エルメニア物語 - 退屈な狼は茜色の瞳を溺愛する -

小豆こまめ

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13 番

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 ウエストリアに着いてからは、毎日をセレスティナの温室で過ごす。

 彼女の仕事を手伝い、色々な花や果物を乾燥させたものと茶葉やハーブと呼ばれる草を組み合わせ、色々な匂いのするお茶を作っているのを見ているのは楽しかった。

 二人分の食事を温室に持ってきてくれるので、食事を済ませ、その後はしばらくティナに触れる。

 唇にキスをして、そのまま首すじやもっと先のほうまでふれていく。
 最初はドレスに付いている小さなボタンやリボンを外すだけで恥ずかしがっていた彼女も、相変わらず肌は薔薇色になるが、嫌だとは言わなくなった。

「ティナ、夜の食事も一緒に食べる?」

 彼女には番と夜の食事をするのは、そのまま朝まで一緒にいるのを受け入れてくれる事だと伝えてある。

「サイラスはそうしたいの?」
「うん、僕はね。でも、ティナがそう思わなければ、このままでもいいよ」

「、、、私も一緒にいたいと思ってるわ」
「ありがとう、大好きだよ。セレスティナ」

 彼女を一度部屋まで送り届ける。

 女性に色々な時間が必要な事は知っているし、この国ではそれも沢山あるのかもしれない。

 エルメニアの私室は、ガルスとは違い食事を取る場所と寝る場所に別れているので、彼女の部屋で食事をする。

 手を使ってティナに食べさせ、自分にも食べさせて貰う。

 トルテでは無いので、道具も使うが元々エルメニアの食事でもパンなどは手を使うので、彼女は恥ずかしそうにしても嫌がる事は無い。

 違うのは少しくらい手にソースがついても、サイラスが舐めてしまうくらいで、彼女がその度に真っ赤になる。

 そのうち食事をしているのか、キスされているのかティナが分からなくなった頃、抱き上げて寝台に運ぶ。

 何時もなら彼女の服には小さなボタンやリボンが沢山ついているが、今日はいくつかの紐を外すとスルスル服が取れて行くのが面白い。

「ティナ、目を開けて。ここにいるの、僕だけだから恥ずかしくない。
 ティナの瞳の色、綺麗だからもっと見たい」

「綺麗じゃないわ、リディアみたいに緑色の瞳なら良かったのに」
「ザィードの番? あれも森みたいな色だけど、僕はティナの色の方が好きだ。
 ガルスで空が赤くなった時の色だ、ティナの瞳が、僕がこうしてふれると濃くなっていくのが、とっても好きだよ」

「サイラス」
「名前を呼ばれるのも好き」

「恥ずかしいわ」
「恥ずかしくないよ、、、僕がこうして触れるのは嫌い?」

「、、、サイラスは意地悪だわ、嫌いじゃないって知っているのに」
「ごめん、セレスティナ。愛してるよ」

 ティナにいっぱいキスをして、ゆっくり少しずつ彼女を愛していく、彼女を傷つけないように、彼女が辛くないように。

 ゆっくり少しずつでいい、時間は沢山あるのだから。
 だって僕はこの部屋から、彼女をしばらく外に出すつもりが無いのだから。
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