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第7話 学童と杏奈の家
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「お母さん、今日、彼が来るから」
「うん、分かったよ。杏奈の仕事は夜、何時からだっけ?」
「二十時以降だから。彼の仕事が終わったら来るから」
「分かったよ」
※
「こんにちは! 学童の建物は何処ですか?」
「あの建物がそうですよ」
「どうぞ、中に入って下さい」
「いえいえ、私はここで見ていますから」
「わかりました」
※
「先生! こっち見て!」
「うん、先生はおやつを作らないといけないから」
「瑛太先生、何を作るんですか?」
「昨日、予習して来たから。今日のおやつはチョコレートムースなんだ」
「カップを六十個出して並べて、ボウルや泡立て器や鍋などを用意して、チョコレートや生クリーム、グラニュー糖などを出してから準備万端だよ」
「作る手順も本ではなくてノートに書き写したんですね」
「準備万端だよ。一発勝負で失敗は許されないからね」
「それを見ながら淀みなく作っている先生は格好良いですよ」
「ありがとう」
※
「あっと言う間ですね。六十個も作って凄いですよ」
「昨日、先生に教わったからさ」
「冷蔵庫に仕舞うの、手伝いますよ」
「また校庭に行き、児童の様子を見ないとね」
※ ※ ※
「おやつの時間になったから教室に集まって下さい!」
「先生、今日のおやつは何ですか?」
「今日は瑛太先生が手作りしたチョコレートムースだよ」
「はい、当番はお盆を持って来て配って下さい」
「先生! 今日のおやつは本当に美味しいです!」
「本当! 先生は嬉しいよ」
※
トントントンとドアを叩いた。
「開いてますよー! どうぞ!」
「こんばんは!」
「杏奈、今日、来てくれなかったんだね?」
「行ったよ。アタシが入れるような教室じゃなかったから窓の外から見ていたんだよ」
「何で、来てくれたら僕の彼女だって言って友人や他の先生方に紹介できたのに」
「ごめんね。アタシは日が当たる場所は苦手なんだよ」
「僕と結婚するんだから、そんな事を言ってないでよ!」
「ありがとう。徐々に慣れるからさ、だから今は勘弁してよ。それよりも子供たちは皆、美味しいって言っていたじゃない。良かったね!」
「杏奈に教わったからスイスイできちゃったよ」
「うん、作る所も見ていたよ。キッチンの横の窓から」
「そうだったんだ。周りを気にする余裕は無かったから分からなかったよ」
「うん、真剣な顔をしてやっていたよ」
「そうそう、スーパーでセルフィーユが無かったから、店員さんに聞いてイタリアンパセリを買ったんだ」
「良いと思うよ」
「じゃぁ、杏奈のお母さんの所に行こうか?」
「うん……」
「元気がないんじゃないの?」
「うん……瑛太に振られても仕方ないと思っているんだ」
「どんな事を目にしても僕は大丈夫だからさ」
※ ※ ※
「瑛太は驚いたでしょ?」
「そんな事ないよ」
「私は長女で、兄と弟は、それぞれが部屋に彼女を連れ込んでいて、下着姿で堂々と人前を歩いていて瑛太に挨拶すらしなかったでしょ。ごめんね。それに一緒にいる彼女たちもまともな世界の子たちではないの。あまりの光景にショックを受けていると思ったから言うんじゃないけど、これが私の現実だし私は一回、二十歳の頃に子供を下ろしているからね」
「どこの家でも色々あるからさ」
「折角、来たんだから母に会って行ってよ!」
「うん」
「お母さん、彼が来るからって言ったのにその格好は無いんじゃない?」
「いや、僕が勝手に来たんだから」
「彼が来てくれているんだから、その格好だけは止めてよ!」
「杏奈、大丈夫だよ」
「お母さん、咥えタバコでスマホゲームばかりしてないで彼の顔を見てよ!」
「杏奈さんと結婚を前提にお付き合いをさせて頂いていますので宜しくお願いします。今後は僕のアパートで同棲をしますので」
「うん。分かったよ。この娘は優しい子だから……」
