとスタイルバツグン、おまけに美人だ...なんかお姉様的魅力が...
「ほんとですかっ!ありがとうございます!斬撃尼の二つ名を持つ王都最強の魔女が手伝ってくれるのなら心強いですわ!」
...魔女?魔女ってあの魔女?魔法使ってドカーン的なチーター?科学無視の...?え、なにそれ凹む...
「そうと決まりゃ、チャチャっといくよ!......ザン......ゴラ...ンダ...」
とブツブツ何かを唱えると
キュワァァァアン‼‼
高い機械音とともに目の前に螺旋階段が出来ているではないか!
「直也様、ここを登れば天界、水晶宮です!...心配しないで下さい!距離は長く感じるかもしれませんが、大聖堂と天界、直接空間を繋げて居るので30段位で着きますよ!」
天使に世界鏡、おまけに魔女......挙句、空間歪めて来たよ...俺は本物にこの世界で生きていけるのか?科学の通じなさそうなこの世界で...。立ち止まる暇はなく、半ば強引にカツェさんに引き摺られ、階段へと行くのであった...
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