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第79話:お客様の送迎をお断りしたら、「もう来ないで!」と言われた
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初めての要望と断固たる拒否。
この仕事を始めてから、ボクは初めてお客様からの要望を断ることになりました。それは、ボクにとって心苦しい決断でした。
いつものようにボクから商品を買ってくださるお婆ちゃんがいました。その日、外は強い雨が降っていました。お婆ちゃんは、ボクに言いました。「太郎ちゃん、悪いけど、今日は雨が降っているから、病院まで乗せてってよ!」
ボクは、一瞬言葉に詰まりました。ボクの仕事は、移動食品販売です。ボクはタクシー業務をしているわけではありません。もしお婆ちゃんを送迎してしまえば、次に巡回するすべてのお客様のところに遅れてしまうことになります。それだけではありません。ボクは、もしもの事態を考えました。
ボクは、心を鬼にして「申し訳ありません」と、頭を下げてお断りしました。
強い叱責と失ったお客様。
ボクの返事を聞いたお婆ちゃんは、怒りを露わにしました。
すると、なんと「アンタの商品は買わないから、もう家には来ないで!」と、非常に強い口調で叱られてしまったのです。
ボクは、一人、お客様を失くしてしまいました。しかし、こればかりはボクの仕事の枠を超えた要望であり、仕方ないことでした。
お婆ちゃんは、いつもはタクシーを呼んで病院まで行っているそうです。しかし、雨が降っている影響で、タクシーが来るまで時間がかかるらしいと話していました。さらに、往復で一万円もの費用が掛かるとも言っていました。お婆ちゃんの切実な事情は理解できました。
ですが、ボクの車にお客様を乗せて運行することはできません。万が一、ボクの車に乗せて事故でも遭ってしまったら、それこそボクでは責任が取れない事態になります。
ボク自身の事業の存続に関わる問題です。だからこそ、ボクは頑なにお断りをしたのです。
運転席と助手席の境界線。
さらに、物理的な事情もあります。ボクの車は、平日は助手席にレジやその日の売れ筋の商品などを山積みに載せてあります。そもそも、人を乗せるスペースがないのです。それは、販売業務をスムーズに行うための工夫でもありました。
ですが、今回の件を受けて、ボクは今後の対策を考える必要性を感じました。
「人は慣れると我儘が出る」ものだ、と痛感しました。お客様がボクのサービスに慣れて、親しくなってくださったからこそ、移動販売の枠を超えた要望が出てしまったのでしょう。
ボクは、これからも助手席にはもっと荷物を置いて、人が座れないようにしておこうと決めました。そうすることで、物理的に送迎の依頼を断りやすい状況を作っておこうと思ったのです。
お婆ちゃんからの叱責は、ボクにとって辛い出来事でした。ボクの心の中には、後味の悪い気持ちが残りました。
ボクは、自分自身に強く誓いました。「ボクは、あのような我儘を言う大人にはならないようにしよう」と。
この経験を教訓として、明日も事業のルールを守りながら、お客様のために頑張るぞ!
つづく
この仕事を始めてから、ボクは初めてお客様からの要望を断ることになりました。それは、ボクにとって心苦しい決断でした。
いつものようにボクから商品を買ってくださるお婆ちゃんがいました。その日、外は強い雨が降っていました。お婆ちゃんは、ボクに言いました。「太郎ちゃん、悪いけど、今日は雨が降っているから、病院まで乗せてってよ!」
ボクは、一瞬言葉に詰まりました。ボクの仕事は、移動食品販売です。ボクはタクシー業務をしているわけではありません。もしお婆ちゃんを送迎してしまえば、次に巡回するすべてのお客様のところに遅れてしまうことになります。それだけではありません。ボクは、もしもの事態を考えました。
ボクは、心を鬼にして「申し訳ありません」と、頭を下げてお断りしました。
強い叱責と失ったお客様。
ボクの返事を聞いたお婆ちゃんは、怒りを露わにしました。
すると、なんと「アンタの商品は買わないから、もう家には来ないで!」と、非常に強い口調で叱られてしまったのです。
ボクは、一人、お客様を失くしてしまいました。しかし、こればかりはボクの仕事の枠を超えた要望であり、仕方ないことでした。
お婆ちゃんは、いつもはタクシーを呼んで病院まで行っているそうです。しかし、雨が降っている影響で、タクシーが来るまで時間がかかるらしいと話していました。さらに、往復で一万円もの費用が掛かるとも言っていました。お婆ちゃんの切実な事情は理解できました。
ですが、ボクの車にお客様を乗せて運行することはできません。万が一、ボクの車に乗せて事故でも遭ってしまったら、それこそボクでは責任が取れない事態になります。
ボク自身の事業の存続に関わる問題です。だからこそ、ボクは頑なにお断りをしたのです。
運転席と助手席の境界線。
さらに、物理的な事情もあります。ボクの車は、平日は助手席にレジやその日の売れ筋の商品などを山積みに載せてあります。そもそも、人を乗せるスペースがないのです。それは、販売業務をスムーズに行うための工夫でもありました。
ですが、今回の件を受けて、ボクは今後の対策を考える必要性を感じました。
「人は慣れると我儘が出る」ものだ、と痛感しました。お客様がボクのサービスに慣れて、親しくなってくださったからこそ、移動販売の枠を超えた要望が出てしまったのでしょう。
ボクは、これからも助手席にはもっと荷物を置いて、人が座れないようにしておこうと決めました。そうすることで、物理的に送迎の依頼を断りやすい状況を作っておこうと思ったのです。
お婆ちゃんからの叱責は、ボクにとって辛い出来事でした。ボクの心の中には、後味の悪い気持ちが残りました。
ボクは、自分自身に強く誓いました。「ボクは、あのような我儘を言う大人にはならないようにしよう」と。
この経験を教訓として、明日も事業のルールを守りながら、お客様のために頑張るぞ!
つづく
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