修復スキルで無限魔法!?

lion

文字の大きさ
28 / 74

揉め事

しおりを挟む
「ほれほれ、後少しだからがんばれよトウゴ」

「がんばってっからぁ!必死だからぁ!」

 いや本当、ほぼベッドの上での生活からまだそんなに日が経って無いからな?これでもめちゃくちゃがんばってるだろオレ。

「まぁまぁ、もうすぐ着くんだからそんなに……ん?」

 クッタさんが右手の方を見て立ち止まる。つられてオレとゼニもそちらを見ると、何やら土煙が舞い何かが走っている様に見える。

「ありゃあ馬……、いやグラネか。てことは王国騎士団か?」

「グラネ?」

「ああ、馬みてぇな魔獣って言えば分かりやすいか?てかほぼ馬なんだけどよ。グラネは風属性のマガタマ持ってっから、馬より速くて丈夫だ。で、そんなのに乗れるのはこの辺だと王国騎士団ぐらいなもんだろ」

「魔獣に乗るのか。なんかすげぇな。てかあれ、街に帰る途中って割には速く無いか?なんだか余裕無さそうな感じなんだけど?」

「あれは!魔獣の群れに追われているんじゃ無いか!?」

 クッタさんが指差す先にはもう1つの土煙。その中にはハッキリとは見えないが、素人のオレでも分かる魔獣の群れが居た。

「なんでまた魔獣なんかに追われてんだ?しかもこんな王都の近くで?」

 確かに、ゼニの言う通りだ。王国騎士団なんて言うぐらいだから魔獣の狩りになんて行かないだろう。もし魔獣の討伐みたいなものに行ったのなら、確実に勝てる準備をして行くんじゃないか?それが敗走みたいな事を、ましてや王都付近まで魔獣を引き連れて来るものなのか?

「あれ……?なんだかこちらへ向かってきていないかい……?」

「あ……そんな感じしますね……」

「本当だなぁ、ありゃー向きを変えてこっち来てるぜ」

「な、なんでだ!?えぇ!?」

「あ、もしかしてアレと合流するつもりなのでは?」

 オレはさっきまで街に入る人の列があった門が大きく開かれているのを指差した。そしてその門の向こうから装備に身を包んだ団体がゾロゾロと出てきているのが見えた。

「なるほどなぁ、援軍が来たって訳だ。あの感じだとギルドが出した依頼を受けた冒険者連中だなぁ。グラネどころか馬にも乗ってねぇ」

「援軍が来るとなんでこっちに向かって来るんだい!?」

「それは援軍が徒歩だからでしょう。出来るだけ王都から離れた場所で戦闘したいんじゃないですかね?一般の人も王都に入るのにあそこに居ますし。必ず勝てる兵力差でも、被害は最小限にしたいんじゃないですか?」

「ここにだって一般人はいるよぉ!」

 クッタさんの叫びも虚しく、右手からは方向転換して来た騎士団と魔獣、前方からは走って向かって来る援軍の冒険者達。そしてその合流地点にオレ達。

「こりゃー逃げようが無いなぁ。オレ達も混ざるか!」

「お前また……。とにかくクッタさんは出来るだけ戦場から離れましょう。このまま行けばドンピシャでここが戦場になりそうです。あっちの森の中に入れば大丈夫だと思いますよ、最悪な事が無ければ」

「最悪な事ってなんだい!?トウゴくん!?とにかく私は森に隠れるからね!君らも無理するんじゃないよ!」

「分かってます!終わったら迎えに行きますね!」

 クッタさんは振り返りもせず、一目散に森へと駆けて行った。

「さぁて、やるかぁ」

 ゼニが準備運動を始める。
 それに合わせてオレも腰のホルダーに刺していたヒールのスクロールを使う。疲れは取れないが筋肉の痛みは取れるからね。疲れは取れないけど、うん。荷物重すぎたんだよ。

 ヒールをかけスクロールを修復し終わり、盾を左手にはめる。どうやら騎士団の方が若干早くここに到達する様だ。

「おおーい!!!助太刀するぜぇ!!!」

 ゼニって声でけぇな。まぁ役にも立つけどなぁ。

「ギルドから派遣された冒険者か!助太刀感謝する!ダージ王子!これで奴らを追い返せますぞ!」

「ルグレ騎士団長、命拾いしたな。だが安心するのはまだ早い。援軍の冒険者達はまだ揃ってはいないのだろう?」

 先頭を走り一早くオレ達の所にたどり着いた数人の騎士達。おそらく乗っているグラネの力が強いんだろう。

「2人……か。勇敢だな。何にせよ恩に着る。残りの援軍もすぐに到着するだろう。ルグレ騎士団長、ここで迎え撃つぞ。相手は魔獣の群れとあの忌々しいウゥロだけだ。援軍と合流して兵力差で勝るなら平坦な場所で戦った方が逃がさずに済む」

「了解しました!全軍!ここにて敵を迎え撃つ!援軍が合流次第奴らを殲滅するぞ!」

 騎士団長の激で士気が上がり多くの騎士達が雄叫びを上げる。グラネに乗った騎士はダージ王子とルグレ騎士団長の手前まで来て振り返り、魔獣の群れに向き直る。視線の先には馬に乗った騎士達が遅れて駆けてくる。そのすぐ後ろには魔獣の群れが。

「放てぇ!」

 ルグレ騎士団長の掛け声と共に大量の矢が放たれる。その矢は大きく弧を描き、馬に乗った騎士の頭上を越えた辺りから重力に引き寄せられ、先頭を走る魔獣に突き刺さった。
 先頭を走る魔獣は倒れ、後ろを走る魔獣もそれに巻き込まれるかと思われたが、後続の魔獣はいとも容易く倒れた魔獣を踏み越え、ほぼスピードを落とすこと無く走って来る。そして先頭の魔獣は全て倒れた訳では無かった。5匹の魔獣が矢を掻い潜り突進してくる。

「撃ち漏らしたか……!迎え撃て!」

 馬に乗る騎士達は慌てて馬を方向転換するもバタついている。グラネの騎士達は弓から剣に持ち替えグラネを走らせるがこちらももたついている。

 オレは両手を前に出しファイアボールのスクロールを2つとも放つ。放たれた火球は狙った通り先頭を走る魔獣2匹の顔面に着弾、魔獣はもんどり打って派手に吹き飛び、横を走る魔獣も巻き込み地面に転がった。

「おぉ!魔法使いとは!助かったぞ!」

「あ、いや、魔法使いじゃなくて今のスクロールなんですよ」

「よぉし!心強い援軍も来ている!魔獣の群れなど蹴散らしてくれようぞ!」

「あーあ、あの人全然聞いてねぇなぁ」

「まぁ……後で説明すればいいだろ。それよりも次はお前の出番だろ。武器が壊れたら直してやるから好きなだけ暴れて来いよ」

「おおーーーよ!!!任しとけ!」

 ゼニは元気だなぁ。腰に差したロングソードを抜き走り出すゼニ。オレもスクロールを修復しつつ盾を左手に構える。でもこんな混戦、本当に大丈夫なの……?もうすでに生きた心地がしないんだけど……。

 オレは弓を構える騎士の近くで遠距離で援護する事にした。危ないしね。ファイアボールを放ちながら魔獣の群れを観察すると、群れは3、4種類の魔獣の群れの様だ。てかただの魔獣が別の種類の魔獣と協力して戦うもんなのか?そんなに頭いいの?

「おぉらああぁぁぁ!!!」

 こんだけ離れててもゼニの声は聞こえるんだな。あいつ元気だな。ゼニは馬に乗った騎士達に混じって暴れ回っている。魔獣の群れと言ってもどれも大きな牛みたいな奴らばかりでそれほど強くは無いのかな?しかし数が数だけに簡単には行かなそうだ。まぁ前線はあちらに任せてオレは抜けてきた魔獣を的確に撃ち抜くだけだ。油断しない様にしないと。

「ダージ王子!」

 ルグレ騎士団長が急に叫んだ。驚いて振り返ろうとすると、オレのすぐ横を一騎の騎馬が駆け抜けて行った。かなりのスピードで駆け抜けて行くその騎馬にはダージ王子が乗っていた。

「ウゥロ!逃げるなよ!今日こそ貴様を殺してやる!」

 先ほどまでの落ち着き、威厳のある雰囲気は消し飛び、怒りに身を震わせた怒声を上げながら魔獣の群れに向かって駆けて行く。それは王子と呼ばれる立場の人間の振る舞いとは到底思えない。王子、ましてやこの状況だと総大将だろ?最後の最後まで守られなきゃならない立場じゃないのか?

「おい!騎士団長殿!あの王子はどうしちまったんだよ!死なれたらオレらだって困っちまうだろ!」

 ルグレの側までたどり着いた援軍の冒険者が詰め寄る。

「申し訳ない……!ウゥロだ、ウゥロの姿が見えた途端ああなってしまったんだ……まったく……!」

 ウゥロ?なんかさっきもその名前を言ってたな?つまりウゥロが敵で、群れは魔獣だけでは無いって事か?
 ダージ王子の駆ける先を見ると、確かに一際大きなダチョウの様な魔獣に乗る人間が見えた。あれがウゥロなのか?

「ちっ!しょうがねぇ王子様だなぁ!ここで悠長にちまちま数を減らしてる場合じゃねぇだろ!王子に死なれちゃ報酬もゼロだ!やってらんねぇだろ!世話の焼ける王子だよぉ!」

「くそっ……!全騎士、援軍!王子に続け!一気に殲滅だ!」

 あれ?突っ込む事になった?まじかぁ。

 
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい

ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆ 気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。 チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。 第一章 テンプレの異世界転生 第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!? 第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ! 第四章 魔族襲来!?王国を守れ 第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!? 第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~ 第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~ 第八章 クリフ一家と領地改革!? 第九章 魔国へ〜魔族大決戦!? 第十章 自分探しと家族サービス

転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚

熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。 しかし職業は最強!? 自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!? ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

ホームレスは転生したら7歳児!?気弱でコミュ障だった僕が、気づいたら異種族の王になっていました

たぬきち
ファンタジー
1部が12/6に完結して、2部に入ります。 「俺だけ不幸なこんな世界…認めない…認めないぞ!!」 どこにでもいる、さえないおじさん。特技なし。彼女いない。仕事ない。お金ない。外見も悪い。頭もよくない。とにかくなんにもない。そんな主人公、アレン・ロザークが死の間際に涙ながらに訴えたのが人生のやりなおしー。 彼は30年という短い生涯を閉じると、記憶を引き継いだままその意識は幼少期へ飛ばされた。 幼少期に戻ったアレンは前世の記憶と、飼い猫と喋れるオリジナルスキルを頼りに、不都合な未来、出来事を改変していく。 記憶にない事象、改変後に新たに発生したトラブルと戦いながら、2度目の人生での仲間らとアレンは新たな人生を歩んでいく。 新しい世界では『魔宝殿』と呼ばれるダンジョンがあり、前世の世界ではいなかった魔獣、魔族、亜人などが存在し、ただの日雇い店員だった前世とは違い、ダンジョンへ仲間たちと挑んでいきます。 この物語は、記憶を引き継ぎ幼少期にタイムリープした主人公アレンが、自分の人生を都合のいい方へ改変しながら、最低最悪な未来を避け、全く新しい人生を手に入れていきます。 主人公最強系の魔法やスキルはありません。あくまでも前世の記憶と経験を頼りにアレンにとって都合のいい人生を手に入れる物語です。 ※ ネタバレのため、2部が完結したらまた少し書きます。タイトルも2部の始まりに合わせて変えました。

インターネットで異世界無双!?

kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。  その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。  これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

処理中です...