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数十年ぶりの再会・トーマ視点
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そんな剣いらないし、そもそも騎士団に入る気はなかった当時の俺は親父が怖くてその場から逃げた。
あれから親父にあの剣の話を聞いていない。
結果として騎士団に入団してしまったが魔剣は受け取らない、俺には大切な大剣がある。
しかし親父を疑ってもし、後ろめたい事があるなら親父はきっと魔剣を俺に向けるだろう。
魔力がなくなっただけで死なないから躊躇いもないだろう。
そうなれば3日は眠りにつくだろう。
一秒一秒無駄にしたくない今、そんな事をされたら………考えるだけでも最悪な結末しか起きないだろうな。
だから俺の背中はノエルにあずけよう。
ノエルにも親父の魔剣の話をしたら難しそうに考え込む。
「俺が気を付けるのはラグナロク様ぐらいか」
「親父の元部下数名も警戒した方がいい、とりあえず今日は実家に帰って親父の行動を見ていく…変な動きをしたら真っ先に知らせる」
「……分かった、俺はその間待機してればいいんだな」
ノエルの言葉に頷いた。
母さんにも帰る事を伝えなくてはな、親父の話は勿論しない…母さんは巻き込みたくはない。
今日、この寄宿舎を留守にするがリンディを気に入ってる騎士は何人かいるから大丈夫だろう。
俺は実家に帰るなら荷物をまとめないとなと思い、ノエルには休める時に休んどけと伝えてノエルが部屋を出た。
姫が俺に伝えようとしていた事、決して無駄にはしない。
姫が嘘をつく理由もない…親父になにかあるのだろう。
窓の向こうに広がる空を眺めた。
姫も同じ空を見ているだろうか。
「…姫」
どんな結果になってもなにが待ち受けていても俺はもう目を逸らさないし逃げない。
……だから姫も、俺から逃げないでくれ。
荷物をまとめて机に置きっぱなしだったリンディの弁当を見た。
そういえば夜食作ってくれたんだっけ…食べないと怒られそうだと苦笑いする。
俺は親父みたいに道を踏み外さない、この力には国民の命が一つ一つ乗っかっているんだ。
……英雄にはならなくていい、ただ…騎士団長の名に恥じない行動をしたい。
リンディの弁当を口に押し込み、早めに食べて荷物を抱えて部屋を出た。
正直味わう暇はなかったが空腹で倒れる事はなくなっただろう。
部屋を出ると部屋の前にリンディがいた。
いつからいたんだ?ノエルが去った時はいなかった。
ちょうど良かったとリンディに弁当箱を返す。
リンディは弁当箱を見つめていた。
「トーマ、私にも出来る事はない?」
「リンディは騎士団じゃない、自分の修行をしてればいい」
「でもっ!!」
「帰ってきた奴らにお帰りと言ってくれるだけで何も望まない…その行動力を自分の村の奴らに使ってくれ」
リンディはお弁当箱を抱き締めて、自分の無力さを悔いている顔をしていた。
…正直リンディは寄宿舎から出ない方がいいと思っている。
リンディは契約の魔法使いだ、それをシグナムに知られたらどうなるか…
本人も知らない力だ、言えばリンディは使おうとするだろう…だから言わずに守るしかない。
他の騎士団の奴らにも教えていない、知ればリンディと契約したがる奴らが現れたら大変だ。
ノエルには言おうか迷ったが、いろいろとノエルに背負わせ過ぎてしまっていたからリンディの事は話さなかった…その方がノエルもリンディを特別視せず普通に接する事が出来ると思ったから…
リンディにはその時が来たらきっとリンディの両親から契約の魔法使いの事を聞くだろう…それまではただのリンディとして余計な事は考えず姫修行をしてほしいと思っていた。
親父とシグナムの問題は俺が解決する、それがトーマ・ラグナロクとして生まれた俺のけじめだと考えている。
リンディに見送られ寄宿舎を後にした。
なにか成果があるまで寄宿舎には戻らないが騎士団としての通常業務はしっかりやる。
俺がいない間はコイツが親父を写してくれる筈だ。
ポケットから取り出したのは手のひらサイズのくまのぬいぐるみ。
目には超小型カメラが内蔵されていて、鮮明に目の前の風景を写し出し記録する。
俺は街の見回りをしつつリアルタイムでそれを確認する。
親父が家を出たら追いかける、なるべく通常業務外に起きてほしいが思い通りにはいかないだろうな。
24時間365日絶対に親父の行動を見逃さない。
見回りはノエルとした方が万が一親父が不審な行動をした時一緒に向かいやすいな。
家に帰るのはなん十年ぶりだろうか。
無駄に大きな家の前に足を止める。
仕送りはしているが「たまに帰ってきなさい」と母さんから手紙が届いていた事を思い出し苦笑いする。
……こんな理由で帰ってくるつもりはなかったんだけどな。
家のベルを鳴らすと、家の中からバタバタと慌ただしい音がした。
「トーマ!」
「ただいま、母さん」
ドアが開いたと思ったら母さんが飛び出してきて俺を抱き締めた。
頭一つか二つぶん低い母さん、こんなに小さかったっけと不思議に思った。
少し白髪混じりの黒髪で顔のシワもある。
……長い事会ってなかったんだなと反省する。
親父は嫌いだが母さんには会うべきだったな。
母さんは騎士団就任パレードで俺を見たからか俺の顔はすぐに分かったようだ。
「随分男前になって、母さん嬉しい」
「ずっと会えなくてごめん」
「いいのよ、お仕事忙しいんでしょ?」