「今日から彼のアパートで暮らすから!」
つづく
「うん、分かったよ。杏奈の仕事は夜、何時からだっけ?」
「二十時以降だから。彼の仕事が終わったら来るから」
「分かったよ」
※
「こんにちは! 学童の建物は何処ですか?」
「あの建物がそうですよ」
「どうぞ、中に入って下さい」
「いえいえ、私はここで見ていますから」
「わかりました」
※
「先生! こっち見て!」
「うん、先生はおやつを作らないといけないから」
「瑛太先生、何を作るんですか?」
「昨日、予習して来たから。今日のおやつはチョコレートムースなんだ」
「カップを六十個出して並べて、ボウルや泡立て器や鍋などを用意して、チョコレートや生クリーム、グラニュー糖などを出してから準備万端だよ」
「作る手順も本ではなくてノートに書き写したんですね」
「準備万端だよ。一発勝負で失敗は許されないからね」
「それを見ながら淀みなく作っている先生は格好良いですよ」
「ありがとう」
※
「あっと言う間ですね。六十個も作って凄いですよ」
「昨日、先生に教わったからさ」
「冷蔵庫に仕舞うの、手伝いますよ」
「また校庭に行き、児童の様子を見ないとね」
※ ※ ※
「おやつの時間になったから教室に集まって下さい!」
「先生、今日のおやつは何ですか?」
「今日は瑛太先生が手作りしたチョコレートムースだよ」
「はい、当番はお盆を持って来て配って下さい」
「先生! 今日のおやつは本当に美味しいです!」
「本当! 先生は嬉しいよ」
※
トントントンとドアを叩いた。
「開いてますよー! どうぞ!」
「こんばんは!」
「杏奈、今日、来てくれなかったんだね?」
「行ったよ。アタシが入れるような教室じゃなかったから窓の外から見ていたんだよ」
「何で、来てくれたら僕の彼女だって言って友人や他の先生方に紹介できたのに」
「ごめんね。アタシは日が当たる場所は苦手なんだよ」
「僕と結婚するんだから、そんな事を言ってないでよ!」
「ありがとう。徐々に慣れるからさ、だから今は勘弁してよ。それよりも子供たちは皆、美味しいって言っていたじゃない。良かったね!」
「杏奈に教わったからスイスイできちゃったよ」
「うん、作る所も見ていたよ。キッチンの横の窓から」
「そうだったんだ。周りを気にする余裕は無かったから分からなかったよ」
「うん、真剣な顔をしてやっていたよ」
「そうそう、スーパーでセルフィーユが無かったから、店員さんに聞いてイタリアンパセリを買ったんだ」
「良いと思うよ」
「じゃぁ、杏奈のお母さんの所に行こうか?」
「うん……」
「元気がないんじゃないの?」
「うん……瑛太に振られても仕方ないと思っているんだ」
「どんな事を目にしても僕は大丈夫だからさ」
※ ※ ※
「瑛太は驚いたでしょ?」
「そんな事ないよ」
「私は長女で、兄と弟は、それぞれが部屋に彼女を連れ込んでいて、下着姿で堂々と人前を歩いていて瑛太に挨拶すらしなかったでしょ。ごめんね。それに一緒にいる彼女たちもまともな世界の子たちではないの。あまりの光景にショックを受けていると思ったから言うんじゃないけど、これが私の現実だし私は一回、二十歳の頃に子供を下ろしているからね」
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「折角、来たんだから母に会って行ってよ!」
「うん」
「お母さん、彼が来るからって言ったのにその格好は無いんじゃない?」
「いや、僕が勝手に来たんだから」
「彼が来てくれているんだから、その格好だけは止めてよ!」
「杏奈、大丈夫だよ」
「お母さん、咥えタバコでスマホゲームばかりしてないで彼の顔を見てよ!」
「杏奈さんと結婚を前提にお付き合いをさせて頂いていますので宜しくお願いします。今後は僕のアパートで同棲をしますので」
「うん。分かったよ。この娘は優しい子だから……」
「今日から彼のアパートで暮らすから!」
つづく
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