祝!魔王ちゃま?!再誕!!

もずくそば

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第1話 祝!魔王ちゃま!!再誕⁈

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(、、、身体が動かぬ、、、)
(これは、、、まさか!?この俺様が敗れたというのか?!!)

どのくらい気を失っていたのだろうか、気が付くと身体は地面に伏し
辺り一面は自身の『緑色の血』で染まっていた。

『緑色の血』そう、予は魔族である。
そしてその強大な魔力で世の全てを支配してきた『魔王』である!

予は生まれ落ちたその瞬間から自身が最強の魔王であると自覚していた。
記憶はないが、おそらく前世も魔王であったのであろう確信がある。

皆に畏れられ、生みの親でさえその力に恐怖しながら予を育てた。
誰もが己に畏怖し、跪き、許しを請う。それがなんとも心地よかった。

「愛情?」
そんな感情は持ち合わせてないし、自身へと向けられるのさえ腹立たしい。
赤子の時分、予をあやそうと舐めた真似をした輩を何人も灰にしてやったものだ。

そんなものは、自分より弱き者に向ける感情であって、決してこの最強である予に向けることなど許されない。
予の前では、全ての者が予を畏れ、平伏しなければならない、、、

はずだ!!

(なのに、、、なぜだ!なぜ!!予が「下等種族」である人間に!?よりによって、女なんかに!!)

今、生意気にも、予の先に立っているのは「勇者」を名乗る人間の女である。

此奴は弱い人間のくせに、更に弱い者の為に己が傷つきながらも剣を振るう
『富や名声』でなく『愛と平和』の為だのと世迷い事をぬかして。

もっとも「癪に障る」人間だ!

そんな奴にやられるなど、屈辱の極み!業腹だ!

『ガガガ…ガガガ…』
満身創痍ながらも剣をひきずり
こちらへと向かってくる勇者。

反撃しようにも、魔法はおろか指一本動かせない、視界もボヤケてきた
どうやら、この肉体は本当に死を迎えようとしているらしい。

(おのれ!おのれぇぇ!
 来世では必ずお前を!お前の一族を!いや、人間全てを抹殺してやる!)

もはや声すら出せないが、薄れ始めた意識の中でも彼は怒りを燃やしていた

いつしか、勇者は傍らまで来ていた。

(フン、早くトドメを刺すが良い、、、
  この身に剣を突き立てて『かちどき』を上げるのだろうが、
  せいぜい一時の、いや、一瞬の平和とやらを愉しむが良い!!)

-------。

「カランっ」剣が地面に落ちる音がして勇者が崩れ落ちる様に座り込む。

(?!)
(そうか!コヤツももう死にかけておるのか、そうだ!予が負けるわけがないこれは『相打ちだ!』今回は相打ちということにしといてやろう!フハハハハハ!)
『汚名挽回!』とばかりに心の中で高笑いをしていると、、、

次の瞬間、不可解な出来事が起こった。

勇者は彼の頭を抱え上げると、自分の膝の上にのせ、涙を流しはじめたのだ。

(なんだ??こいつは、なぜ泣いている?? 自分も死ぬのが悔しいのか?)
(しかも、なんだコレは?! ひ、膝枕?!)

理解のつかない状態に自失していると、、、。

「寂しかったね、辛かったね、、、」
「誰からも愛情がもらえず、悲しかったんだよね?」
勇者は彼の頭を撫でながら、まるで子供をあやすかの様にそう言ったのだった。

(?!何を言っているのだ?!此奴は!ま、まさか、ど、同情、、、だと?!
やめろっ!何たる恥辱!何たる屈辱!、この予に向けられる感情は恐怖以外あってはならぬっ!)

勇者は続ける。

「神よ、もしこの者が生まれ変わるなら、今一度チャンスをお与えください」
「争いのない、平和な世でたくさんの愛情を受け生きれるように…どうかお願いします」

 (や、やめ、、、ろ)

おそらく『こときれた』のだろう、前世の記憶はここまでである。

----------------------------------------------------------------------------------

体感にして10秒ほどだろうか、彼は再び意識を取り戻した。

(ここは??、、、ハッ!? そ、そうだっ!余はあの勇者っ、いや女に討たれて、、、)
 
朧気だった記憶が蘇り、現在の自身の置かれている状況をだんだんと理解した。
どうやら無事に前世の記憶をもったまま、生まれ変わることに成功した様だ。

(フフフ、予の魔力をもってすれば容易いことだ)
”まぁ彼が『前世では前世の記憶は持っていなかった』ということは棚に上げておこう。。。”

そう己に浸っていると、ドアの開く音がして
見知らぬ男が部屋に入ってきた、人間の男だ。

「おお~愛しいベイビ~ パパがお仕事から戻りまちたよ~」
「寂しかったでちゅか~」

男は猫なで声でそう言いながら彼の身体を「ヒョイ」と持ち上げると、
不精髭と脂にまみれた顔で頬釣りをしてきた。

(くそ!なんだこの人間は!気持ちの悪い!父親だと?!予は人間に生まれ変わってしまったのか?!)(くそ!離せ!下等種族め! ってか息くせぇ!髭が痛てぇ!!)