頷くしか出来なかった。
母さんに心の中で謝り家の中に入った。
あれから親父にあの剣の話を聞いていない。
結果として騎士団に入団してしまったが魔剣は受け取らない、俺には大切な大剣がある。
しかし親父を疑ってもし、後ろめたい事があるなら親父はきっと魔剣を俺に向けるだろう。
魔力がなくなっただけで死なないから躊躇いもないだろう。
そうなれば3日は眠りにつくだろう。
一秒一秒無駄にしたくない今、そんな事をされたら………考えるだけでも最悪な結末しか起きないだろうな。
だから俺の背中はノエルにあずけよう。
ノエルにも親父の魔剣の話をしたら難しそうに考え込む。
「俺が気を付けるのはラグナロク様ぐらいか」
「親父の元部下数名も警戒した方がいい、とりあえず今日は実家に帰って親父の行動を見ていく…変な動きをしたら真っ先に知らせる」
「……分かった、俺はその間待機してればいいんだな」
ノエルの言葉に頷いた。
母さんにも帰る事を伝えなくてはな、親父の話は勿論しない…母さんは巻き込みたくはない。
今日、この寄宿舎を留守にするがリンディを気に入ってる騎士は何人かいるから大丈夫だろう。
俺は実家に帰るなら荷物をまとめないとなと思い、ノエルには休める時に休んどけと伝えてノエルが部屋を出た。
姫が俺に伝えようとしていた事、決して無駄にはしない。
姫が嘘をつく理由もない…親父になにかあるのだろう。
窓の向こうに広がる空を眺めた。
姫も同じ空を見ているだろうか。
「…姫」
どんな結果になってもなにが待ち受けていても俺はもう目を逸らさないし逃げない。
……だから姫も、俺から逃げないでくれ。
荷物をまとめて机に置きっぱなしだったリンディの弁当を見た。
そういえば夜食作ってくれたんだっけ…食べないと怒られそうだと苦笑いする。
俺は親父みたいに道を踏み外さない、この力には国民の命が一つ一つ乗っかっているんだ。
……英雄にはならなくていい、ただ…騎士団長の名に恥じない行動をしたい。
リンディの弁当を口に押し込み、早めに食べて荷物を抱えて部屋を出た。
正直味わう暇はなかったが空腹で倒れる事はなくなっただろう。
部屋を出ると部屋の前にリンディがいた。
いつからいたんだ?ノエルが去った時はいなかった。
ちょうど良かったとリンディに弁当箱を返す。
リンディは弁当箱を見つめていた。
「トーマ、私にも出来る事はない?」
「リンディは騎士団じゃない、自分の修行をしてればいい」
「でもっ!!」
「帰ってきた奴らにお帰りと言ってくれるだけで何も望まない…その行動力を自分の村の奴らに使ってくれ」
リンディはお弁当箱を抱き締めて、自分の無力さを悔いている顔をしていた。
…正直リンディは寄宿舎から出ない方がいいと思っている。
リンディは契約の魔法使いだ、それをシグナムに知られたらどうなるか…
本人も知らない力だ、言えばリンディは使おうとするだろう…だから言わずに守るしかない。
他の騎士団の奴らにも教えていない、知ればリンディと契約したがる奴らが現れたら大変だ。
ノエルには言おうか迷ったが、いろいろとノエルに背負わせ過ぎてしまっていたからリンディの事は話さなかった…その方がノエルもリンディを特別視せず普通に接する事が出来ると思ったから…
リンディにはその時が来たらきっとリンディの両親から契約の魔法使いの事を聞くだろう…それまではただのリンディとして余計な事は考えず姫修行をしてほしいと思っていた。
親父とシグナムの問題は俺が解決する、それがトーマ・ラグナロクとして生まれた俺のけじめだと考えている。
リンディに見送られ寄宿舎を後にした。
なにか成果があるまで寄宿舎には戻らないが騎士団としての通常業務はしっかりやる。
俺がいない間はコイツが親父を写してくれる筈だ。
ポケットから取り出したのは手のひらサイズのくまのぬいぐるみ。
目には超小型カメラが内蔵されていて、鮮明に目の前の風景を写し出し記録する。
俺は街の見回りをしつつリアルタイムでそれを確認する。
親父が家を出たら追いかける、なるべく通常業務外に起きてほしいが思い通りにはいかないだろうな。
24時間365日絶対に親父の行動を見逃さない。
見回りはノエルとした方が万が一親父が不審な行動をした時一緒に向かいやすいな。
家に帰るのはなん十年ぶりだろうか。
無駄に大きな家の前に足を止める。
仕送りはしているが「たまに帰ってきなさい」と母さんから手紙が届いていた事を思い出し苦笑いする。
……こんな理由で帰ってくるつもりはなかったんだけどな。
家のベルを鳴らすと、家の中からバタバタと慌ただしい音がした。
「トーマ!」
「ただいま、母さん」
ドアが開いたと思ったら母さんが飛び出してきて俺を抱き締めた。
頭一つか二つぶん低い母さん、こんなに小さかったっけと不思議に思った。
少し白髪混じりの黒髪で顔のシワもある。
……長い事会ってなかったんだなと反省する。
親父は嫌いだが母さんには会うべきだったな。
母さんは騎士団就任パレードで俺を見たからか俺の顔はすぐに分かったようだ。
「随分男前になって、母さん嬉しい」
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「いいのよ、お仕事忙しいんでしょ?」
頷くしか出来なかった。
母さんに心の中で謝り家の中に入った。
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