92 / 116
日記
しおりを挟む
「……?……???」
パラパラと捲るが暗号のような文字が続いているだけで全く読めない。
タイトルは読めたのになとがっかりしつつもガリュー先生なら読めるかもしれないと思いながら本を持ちガリュー先生を探す。
本棚に寄りかかり目がチカチカしながらも探すリカルドと埃まみれの本棚を触れないが頑張って触ろうとしているグランがいた。
そしてうろうろとしていると脚立の上で座りながら本を見るガリュー先生を見つけた。
真剣な顔で本をペラペラと見ている。
邪魔しちゃ悪いかと声を掛けるのを戸惑っていたら、ガリュー先生は俺の視線に気付いた。
慌てて本を閉じてカンカンと音を立てて脚立から降りてくる。
「ごめん、興味深い内容の本だったから夢中で」
「俺も邪魔してごめんなさい、何の本ですか?」
「とある人の日記ですよ」
そう言ったガリュー先生は楽しそうに話していた。
その日記は初代国王の日記だという。
初代国王は強い力を持ちながらも病に犯されていたそうだ。
病を患っていたのにシグナムの当主に勝ったのは本当に強かったんだな。
その病は特殊なもので一種な呪いと言われていた。
強い力を手にする代わりに定期的に自我を失い暴走するというものだった。
その制御は難しく、力の源である魔力を減らすしか方法はないという。
それが出来るのはゼロの魔法使いしかいない。
しかし初代国王の時代にはゼロの魔法使いは居なくて初代国王は自分が暴走して国を滅ぼすのを恐れて息子に王位を継がせた後に城の地下牢に自ら入り、その生涯を終えたという。
今、その人がいたら俺が助けてあげられたのになと悔しく思う。
この国を守った立派な人なのにその力によって死んでしまうなんて…
「アルト様が悪いわけじゃないだろ、そんな顔しないで」
「…その人は一人で寂しかったのかな」
「俺には分かりません、でも…」
「この日記からはそういう負の感情が感じられません」とガリュー先生は微笑んだ。
確かにとても丁寧な字で、この日記を書いたのは助けてほしかったのではなく…こういう事があったと同じ病に苦しんでいる身内に向けて書いた内容のような気がした。
自分は病で死んだが、それでもこの世界を救った…だから君にも出来る事がある…そう言っている気がした。
本当の事なんてわからないけど、なんとなくそう思った。
ガリュー先生は本を元あった場所に戻した。
いつか同じ病気の子に出会ったら教えたいなとそう思った。
でも不思議だ、なんで初代国王の日記が城ではなくここにあるのだろうか。
なにか理由があるのだろうが、古いものみたいだしトーマも分からないような気がした。
「それで、俺になにか?」
「あ、そうだ…これ…真竜に関する本だと思うんだけど内容がよく分からなくて」
そう言ってガリュー先生に本を見せた。
ぺらぺらと本を捲るがガリュー先生の悩む顔を見てガリュー先生にも分からないのかと落ち込む。
いろいろな本を読んでいるガリュー先生にも分からないとなれば誰にも分からないのかもしれない。
せっかく見つけた手がかりなのにと本を見つめる。
あれから数時間探したが真竜の伝説の本しかなかったそうだ。
それはゲームで既に知ってる内容だから目新しいのはない。
やはりこの真眼の本が一番真竜に近い気がした。
本当に真竜の本かは分からないけど…
しかしグランとリカルドに見せても読める人はいなかった。
「とりあえず気になるならこれだけ持ち出していろんな人に聞く方がいいかもしれないな」
「持ち出して大丈夫かな…」
「アルト様に仇なす者はこのグランが…」
「グラン、だめだよ」
グランが物騒な事を言いそうだったから先に止めておいた。
グランは悔しそうな顔をしても俺の言う事を聞いてくれて大人しくなった。
それを見てガリュー先生は笑っていてグランは睨んでいた。
本は戻してトーマに聞いてからにしよう。
んーっと背伸びしたリカルドの腹が鳴った。
静かな地下室で響き、頬を赤くさせた。
「食堂に行きましょうか」
グランの提案でリカルドは頷いた。
しかし俺とガリュー先生は困ったような顔をして見つめ合った。
俺達は騎士団でもないし裏切ったとはいえ敵のシグナム家の人間だ、食堂に行ってもいいものか悩む。
二人は気にしていないようだが、俺達は気にしてしまう。
ガリュー先生が街に出かけて買い物してくるから俺と休憩室で夕飯を食べようと提案してきて頷いた。
休憩室に人がいるかもしれないが、そこぐらいしか食べれる場所がない。
しかしそれに待ったをかけたのはグランだった。
「なんでガリューだけがアルト様を独り占めするんですか!納得出来ませんよ!」
「…ギャーギャーうるせぇな、お前だって散々アルト様を独り占めしてきたんだろ…譲れよ」
「譲りません!」
即答で答えたグランとガリュー先生は睨み合っていた。
一緒がいいなら皆で食べればいいのに何故喧嘩になってしまうのか。
言い合う二人を俺とリカルドは見ていた。
リカルドも同じ気持ちみたいで「独り占めが嫌なら皆で食えばいいじゃん」と呟いていた。
俺が原因みたいだし、俺が皆で食べようと言うとグランは明るく賛成した。
ガリュー先生は微妙な顔をしてグランを睨んでいた。
てっきりグランの方がガリュー先生を嫌っていると思っていたが、もしかしたらガリュー先生の方が苦手意識が高いのかもしれない。
悪い事をしてしまったと暗い顔をするがガリュー先生は「行こう!」と明るく俺の背中を軽く叩いた。
そして真眼の本を分かりやすい場所に置き資料庫を出た。
資料庫の中は電気が付いていても決して明るいとは言いがたかった。
地下からやっと地上に戻り、明るさに目を細める。
「埃っぽくなったな、一度風呂入った方がいいかもな」
リカルドの言葉に頷くと、何故かグランは目を輝かしていた。
それをガリュー先生が冷めた目で見ていた。
確かに頭もちょっとパサパサしてるかもしれない。
