サレ夫が愛した女性たちの追憶

しらかわからし

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第4章

14話-1 勤務5日目 朝の出勤で社長との約束の清掃

私は休日前と同じように一時間前に出勤し事務所に入ると夜勤をしていたフロントの尾島が、笑顔で私に目を合わせて、「久留実野さん、おはようございます!」と彼の方から挨拶をして来た。

私も「おはようございます」と挨拶した後に、(休み前までは俺の方から挨拶していたのに、今まではろくすっぽ目も合わさなかったのがどうしたんだろう?)と思いながらも、気持ち悪さを感じていた。

私は休み前と同様にホテルの外回りと駅舎、そして派出所前と今日は更に駅舎隣の自転車置き場の掃き掃除をした。

外壁の蜘蛛の巣取りをした後に内部の蜘蛛の巣を取るとその後はタイムカードを押してレストランのカウンター内の準備をした。

後から富田美紀と佐藤英子が出勤してきて、その後主任の大崎が来た。

私がカウンターの準備をしていると、富田と英子がわざわざカウンターの前に来て「おはようございます」と挨拶をした。

「昨日は休んでゆっくりできた?」と英子が訊いたので、「まぁね」と私。

「昨日、夕方に来たみたいだけど、何しに来たの?」と富田が言ったので、私は「富田さんに手伝ってもらったあのゴミをホテルのゴミ集積所に持って来たんだよ」と言うと、富田は「あぁ、あれね」と言った。

「あれって何?」と英子が富田に訊いた。

富田は自慢げに、「久留実野さんの寮の二階には前に住んでいた人たちのゴミが沢山有ってこの間の中抜け休憩の時間に手伝ってゴミ袋に纏めたのよ」と言った。

「そんな事をしたんだ?」と英子は少々不機嫌な顔をしながら「じゃぁ、今度は私が手伝うよ」と言った。

「大丈夫よ、私が中抜き休憩の時に手伝うから」と富田が言ったので私が、「これからの中抜き休憩ではホテルの掃除をするから休みの日にやるから大丈夫だから」と言った。

富田は「え……、つまらないの!」と言って膨れた。

「まぁまぁ、そうやってお二人さんが手伝おうとしてくれるのは大変に有難く思っているので、どうぞ今後ともヨロシクお願いします!」と言うと二人ともに浮かない顔をして持ち場に戻った。

その後、主任の大崎が来て、「久留実野さん、おはようございます!」と言い、続けて「先日は外国のお客様の時に助けて下さってありがとうございました!」と言った。

更に続けて、「最初『新人!』とか生意気な事を言ってすみませんでした」とも言った。

「いえいえ、お互い様ですから気にしないで下さい」と私。

私は大崎の変わり様に驚きを隠せなかった。

朝の挨拶もそうだが助けてもらった事への感謝ができる人なんだと改めて認識した。

少しずつだが皆の意識が良い方向に向かっていて良かったと感じていた。

そうこうしていると洗い場のオバサンたちが出勤してきて、カウンターの前に勢揃いして、「久留実野さん、おはようございます!」と言った。

私も「おはようございます」と言い、薄化粧をして来た目黒に「あれ~、目黒さん今日はキレイなんじゃないの~?」と言うと照れていた。

鈴木は美容室に行ったみたいで髪を切っていたので「ヘアースタイル変えたんだね、やっぱり美人さんはショートが似合うよね~!」と言った。

「うちの旦那は全然気付いてくれないのに久留実野さんは直ぐに気付いてくれて嬉しい!」と鈴木。

「旦那さんは気付いているけど口に出さないだけなんじゃないのかな?」

「そうなんだろうけど、それじゃぁ、つまらないよね」

休み前までは私が挨拶に行っていたのに、どういう風の吹き回しなのかと私は気持ち悪さを感じていた。

その後、調理場の三番の新橋、その後にスーシェフの神田が出勤してきて、厨房の窓から顔を出し「久留実野さん、おはようございます!」と大声で挨拶をした。

いよいよ私は気持ち悪さを感じた。

午後になったら良太に昨日、何事が有ったのかを訊いてみようと思った。

コーヒーが出来たので全員の分をコーヒーカップに注いでいると富田がトレンチを持って取りに来てくれて、その時に料理長が厨房に入って来た。

富田はコーヒーを配っても料理長は何も文句を言わなかったので皆、「アレ、今日は苛めをしないの?」と不思議な顔をして一番驚いていたのが本人の富田だった。

私は料理長がいる前の窓の所に行き「おはようございます!」と言うと小さな声で「おはようございます」と言った。

(料理長は今まで誰からもガツンとやられた事がなかったのかもしれない)と思った私だった。

つづく

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