赤ん坊の柔肌に『髭じょりじょり』は地獄である。

(この不埒ものめが!灰にしてくれる!燃えろっ!)

・・・・・。しかし、何も起きなかった。

(、、、燃えろっ!!!)

・・・・・。再び、強く念じたが、やはり何も起きない。

(おかしい、、、魔法が発動しない、
 前世では念じるだけで燃やしたり、飛ばしたり自由自在だったのに、、、)

(そうか!種族の違いかっ!思えば勇者、いや、あの女も魔法を使う度に詠唱をしておったな、、、)

(確か、、、全知全能なる大いなる神よ、今こそ我に~)

魔王は、前世での記憶を頼りに呪文の詠唱を試みる。
(ハッ!?なぜ予が神なんぞに祈りを捧げないといけないのだっ!)

そう、人間が魔法を使うには術の詠唱が必要で、大抵は「神や精霊」に祈りを捧げるところから始まるのである。

しかし例外もある、彼は勇者との戦いの中でその方法も記憶していた。

(そうだ!たしか省略して『呪文名』を唱えるだけでも使えておったな、、、
 多少威力は落ちるだろうが、このような雑魚にはそれで十分だろう)

 (よし!食らえ!ファイアぁぁボーーぅぅル!!るるるるぅぅ…)

「えぅぅ、あぁ、うぅー」
(ハッ!! 先程からアウアウ言っているのは予自身か?!)

「んー?さっきから、何をお話ししてるんでちゅか~?」
一生懸命に“何かを喋ろう”とする赤ん坊を見ながらニコニコと笑う父親。

(ぐぬぬ、呂律が回ってなくて、ぜんぜん発音できぬ!!なんという不自由な肉体だ!)

そう思っていると「ウンギャァァー、アアアァァー」急に身体が勝手に泣き出してしまった。
(くそぉぉ!!抑えられない!!声を上げ泣くなど恥辱の極みだ!)
思考に身体と感情がついてこない、もはや他人の中にいるような感覚に陥っていた。

「ママー泣いちゃったよ~」男が困った顔で誰かを呼ぶと、奥から女がやってきた。どうやら母親の様だ

そして、その顔を見た瞬間、彼に戦慄が走った。

(ゆ、勇者?!)
--------------------------------------------------------------------------------

いや、、、よく見ると違うようだ
違うがよく似ている、おそらくは血縁の者だろうか、、、。
「ハイハイ、どうしたのぉ?」
母親は父親から彼を取り上げると、身体を小さく揺らしながらあやしはじめた。

(しかし、丁度良い!先ずはお前からだ!!その喉食いちぎってやるわぁぁ!!)
ここぞとばかりに、魔王はその喉元に食らいつく!


『あむ、あむ…』勢いよく喉に噛み付くつもりだったが、、、
なにせまだ首もすわっていない、、、あむあむと口が動かせるだけだった。。。

「あらぁ~そっか!おっぱいまだだったよね!ごめんねぇお腹空いてたのよねぇ??」
母親はそういうと慌てて、衣服のめくり乳房をこちらの顔に向けてきた。

(よせ!予はそんなもの食さぬ!に、人間の母乳など!)
『ちゅぱちゅぱ、、、』
またもや体が勝手に動き、いつのまにか乳房に吸い付いていた。

『ちゅぱちゅぱ、、、』(んー♪んまぁぁい♪、、、)
(ハッ!!?くそっ、違う!これは反射というものだ!)

しかし、彼の意に反し身体は乳を吸うのをやめられないのであった。。。

(くそぅ!何たる恥辱ぅ!こうなったら、このまま噛み切ってやる!!)
そう心で叫びながら、今度は渾身の力で牙を立てる!!

『はむ、はむ、はむ、はむ』
(歯すら生えてなかったぁーーーー)

その後、満腹になった彼はぐっすり眠ったのだった。
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