でも俺手ぶらでここに来たから着替えなんて持ってない。
それはガリュー先生も同じだった。
ガリュー先生ならグランやリカルドの服のサイズに合うが俺だとどうしても合わない。
その事を考えてなかったなと悩む。
「じゃあアルト様!一緒に入りましょう!」
「…あ、でも着替え…」
「姫は俺の部屋で入ればいい」
ふと第三者の声が聞こえて皆そちらを見る。
するとそこには用事が終わったトーマが立っていた。
後ろにはニコニコと笑うノエルもいた。
俺は嬉しくてトーマに近付きたかったが埃っぽいから寸前で立ち止まった。
そんな俺にトーマは手を引いて歩き出した。
皆悔しそうな顔をしていたが、俺があまりにも幸せそうな顔をするから何も言わず見送った。
パラパラと捲るが暗号のような文字が続いているだけで全く読めない。
タイトルは読めたのになとがっかりしつつもガリュー先生なら読めるかもしれないと思いながら本を持ちガリュー先生を探す。
本棚に寄りかかり目がチカチカしながらも探すリカルドと埃まみれの本棚を触れないが頑張って触ろうとしているグランがいた。
そしてうろうろとしていると脚立の上で座りながら本を見るガリュー先生を見つけた。
真剣な顔で本をペラペラと見ている。
邪魔しちゃ悪いかと声を掛けるのを戸惑っていたら、ガリュー先生は俺の視線に気付いた。
慌てて本を閉じてカンカンと音を立てて脚立から降りてくる。
「ごめん、興味深い内容の本だったから夢中で」
「俺も邪魔してごめんなさい、何の本ですか?」
「とある人の日記ですよ」
そう言ったガリュー先生は楽しそうに話していた。
その日記は初代国王の日記だという。
初代国王は強い力を持ちながらも病に犯されていたそうだ。
病を患っていたのにシグナムの当主に勝ったのは本当に強かったんだな。
その病は特殊なもので一種な呪いと言われていた。
強い力を手にする代わりに定期的に自我を失い暴走するというものだった。
その制御は難しく、力の源である魔力を減らすしか方法はないという。
それが出来るのはゼロの魔法使いしかいない。
しかし初代国王の時代にはゼロの魔法使いは居なくて初代国王は自分が暴走して国を滅ぼすのを恐れて息子に王位を継がせた後に城の地下牢に自ら入り、その生涯を終えたという。
今、その人がいたら俺が助けてあげられたのになと悔しく思う。
この国を守った立派な人なのにその力によって死んでしまうなんて…
「アルト様が悪いわけじゃないだろ、そんな顔しないで」
「…その人は一人で寂しかったのかな」
「俺には分かりません、でも…」
「この日記からはそういう負の感情が感じられません」とガリュー先生は微笑んだ。
確かにとても丁寧な字で、この日記を書いたのは助けてほしかったのではなく…こういう事があったと同じ病に苦しんでいる身内に向けて書いた内容のような気がした。
自分は病で死んだが、それでもこの世界を救った…だから君にも出来る事がある…そう言っている気がした。
本当の事なんてわからないけど、なんとなくそう思った。
ガリュー先生は本を元あった場所に戻した。
いつか同じ病気の子に出会ったら教えたいなとそう思った。
でも不思議だ、なんで初代国王の日記が城ではなくここにあるのだろうか。
なにか理由があるのだろうが、古いものみたいだしトーマも分からないような気がした。
「それで、俺になにか?」
「あ、そうだ…これ…真竜に関する本だと思うんだけど内容がよく分からなくて」
そう言ってガリュー先生に本を見せた。
ぺらぺらと本を捲るがガリュー先生の悩む顔を見てガリュー先生にも分からないのかと落ち込む。
いろいろな本を読んでいるガリュー先生にも分からないとなれば誰にも分からないのかもしれない。
せっかく見つけた手がかりなのにと本を見つめる。
あれから数時間探したが真竜の伝説の本しかなかったそうだ。
それはゲームで既に知ってる内容だから目新しいのはない。
やはりこの真眼の本が一番真竜に近い気がした。
本当に真竜の本かは分からないけど…
しかしグランとリカルドに見せても読める人はいなかった。
「とりあえず気になるならこれだけ持ち出していろんな人に聞く方がいいかもしれないな」
「持ち出して大丈夫かな…」
「アルト様に仇なす者はこのグランが…」
「グラン、だめだよ」
グランが物騒な事を言いそうだったから先に止めておいた。
グランは悔しそうな顔をしても俺の言う事を聞いてくれて大人しくなった。
それを見てガリュー先生は笑っていてグランは睨んでいた。
本は戻してトーマに聞いてからにしよう。
んーっと背伸びしたリカルドの腹が鳴った。
静かな地下室で響き、頬を赤くさせた。
「食堂に行きましょうか」
グランの提案でリカルドは頷いた。
しかし俺とガリュー先生は困ったような顔をして見つめ合った。
俺達は騎士団でもないし裏切ったとはいえ敵のシグナム家の人間だ、食堂に行ってもいいものか悩む。
二人は気にしていないようだが、俺達は気にしてしまう。
ガリュー先生が街に出かけて買い物してくるから俺と休憩室で夕飯を食べようと提案してきて頷いた。
休憩室に人がいるかもしれないが、そこぐらいしか食べれる場所がない。
しかしそれに待ったをかけたのはグランだった。
「なんでガリューだけがアルト様を独り占めするんですか!納得出来ませんよ!」
「…ギャーギャーうるせぇな、お前だって散々アルト様を独り占めしてきたんだろ…譲れよ」
「譲りません!」
即答で答えたグランとガリュー先生は睨み合っていた。
一緒がいいなら皆で食べればいいのに何故喧嘩になってしまうのか。
言い合う二人を俺とリカルドは見ていた。
リカルドも同じ気持ちみたいで「独り占めが嫌なら皆で食えばいいじゃん」と呟いていた。
俺が原因みたいだし、俺が皆で食べようと言うとグランは明るく賛成した。
ガリュー先生は微妙な顔をしてグランを睨んでいた。
