【オメガバース】替えのパンツは3日分です

久乃り

文字の大きさ
2 / 66

2.梅は酸っぱいかしょっぱいか

しおりを挟む

 貴文の注いだお茶を姉は一気に飲み干した。手巻き寿司はもう口に入ってはいないようだ。そうして一気に昨夜の合コンの顛末を貴文に語って聞かせた。つまるところ、昨夜の合コン相手が下着メーカーの社員だったらしい。ベータが持ち掛けた合コンだから、相手もベータの男だけが来るものだと思っていたのに、そこに一人オメガの男が紛れていた。キレイ系の見た目で、名前をきけば誰もが知っている五大名家の名前だった。自分がオメガだということを隠さず話し、そうしてズバズバと下着について語りだしたらしい。
 つまり、下着メーカーの社員と合コンして、お持ち帰りされるつもりで来たのなら、我が社の下着を付けてきたんだろうな。ってことを言われたそうだ。その話の下りの中で、下着の寿命は三か月と言われたそうだ。

「しかもさぁ、ブラ紐がゆるゆるとかやる気失せるから。って言われたのよ。オメガにっ」

 なかなかいい音がして、コップがテーブルに置かれた。すかさず貴文はお茶を注ぐ。姉は注いだお茶を一気に飲み干した。相当お冠のようだ。

「相手はオメガなんでしょ?男の人だったんだよね?」

 何とか姉をなだめようと、貴文はチューブの梅と、野菜室から取り出したキュウリを巻いて姉に手渡した。姉はそれを手に取ると、豪快にかぶりついた。そして姉の口から「くぅ」と小さな声が漏れる。どうやらすっぱかったらしい。

「見せられたのよ」

 姉の目が怒りに満ちていた。

「は?なにを?」

 貴文はまったくわからなかった。

「決まってんでしょ、男オメガの下着よっ」

 姉の手に残された手巻きずしが静かに握りつぶされた。

「これ、今夜の勝負下着でーす。ってねぇ」

 なるほど。それは女ベータでは太刀打ちできなかったわけだ。下着メーカーの社員相手にその着こなしで勝つのは至難の業だろう。おそらく、その合コンに参加した男ベータたちは、下着なんか見慣れているし、着用した状態だって社内で日常的にみているのだろう。

「エリが勝負したけど負けたのよ」

 個室だったから、姉の同僚のエリという人が服の前をはだけて本日の勝負下着を見せたけど、ブラに隙間がある。と笑われたらしい。

「なによっ、あんなまな板みたいな胸にブラ付けたって隙間なんかできるわけないじゃない」

 姉は叫ぶようにそう言って、握りしめてつぶしてしまった手巻きずしを口に放り込んだ。「くっ」という声がもれたので、やはり梅の量が多かったようだ。
しおりを挟む
感想 54

あなたにおすすめの小説

【完結】君を上手に振る方法

社菘
BL
「んー、じゃあ俺と付き合う?」 「………はいっ?」 ひょんなことから、入学して早々距離感バグな見知らぬ先輩にそう言われた。 スクールカーストの上位というより、もはや王座にいるような学園のアイドルは『告白を断る理由が面倒だから、付き合っている人がほしい』のだそう。 お互いに利害が一致していたので、付き合ってみたのだが―― 「……だめだ。僕、先輩のことを本気で……」 偽物の恋人から始まった不思議な関係。 デートはしたことないのに、キスだけが上手くなる。 この関係って、一体なに? 「……宇佐美くん。俺のこと、上手に振ってね」 年下うさぎ顔純粋男子(高1)×精神的優位美人男子(高3)の甘酸っぱくじれったい、少しだけ切ない恋の話。 ✧毎日2回更新中!ボーナスタイムに更新予定✧ ✧お気に入り登録・各話♡・エール📣作者大歓喜します✧

箱入りオメガの受難

おもちDX
BL
社会人の瑠璃は突然の発情期を知らないアルファの男と過ごしてしまう。記憶にないが瑠璃は大学生の地味系男子、琥珀と致してしまったらしい。 元の生活に戻ろうとするも、琥珀はストーカーのように付きまといだし、なぜか瑠璃はだんだん絆されていってしまう。 ある日瑠璃は、発情期を見知らぬイケメンと過ごす夢を見て混乱に陥る。これはあの日の記憶?知らない相手は誰? 不器用なアルファとオメガのドタバタ勘違いラブストーリー。 現代オメガバース ※R要素は限りなく薄いです。 この作品は『KADOKAWA×pixiv ノベル大賞2024』の「BL部門」お題イラストから着想し、創作したものです。ありがたいことに、グローバルコミック賞をいただきました。 https://www.pixiv.net/novel/contest/kadokawapixivnovel24

完結|好きから一番遠いはずだった

七角@書籍化進行中!
BL
大学生の石田陽は、石ころみたいな自分に自信がない。酒の力を借りて恋愛のきっかけをつかもうと意気込む。 しかしサークル歴代最高イケメン・星川叶斗が邪魔してくる。恋愛なんて簡単そうなこの後輩、ずるいし、好きじゃない。 なのにあれこれ世話を焼かれる。いや利用されてるだけだ。恋愛相手として最も遠い後輩に、勘違いしない。 …はずだった。

ヤンキーDKの献身

ナムラケイ
BL
スパダリ高校生×こじらせ公務員のBLです。 ケンカ上等、金髪ヤンキー高校生の三沢空乃は、築51年のオンボロアパートで一人暮らしを始めることに。隣人の近間行人は、お堅い公務員かと思いきや、夜な夜な違う男と寝ているビッチ系ネコで…。 性描写があるものには、タイトルに★をつけています。 行人の兄が主人公の「戦闘機乗りの劣情」(完結済み)も掲載しています。

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

エリート上司に完全に落とされるまで

琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。 彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。 そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。 社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。

【BL】正統派イケメンな幼馴染が僕だけに見せる顔が可愛いすぎる!

ひつじのめい
BL
αとΩの同性の両親を持つ相模 楓(さがみ かえで)は母似の容姿の為にΩと思われる事が多々あるが、説明するのが面倒くさいと放置した事でクラスメイトにはΩと認識されていたが楓のバース性はαである。  そんな楓が初恋を拗らせている相手はαの両親を持つ2つ年上の小野寺 翠(おのでら すい)だった。  翠に恋人が出来た時に気持ちも告げずに、接触を一切絶ちながらも、好みのタイプを観察しながら自分磨きに勤しんでいたが、実際は好みのタイプとは正反対の風貌へと自ら進んでいた。  実は翠も幼い頃の女の子の様な可愛い楓に心を惹かれていたのだった。  楓がΩだと信じていた翠は、自分の本当のバース性がβだと気づかれるのを恐れ、楓とは正反対の相手と付き合っていたのだった。  楓がその事を知った時に、翠に対して粘着系の溺愛が始まるとは、この頃の翠は微塵も考えてはいなかった。 ※作者の個人的な解釈が含まれています。 ※Rシーンがある回はタイトルに☆が付きます。

処理中です...