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しらかわからし

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第13話:滝のような雨と看板屋の教え

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今日は滝のような大雨だ。カッパを着て仕入れ、そして巡回した。この仕事での雨はかなり辛い。

でも「雨の中、ありがとう!」と元気に言う、お爺ちゃんとお婆ちゃんの顔を見ると「負けてられない」と思う。ボクを一人前の男に鍛えてくれる方々に感謝だ。

今日は大雨だったから、長話しするお客様はいなかった。しかし一人のお爺さんからご指摘を頂いた。

そのお爺さんは昔、町で看板屋さんをやっていて、今はお爺さんの長男さんが継いでいるとのことだった。

「このトラックは店に展開する前はただの箱だろ? このスペース、勿体ないよ」と、荷台の箱を指差して言われた。

「はい」
「何屋だか分からないだろ?」
「はい」
「何屋で誰がやって、何処に連絡すれば良いか? が商売の原点だろ? 後は売り物のイラストだな」
「はい……」
「倅に言っておくから、看板を背負いなさい。無料でやるようにってね」
「え……、無料で、ですかぁ?」
「そう、これで金を取ったら俺は詐欺師だろ?」
「そ、そんな事はないですよ」
「いつも太郎ちゃんには優しい言葉を掛けてもらっているし、この間もらった筍の煮物がめちゃくちゃ美味かったからさ、そのお返しだよ!」
「え……、良いんですか? ありがとうございます!でも生意気を言わせて頂いても良いですか?」
「何を?」
「はい、移動食品屋と商店名、そして電話番号ぐらいは甘えさせて頂きますが、その他の商品のイラストはお断りしても宜しいでしょうか?」
「何で?」
「利益が出たら、僕がご長男さんのお店に行って発注し、正規の金額をお支払いしたいので」
「そういうことか。でもこの際だから甘えなさい」
「吉川さん、これだけはお願いします」
「太郎ちゃんがそこまで言うなら、分かったよ。まだ利益出てないんだ?」と言って笑った。
「はい……、お恥ずかしい限りです。父親から借りたお金は、おかげさまで毎月払えているんですが、ボクの手元には今度の確定申告の為に貯めているお金しか今のところ残らないんです」
「俺の創業時代もそんなもんだったよ。俺は太郎ちゃんを応援しているから頑張りなさい!」
「はい、ありがとうございます」

何だか海老で鯛を釣ったみたいだけど、お客様の教えとご厚意に甘えることにした。
そんな訳で後日、ご連絡を頂いたので、ご長男さんがされているという看板屋さんに手土産を持って行った。するとカッティングシートという奴で貼り付けて下さった。
ただ、耐久年数は五年ぐらいなんだって。五年経ったら、ペンキで描いてもらおうかと思った。

尚且つ、女将さんが出て来て、商品を見て下さった。残っていた総菜と生鮮品を全部買って下さったので、原価でお売りした。
お客様からは、優しいお言葉やご教示、そして商品を買って頂き、いつも本当にありがたく思っている。

明日も頑張るぞ!

つづく

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