てっきりグランの方がガリュー先生を嫌っていると思っていたが、もしかしたらガリュー先生の方が苦手意識が高いのかもしれない。
悪い事をしてしまったと暗い顔をするがガリュー先生は「行こう!」と明るく俺の背中を軽く叩いた。
そして真眼の本を分かりやすい場所に置き資料庫を出た。
資料庫の中は電気が付いていても決して明るいとは言いがたかった。
地下からやっと地上に戻り、明るさに目を細める。
「埃っぽくなったな、一度風呂入った方がいいかもな」
リカルドの言葉に頷くと、何故かグランは目を輝かしていた。
それをガリュー先生が冷めた目で見ていた。
確かに頭もちょっとパサパサしてるかもしれない。
でも俺手ぶらでここに来たから着替えなんて持ってない。
それはガリュー先生も同じだった。
ガリュー先生ならグランやリカルドの服のサイズに合うが俺だとどうしても合わない。
その事を考えてなかったなと悩む。
「じゃあアルト様!一緒に入りましょう!」
「…あ、でも着替え…」
「姫は俺の部屋で入ればいい」
ふと第三者の声が聞こえて皆そちらを見る。
するとそこには用事が終わったトーマが立っていた。
後ろにはニコニコと笑うノエルもいた。
俺は嬉しくてトーマに近付きたかったが埃っぽいから寸前で立ち止まった。
そんな俺にトーマは手を引いて歩き出した。
皆悔しそうな顔をしていたが、俺があまりにも幸せそうな顔をするから何も言わず見送った。
25
あなたにおすすめの小説
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
ユィリと皆の動画つくりました! お話にあわせて、ちょこちょこあがる予定です。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
* ゆるゆ
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが、びっくりして憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
ノィユとヴィルの動画を作ってみました!(笑)
インスタ @yuruyu0
Youtube @BL小説動画 です!
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったらお話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです!
ヴィル×ノィユのお話です。
本編完結しました!
『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました!
時々おまけのお話を更新するかもです。
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
* ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。
BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
本編完結、恋愛ルート、トマといっしょに里帰り編、完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
きーちゃんと皆の動画をつくりました!
もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画
プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら!
本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
嫌われ魔術師の俺は元夫への恋心を消去する
SKYTRICK
BL
旧題:恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する
☆11/28完結しました。
☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます!
冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫
——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」
元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。
ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。
その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。
ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、
——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」
噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。
誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。
しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。
サラが未だにロイを愛しているという事実だ。
仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——……
☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる