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第5話 リオンの過去 3
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「僕に魔法の資質がある?」
「そうだ」
ナバールは街道を歩きながら淡々と語り出した。
「俺は、いや...俺たちは魔法使いの末裔らしいんだ」
「らしい?」
「ああ。俺は親の顔を見たことがねえ。生まれた時から孤児院で育ったからな」
リオンは父の話を聞くのは初めてだった。鉱山で働き、毎日を生き抜くことで必死だったため、自分の父親について考えることはあまりなかった。
「俺は自分の事を何一つ知らずに育った。だが孤児院で勉強をしているうちに、魔法の才能が周りの他のガキより優れていることに気がついたんだ。親のいない俺は三流の士官学校へ進む道しかなかったが、将来魔法使いとして軍で働きたかった俺はその道に進んだ」
「父さんが士官学校を卒業していたなんて知らなかったよ。でも鉱山で働いてた時から色々な事に詳しいなとは思っていたけど」
ナバールは少し顔を曇らせた。
「...卒業はしてねえ。俺は士官学校でもう一つ自分の才能に気がついちまったんだ。さっき使ったあの力だよ。ある日、学校で生徒が一人死んだ事件が起きたんだ。兵器を扱う授業の準備をしていた生徒が、誤って火薬に引火させてしまい焼死した。事件は直ぐに事故だったと発表された」
「でも違った?」
ナバールは黙って頷く。
「死んだ生徒は俺の友人だった。優秀な奴で、そんなミスをするとは考えられなかった俺はすぐに準備室を調べに行った。その時、焼け焦げた床に触れた瞬間にあの力が目覚めたんだ」
「じゃあ父さんはその事件の真相を知ったんだね?」
「知ったけれどどうにもできなかった。友人を殺したのは授業の担当の教師だったが、それを告発した俺はすぐに退学せざるを得なくなった」
「どうして!?」
「そのクズ教師は監獄行きになったさ。だが、俺のやり方がバカだった。有罪を証明するために力を他人に見せまくっちまったんだ。俺の力はすぐに世間に広まった。この力を利用しようとするクズが俺を躍起になって捕まえようとして、この力を恐れた奴らは殺しにきたよ。世界のお尋ね者になった俺は学校になんか通っていられなくなったのさ」
「それで奴隷の身となってずっと隠れて生活していたって訳ね」
「そんなところだ。追われの身になった後はずっと自分の過去を知るために放浪してた。この力を使って先祖の足跡を探してたんだ。その逃亡生活の中でお前の母親とも出会っている」
「母親...」
これまたリオンにとっては考えた事もないワードだった。自分に母親がいるのは当然なのだが、生まれた時から男手ひとつで育てられたリオンにはいまいち実感がない。
「逃亡中で唯一掴んだ手がかりが、俺とお前の先祖が魔法使いだったって事だ。生まれ育った孤児院の廃墟で記憶を漁っていたら、俺を孤児院に届けた親の名前を知れたんだ。名は、シド・ガロリオン。かつては軍でも有名な優秀な魔法使いだった男だ」
「シド・ガロリオン?じゃあ僕らの姓はガロリオンなの?」
「そういう事になるな。ただこれも絶対に秘密だ。俺の親も苦労して生活していたらしい。俺が名前を元に見つけ出した特には殺されてたよ。死体の記憶を読んだが、やはり力を危険視している奴らの手によって消されていた」
「さっきから話に出てくる、僕らの力をこの世界から揉み消そうとしてくる奴らは何者なの?」
アザールはリオンを真っ直ぐに見つめた。
「...。俺らの住んでるこの帝国だよ」
「じゃあシドも...いや、お爺ちゃんも...」
「何か事情があって力の事を隠しながらこの国で暮らしていたんだろうな。だが、バレちまって俺を匿った後に殺された。そんなところだろう」
「でも...どうして帝国が?」
「それを知るために俺もこの国を出ねえんだよ。奴隷に成り下がってまでこの遺伝の力を探求し続けている」
ナバールはいつになく真剣な表情だった。
「国が揉み消そうとしているんだ。相当知られたくない何かを隠しているにちげえねえ。この国は黒い噂だらけだ」
リオンは幼いながらも話の内容を大まかに理解した。
「ま!ガキのお前には少し重すぎる話だったな。面白い話をしてやるよ。お前のリオンって名前も偽名だよ。俺のアザールもさっき話した事故死した友人の名前だ」
「えー!!」
今日1日でどれだけ驚けばいいのだろうか。リオンの頭も限界を迎えようとしていた。
「俺の本名は、ジロ・ガロリオン。そしてお前はガロ・ガロリオンだ!リオンってのは姓の後ろ取っただけの安直な偽名だな。でも奴隷は姓が無いし、本名はこの先もずっと隠さなきゃいけねえからリオンで昔から呼んでたって訳よ」
リオンは歩きの疲労と話についていくための脳の疲労で、倒れる寸前まで追い込まれていた。
「そうだ」
ナバールは街道を歩きながら淡々と語り出した。
「俺は、いや...俺たちは魔法使いの末裔らしいんだ」
「らしい?」
「ああ。俺は親の顔を見たことがねえ。生まれた時から孤児院で育ったからな」
リオンは父の話を聞くのは初めてだった。鉱山で働き、毎日を生き抜くことで必死だったため、自分の父親について考えることはあまりなかった。
「俺は自分の事を何一つ知らずに育った。だが孤児院で勉強をしているうちに、魔法の才能が周りの他のガキより優れていることに気がついたんだ。親のいない俺は三流の士官学校へ進む道しかなかったが、将来魔法使いとして軍で働きたかった俺はその道に進んだ」
「父さんが士官学校を卒業していたなんて知らなかったよ。でも鉱山で働いてた時から色々な事に詳しいなとは思っていたけど」
ナバールは少し顔を曇らせた。
「...卒業はしてねえ。俺は士官学校でもう一つ自分の才能に気がついちまったんだ。さっき使ったあの力だよ。ある日、学校で生徒が一人死んだ事件が起きたんだ。兵器を扱う授業の準備をしていた生徒が、誤って火薬に引火させてしまい焼死した。事件は直ぐに事故だったと発表された」
「でも違った?」
ナバールは黙って頷く。
「死んだ生徒は俺の友人だった。優秀な奴で、そんなミスをするとは考えられなかった俺はすぐに準備室を調べに行った。その時、焼け焦げた床に触れた瞬間にあの力が目覚めたんだ」
「じゃあ父さんはその事件の真相を知ったんだね?」
「知ったけれどどうにもできなかった。友人を殺したのは授業の担当の教師だったが、それを告発した俺はすぐに退学せざるを得なくなった」
「どうして!?」
「そのクズ教師は監獄行きになったさ。だが、俺のやり方がバカだった。有罪を証明するために力を他人に見せまくっちまったんだ。俺の力はすぐに世間に広まった。この力を利用しようとするクズが俺を躍起になって捕まえようとして、この力を恐れた奴らは殺しにきたよ。世界のお尋ね者になった俺は学校になんか通っていられなくなったのさ」
「それで奴隷の身となってずっと隠れて生活していたって訳ね」
「そんなところだ。追われの身になった後はずっと自分の過去を知るために放浪してた。この力を使って先祖の足跡を探してたんだ。その逃亡生活の中でお前の母親とも出会っている」
「母親...」
これまたリオンにとっては考えた事もないワードだった。自分に母親がいるのは当然なのだが、生まれた時から男手ひとつで育てられたリオンにはいまいち実感がない。
「逃亡中で唯一掴んだ手がかりが、俺とお前の先祖が魔法使いだったって事だ。生まれ育った孤児院の廃墟で記憶を漁っていたら、俺を孤児院に届けた親の名前を知れたんだ。名は、シド・ガロリオン。かつては軍でも有名な優秀な魔法使いだった男だ」
「シド・ガロリオン?じゃあ僕らの姓はガロリオンなの?」
「そういう事になるな。ただこれも絶対に秘密だ。俺の親も苦労して生活していたらしい。俺が名前を元に見つけ出した特には殺されてたよ。死体の記憶を読んだが、やはり力を危険視している奴らの手によって消されていた」
「さっきから話に出てくる、僕らの力をこの世界から揉み消そうとしてくる奴らは何者なの?」
アザールはリオンを真っ直ぐに見つめた。
「...。俺らの住んでるこの帝国だよ」
「じゃあシドも...いや、お爺ちゃんも...」
「何か事情があって力の事を隠しながらこの国で暮らしていたんだろうな。だが、バレちまって俺を匿った後に殺された。そんなところだろう」
「でも...どうして帝国が?」
「それを知るために俺もこの国を出ねえんだよ。奴隷に成り下がってまでこの遺伝の力を探求し続けている」
ナバールはいつになく真剣な表情だった。
「国が揉み消そうとしているんだ。相当知られたくない何かを隠しているにちげえねえ。この国は黒い噂だらけだ」
リオンは幼いながらも話の内容を大まかに理解した。
「ま!ガキのお前には少し重すぎる話だったな。面白い話をしてやるよ。お前のリオンって名前も偽名だよ。俺のアザールもさっき話した事故死した友人の名前だ」
「えー!!」
今日1日でどれだけ驚けばいいのだろうか。リオンの頭も限界を迎えようとしていた。
「俺の本名は、ジロ・ガロリオン。そしてお前はガロ・ガロリオンだ!リオンってのは姓の後ろ取っただけの安直な偽名だな。でも奴隷は姓が無いし、本名はこの先もずっと隠さなきゃいけねえからリオンで昔から呼んでたって訳よ」
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