境界線上の女 ― その一線を越えるとき

しらかわからし

文字の大きさ
3 / 28

第3話:揺れる提案、揺れる視線

しおりを挟む
夕食後のリビング。和也の前で美穂が顔を真っ赤にしていた。玲奈は気まずさを紛らわすように、課題の詳細を説明し始めた。

「寮母の年齢は40歳前後が理想なんです。主役なので、できれば美人で、肉感的な方がいいって監督が言ってて……。男子学生が寮母を見る目の輝きが映像に出やすいし、男性の先生方にも評価されやすいらしくて」

「撮影は30分ごとに10分休憩。監督の指示に従って演技するから、俳優は神経を使って結構疲れるんです」

「それに、プロダクションの女優さんを呼ぶと料金が高くて……」

美穂と玲奈は、課題の女優探しに苦戦していた。資金面でも限界が近く、困惑した様子が言葉の端々に滲んでいた。

和也は、酔いの勢いもあって口を滑らせた。
「それなら……うちのママが代わりってのはどうかな?」

響子は驚いて身を引いた。
「ちょ、ちょっと……酔っぱらってるからって、何を言ってるのか分かってるんですか?」

和也は、以前響子が言った言葉を思い出していた。営みの後、響子がぽつりと漏らした。
「最近、熟女のヌードが流行ってるでしょ。まだ身体が綺麗なうちに撮ってもらうのも、ありかなって思ってるの」
その時、和也は苦笑しながら「何をママ、そんなバカなこと言うなよ」と軽く嗜めた。

あの夜、響子は風呂上がりで、ブラトップに薄手の短パン姿だった。胸元の谷間がはっきり見え、ショーツのラインや尻の丸みも浮かび上がっていた。
美穂は、和也の提案に動揺しながらも、響子の姿を目で追っていた。視線が泳ぎ、頬がさらに赤く染まっていく。
玲奈は驚いたまま、言葉を失っていた。

響子は苦笑しながら言った。
「こんなオバサンの身体じゃ、さすがに役に立たないでしょ……ねぇ、美穂さん?」

美穂は慌てて首を振った。
「いえ……そんなことは……むしろ、ありがたいくらいです」

和也は笑いながら言った。
「だよね。人生で一度くらい女優をやってみたら? 美穂さんも、もう家族みたいなもんだし。娘二人の前なら恥ずかしくもないだろ?」

響子は戸惑いながら視線を落とした。
「急にそんなこと言われても……」

和也は続けた。
「女優さんを頼むと高いし、自由も利かないんだろ? なぁ、玲奈?」

玲奈は言葉を選びながら答えた。
「うん……ママが大丈夫なら……頼めるなら……でも……」

「でも、なんだ?」と和也。

「美穂はいいけど……男子にママの裸を見られるのは……ちょっと抵抗あるなぁ」

和也は慌てて声を上げた。
「えっ、ママが裸になるのか?」

玲奈は少し考えてから言った。
「裸って言っても、例えばだけど……寮母がお風呂に入ってるシーンで、湯けむりの中に薄っすらと上半身が見えるとか……そんな感じだと思う」

部屋の空気が一瞬、静まり返った。

つづく

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

有名俳優の妻

うちこ
恋愛
誰もが羨む結婚と遺伝子が欲しかった そこに愛はいらない

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

初体験の話

東雲
恋愛
筋金入りの年上好きな私の 誰にも言えない17歳の初体験の話。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...