軽トラ移動スーパーはじめました! 買い物・サービス難民ゼロへ! 遠くの孫より、近くの太郎!

しらかわからし

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第36話:お買い物の楽しみと「遠くの孫よりも近くの他人」

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お客様は老若男女、誰もが「買物したい」という欲求を持っている。

車に乗れなくて、バイクに乗れなくても、自転車にも乗れなくて、歩きでも、足が悪くても。ボクが軽トラで回る山奥の集落には、買い物困難者のお年寄りが本当に多い。

そんな多くのお年寄りに会ってきて言われたことは、「娘や息子に頼んでネットっていう奴で宅配してもらっても、商品を注文してから届くまでに数日掛かって、送料まで払わされたら……」という不満だ。

そもそも食べ物は、それを思った瞬間に食べたくなるものだ。
ボクの場合は、貧乏人なので、「いきなりステーキのハンバーグ」が今の所、一番のご馳走だ。平日の昼営業しか行けないので、今は絶対に行けなくなってしまった。

それでも、このハンバーグを想像しただけで、あの画像が頭に浮かび、口の中はあのジューシーな肉汁が舌に纏う感じがする。

最近は本部の業績が悪くてドンドン、閉店に追い込まれているが、美鈴さんとのデートの時は奮発して日曜日の夕飯に行こうと思っているんだけど、ボクが行っているお店もその内に閉店しちゃうんじゃないかと心配になっているほどだ。

そんな訳で、その時に「食べたい」と思った物が、数日後にも食べたいとは限らない。
それに、ネット注文では、商品を見て選ぶという楽しみが得られないのは辛い。

娘さんや息子さんが、買って来てくれるとか、ネット注文をしてくれるというご高齢のお客さんも結構いらっしゃった。でも、全ての人が、「やっぱり自分で買いたい」と言った。

だから「太郎ちゃんが来てくれるようになって嬉しい!」って言ってくれる。

買物は、やはり自ら選ぶからこそ楽しいし実感が湧くというものだ。二八〇品目の商品を軽トラの荷台に並べて、「どれにしようかな」と悩む時間こそが、お年寄りにとってのささやかな娯楽なのだ。

その買物の楽しさをお届けする為に、ボクは今日も軽トラで地域を走る。

ただ商品を車に載せて届けるだけだったら、宅急便と同じだ。
ボクは商品を売るだけではない。悩みも聞いて上げるし、電球が切れていたら無料で取り替えて上げるし、次の訪問時には替え置きの電球も買って来て上げる。

そんな「遠くの孫よりも近くの他人の孫」をボクは目指している。

美鈴さんとのデートをエネルギーにして、明日もお客様の笑顔のために頑張るぞ!

つづく

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