境界線上の女 ― その一線を越えるとき

しらかわからし

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第18話:境界の中で、揺れる心

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撮影は、寮母と男子寮生の距離が急速に縮まる場面へと進んでいた。響子は、演技の中で自分がどこまで役に入り込んでいるのか、時折わからなくなる瞬間があった。

吉川龍太――男子寮生役の青年は、台本通りに響子へと近づいていく。彼の言葉は丁寧で、表情も真剣だった。だが、その距離の近さと視線の熱に、響子は心の奥でざわつきを覚えていた。

(これは演技……でも、なぜこんなに心が揺れるの?)

響子は、母親としての包容力と、女性としての感情の間で揺れていた。彼の言葉に優しさを感じるたび、母性が刺激される。だが、彼の視線に潜む憧れや欲望のようなものに触れると、女性としての自分が目覚めるような感覚があった。

「オバサン、大好きです」  
吉川のセリフが響いた瞬間、響子は一瞬、息を呑んだ。

台本通りの動きやセリフを言いながらも、心の中では動揺していた。

(こんなに素直に、まっすぐに……)

響子は、吉川の瞳に映る自分を見つめながら、母性と女性性の境界が曖昧になっていくのを感じていた。寮母としての責任感と、ひとりの女性としての感情。その境界線が、演技の中で揺れていた。

和也は、セットの隅でその様子を見守っていた。響子の表情は、どこか遠くを見ているようだった。彼女が演技に入り込むほど、和也の胸には複雑な感情が広がっていた。

(これは演技だ。そう分かっている。でも……)

和也は、夫としての立場と、演技への理解の間で揺れていた。響子が役に没頭する姿を見て、不安しかなかった。彼女がどこまで役に入り込んでいるのか、それが演技なのか、それとも本心なのか――その境界が見えなくなっていた。

撮影は、セックスシーンへと移っていた。吉川が響子を愛撫する。響子は、久しく誰かに触れられることがなかった。その感覚に、身体が自然と反応してしまう。

「オバサン、気持ちいいですか?」  
吉川の言葉に、響子は小さく頷いた。

(これは演技……でも、なぜこんなに心がざわつくの?)

響子は、台本のセリフをなぞりながらも、心の中では葛藤していた。母親としての優しさと、女性としてのときめき。その両方が、彼の言葉や愛撫に反応してしまう。

和也は、拳を握りしめながらも、声を出せずにいた。  
(俺は夫だ。でも、これは演技だ。響子は役を演じているだけだ……)

その言葉を何度も心の中で繰り返しながらも、胸の奥に広がる不安は消えなかった。

響子自身も既に寮母に成り切っていたので、物凄い濡れ方で、怒張した吉川を真剣に欲しがっていた。

この時は傍観している、男子と女子も服の上から自慰をし出す者もいたのを和也と玲奈は見ていた。


響子は、吉川の言葉に静かに頷いた。  
「……これは、二人だけの秘密よ」

そのセリフも、台本に書かれていたものだった。だが、響子の声には、どこか本音が混じっていた。

つづく

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