23 / 33
第20話 杏奈の知らない世界
しおりを挟む
瑛太と出会って直ぐの頃、杏奈は彼の所へ遊びに行くと、「一緒に行こう!」と彼女を誘った。
その場所は寺社だった。杏奈の今までその目的では踏み入れた事のない空間に彼女は躊躇していた。最初は苦痛でしかなかった。しかし、瑛太やその周りの人を見ている内に、杏奈はこんな世界もあるのかと思うようになった。
「私、参拝をする為だけに神社やお寺に行く事などなかった人生だった」
「無理して俺に付き合う事はないからね。杏奈は今のお母さんで、自分がやりたい事をしているのが一番だよ。俺だったその世界の事は知らない訳だしさ!」
「私は男って言ったら夜の世界で知り合う事しかなかったから」
「この神聖な空間で森林浴を浴びて、厳かな気持ちにさせてくれる神社や寺院が好きなんだ」
またある日。
「映画を観に行こう!」
「何を観るの?」
「海猿だよ」
「えっ?」
「自分の命を賭けて、他人を助ける人たちの映画。俺は既に一回見たんだけどさ。感動したから杏奈にも見せたくて」
「映画なんか見に行った事ないよ」
「ま、行ってみれば分かるよ」
瑛太は映画を観ている間中、涙を流し、鼻水を啜っていて終わると、「恥ずかしいね。前回も同じ場面で号泣してさ」と言って苦笑しながら頭を掻いた。この彼の姿を見た杏奈は彼が保育士になった理由が見えて来て、更に彼を好きになって行った。
今までの杏奈の周りには居なかったタイプの男性だった。「他人に優しく接し、他人を幸せにする人」という彼のスタンスを尊敬し出していた。寺社と映画。瑛太の世界は杏奈にもまた新鮮だった。お互いの世界を魅力的に感じる二人で距離感の接近はこうしてもたらされた。
つづく
その場所は寺社だった。杏奈の今までその目的では踏み入れた事のない空間に彼女は躊躇していた。最初は苦痛でしかなかった。しかし、瑛太やその周りの人を見ている内に、杏奈はこんな世界もあるのかと思うようになった。
「私、参拝をする為だけに神社やお寺に行く事などなかった人生だった」
「無理して俺に付き合う事はないからね。杏奈は今のお母さんで、自分がやりたい事をしているのが一番だよ。俺だったその世界の事は知らない訳だしさ!」
「私は男って言ったら夜の世界で知り合う事しかなかったから」
「この神聖な空間で森林浴を浴びて、厳かな気持ちにさせてくれる神社や寺院が好きなんだ」
またある日。
「映画を観に行こう!」
「何を観るの?」
「海猿だよ」
「えっ?」
「自分の命を賭けて、他人を助ける人たちの映画。俺は既に一回見たんだけどさ。感動したから杏奈にも見せたくて」
「映画なんか見に行った事ないよ」
「ま、行ってみれば分かるよ」
瑛太は映画を観ている間中、涙を流し、鼻水を啜っていて終わると、「恥ずかしいね。前回も同じ場面で号泣してさ」と言って苦笑しながら頭を掻いた。この彼の姿を見た杏奈は彼が保育士になった理由が見えて来て、更に彼を好きになって行った。
今までの杏奈の周りには居なかったタイプの男性だった。「他人に優しく接し、他人を幸せにする人」という彼のスタンスを尊敬し出していた。寺社と映画。瑛太の世界は杏奈にもまた新鮮だった。お互いの世界を魅力的に感じる二人で距離感の接近はこうしてもたらされた。
つづく
0
あなたにおすすめの小説
マッチ率100%の二人だが、君は彼女で私は彼だった
naomikoryo
恋愛
【♪♪♪第19回恋愛小説大賞 参加作品♪♪♪ 本編開始しました!!】【♪♪ 毎日、朝5時・昼12時・夕17時 更新予定 ♪♪ 応援、投票よろしくお願いします(^^) ♪♪】
出会いサイトで“理想の異性”を演じた二人。
マッチ率100%の会話は、マッチアプリだけで一か月続いていく。
会ったことも、声を聞いたこともないのに、心だけが先に近づいてしまった。
――でも、君は彼女で、私は彼だった。
嘘から始まったのに、気持ちだけは嘘じゃなかった。
百貨店の喧騒と休憩室の静けさの中で、すれ違いはやがて現実になる。
“会う”じゃなく、“見つける”恋の行方を、あなたも覗いてみませんか。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
恋と首輪
山猫
恋愛
日本屈指の名門・城聖高校には、生徒たちが逆らえない“首輪制度”が存在する。
絶対的支配者・東雲財閥の御曹司、東雲 蓮の「選んだ者」は、卒業まで彼の命令に従わなければならない――。
地味で目立たぬ存在だった月宮みゆは、なぜかその“首輪”に選ばれてしまう。
冷酷非情と思っていた蓮の、誰にも見せない孤独と優しさに触れた時、みゆの心は静かに揺れはじめる。
「おめでとう、今日から君は俺の所有物だ。」
イケメン財閥御曹司
東雲 蓮
×
「私はあなたが嫌いです。」
訳あり平凡女子
月宮 みゆ
愛とか恋なんて馬鹿らしい。 愚かな感情だ。
訳ありのふたりが、偽りだらけの学園で紡ぐカーストラブ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる