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第12話 はじめての泥棒
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リオンたち三人は再び記念室に訪れていた。
相変わらず人影はなく、ズラリと並べられたガラスケースだけが静かに佇んでいる。
「静かだねー。まあ、誰もこんな部屋興味ないか」
アーサーは退屈そうに記念品を眺めながら言った。
「人がいないのは好都合だ。さてどうやってこいつを盗み出そうか」
リオンはガラスケースにしまわれた設計図を眺めながら呟く。
「誰もいないならガラスを割って、中身を取ってから魔法で修理するのはどう?」
「シアノ...。君が騎士の学級じゃなくて戦士の学級を推薦された理由が良くわかったよ」
「ど、どう言うことですか殿下?」
シアノは自覚がないのか真面目に聞き返す。
「シアノって戦士の学級なんだ」
てっきりアーサーと同じ騎士の学級と思い込んでいたリオンは、シアノの学級を聞いて驚く。
「はい。私は騎士になりたかったのですがどうも適性が低くて...」
「いきなりガラスを壊す発想がでるならそりゃあ戦士向きだと思うよ!落ち込まないで、シアノは王国一のバーサーカーになれるよ」
アーサーはシアノを小馬鹿にするように肩を叩いた。
「でも確かに、俺なら確かにガラスの復元くらいはできる。その方法が一番手取り早いかも知れないな」
「...えっ、まさかの採用...?本気?」
「結構本気だ。アーサー、この設計図の偽物は持ってきてるよな?」
「う、うん。それはバッチリだよ。ほら、ちゃんと見えている表紙と瓜二つ。ガラス越しなら表紙しか見えないし、あとは厚さをだいたい合わせればパッと見はバレないと思う」
「シアノ、できるだけ音を出さずに割れそう?」
「分からないけど、頑張ってみるわ。でも結構このガラス厚そう...」
シアノはガラスケースを軽く叩きながら答える。
「そんな簡単に割れるのかなー。一応ここは元王城だし、ガラス割って中身盗まれるようなセキュリティだったら逆に不安になるんだけ」
バ リ ン !
アーサーが話終わる直前、シアノの拳はケースを貫き、静かな部屋にガラスの割れる音が響いた。
砕けた破片が三人の足元へ散らばる。
「アーサー、俺もお前のご先祖がこんな甘いセキュリティの中で生活していたと思うと、良くお前が生まれてきてくれたとホッとするよ」
呆然と立ち尽くすアーサーを避けて、リオンは設計図を手に取った。
するとその瞬間、リオンは雷に撃たれたような衝撃が身体中に走るのを感じた。
(...!?)
「リオン?どうかしたの?」
突然動きの止まったリオンを心配したシアノは、近くに寄って声をかけた。
「いや、何でもない。余りにもあっさり手に入ったから拍子抜けしただけだ」
(なんだこの設計図、持っているだけで勝手に記憶が流れ込んでくる...!二人の目の前で力が発動するのはマズイな)
リオンは咄嗟に誤魔化すと、身体に流れる記憶をせきとめようと努めた。
「アーサー、偽物の設計図を貸してくれ。あとこれ持っておいて」
リオンはさり気なくアーサーに設計図を渡すと、流れ込んでくる記憶の圧も収まった。
「どうしたの?なんか気分が悪そうだけど」
「大丈夫だ。早いとこガラスケースを元に戻して寮に帰ろう。誰か来たら大騒ぎになる」
リオンは飛び散ったガラスに手を向けると修復の魔法を唱えた。破片が映像の逆再生のようにみるみる元の状態に戻っていく。
「魔法って便利ですね。私は魔力を一切身体が受け付けないらしくて、初歩的な魔法も使えないんです」
シアノが元に戻ったガラスケースを見つめている。
「そういえば僕も昔からシアノが魔法を使っているところ見たことないなー」
「殿下とそのようなお話をする機会もありませんでしたしね」
リオンは証拠の隠滅を終えると、二人と共に記念室を後にした。
相変わらず人影はなく、ズラリと並べられたガラスケースだけが静かに佇んでいる。
「静かだねー。まあ、誰もこんな部屋興味ないか」
アーサーは退屈そうに記念品を眺めながら言った。
「人がいないのは好都合だ。さてどうやってこいつを盗み出そうか」
リオンはガラスケースにしまわれた設計図を眺めながら呟く。
「誰もいないならガラスを割って、中身を取ってから魔法で修理するのはどう?」
「シアノ...。君が騎士の学級じゃなくて戦士の学級を推薦された理由が良くわかったよ」
「ど、どう言うことですか殿下?」
シアノは自覚がないのか真面目に聞き返す。
「シアノって戦士の学級なんだ」
てっきりアーサーと同じ騎士の学級と思い込んでいたリオンは、シアノの学級を聞いて驚く。
「はい。私は騎士になりたかったのですがどうも適性が低くて...」
「いきなりガラスを壊す発想がでるならそりゃあ戦士向きだと思うよ!落ち込まないで、シアノは王国一のバーサーカーになれるよ」
アーサーはシアノを小馬鹿にするように肩を叩いた。
「でも確かに、俺なら確かにガラスの復元くらいはできる。その方法が一番手取り早いかも知れないな」
「...えっ、まさかの採用...?本気?」
「結構本気だ。アーサー、この設計図の偽物は持ってきてるよな?」
「う、うん。それはバッチリだよ。ほら、ちゃんと見えている表紙と瓜二つ。ガラス越しなら表紙しか見えないし、あとは厚さをだいたい合わせればパッと見はバレないと思う」
「シアノ、できるだけ音を出さずに割れそう?」
「分からないけど、頑張ってみるわ。でも結構このガラス厚そう...」
シアノはガラスケースを軽く叩きながら答える。
「そんな簡単に割れるのかなー。一応ここは元王城だし、ガラス割って中身盗まれるようなセキュリティだったら逆に不安になるんだけ」
バ リ ン !
アーサーが話終わる直前、シアノの拳はケースを貫き、静かな部屋にガラスの割れる音が響いた。
砕けた破片が三人の足元へ散らばる。
「アーサー、俺もお前のご先祖がこんな甘いセキュリティの中で生活していたと思うと、良くお前が生まれてきてくれたとホッとするよ」
呆然と立ち尽くすアーサーを避けて、リオンは設計図を手に取った。
するとその瞬間、リオンは雷に撃たれたような衝撃が身体中に走るのを感じた。
(...!?)
「リオン?どうかしたの?」
突然動きの止まったリオンを心配したシアノは、近くに寄って声をかけた。
「いや、何でもない。余りにもあっさり手に入ったから拍子抜けしただけだ」
(なんだこの設計図、持っているだけで勝手に記憶が流れ込んでくる...!二人の目の前で力が発動するのはマズイな)
リオンは咄嗟に誤魔化すと、身体に流れる記憶をせきとめようと努めた。
「アーサー、偽物の設計図を貸してくれ。あとこれ持っておいて」
リオンはさり気なくアーサーに設計図を渡すと、流れ込んでくる記憶の圧も収まった。
「どうしたの?なんか気分が悪そうだけど」
「大丈夫だ。早いとこガラスケースを元に戻して寮に帰ろう。誰か来たら大騒ぎになる」
リオンは飛び散ったガラスに手を向けると修復の魔法を唱えた。破片が映像の逆再生のようにみるみる元の状態に戻っていく。
「魔法って便利ですね。私は魔力を一切身体が受け付けないらしくて、初歩的な魔法も使えないんです」
シアノが元に戻ったガラスケースを見つめている。
「そういえば僕も昔からシアノが魔法を使っているところ見たことないなー」
「殿下とそのようなお話をする機会もありませんでしたしね」
リオンは証拠の隠滅を終えると、二人と共に記念室を後にした。
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