何度も母を殺す夢

第三夢

　その日の母はとても機嫌がわるかった。食事を始めて3分位経った辺りで食べるのが遅いと怒られた。洗い物をしていると仕事が遅いと怒られた。家族3人の食器と料理で使った器具を全て手洗いするのにそこそこ時間がかかるのに。5分やそこらで洗い終えるわけ無いだろう。私までイライラしてしまった。

　また夢であの人を殺す事にした。その日はあの人を風呂に沈めた。私はあの人の頭を出来るだけ深く押さえ込んだ。暴れる体に力がなくなっていく姿は非常に滑稽だった。お湯がゴボゴボと立てる音も徐々に小さくなっていった。醜く生にしがみついて暴れる大人は、見ていて本当に面白い。

　朝起きたらあの人の機嫌は直っていた。いやはやどういう訳か、あの人は本当にわからない。私とはてんで思考回路が違っているんだろう。時間の進みも、あの人は相当遅いらしいから。