修復スキルで無限魔法!?

lion

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チームワーク

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 「後はトウゴだけだぜぇ!」

 ゼニに煽られる。

「分かってるよ!ファイアボール!」

 オレは右手にはめたファイアボールのスクロールを発動。とりあえず狙いも何も無くスライム目掛けて放つ。もちろんスライムが機敏に躱す事なんて無く、見事に着弾。ジュワッと言う音が鳴りスライムの体の一部が蒸発して抉れた。

「このまま物量で押すか!」

 オレはすかさず左手のスクロールも発動、放たれたファイアボールはまたさらにスライムを小さくする。と同時にスクロールを修復。右手のスクロールが元に戻るのに少し間があったが、その僅かな隙をついてくる程スライムは機敏じゃない。なんかウヨウヨしてるぞ?するとスライムは一部分だけ細長く伸び、吹き矢の様な筒状な部分を形成した。
 もしかしてあそこから毒を飛ばすつもりか?
 スライムがそこから攻撃するよりも早くオレのスクロールの修復が終わる。

「残念!」

 修復が終わったファイアボールを筒状の部位目掛けて放つ。ファイアボールは筒状の部位もろともスライムの体を吹き飛ばす。その時点でスライムは体の半分近くを失っている。

「これで終わるかな!?」

 修復が終わった左手のファイアボールをスライムのど真ん中目掛けて放つ。ファイアボールが着弾するとスライムの体の大半が吹き飛び、残った部分はズブズブと崩れて行った。

「上手いこと内蔵を壊したのかな?」

 オレはスクロールを修復しながらゼニとアサヒの元へと歩いて行く。

「さすがにスライムじゃあ楽勝だったなぁ!」

「楽勝ってちょっと!トウゴ!あなたスクロール何個持ってるのよ!?」

「あ、それね。まぁアサヒには話しておいていいかな?オレさ、スキルが使えるんだよね。『修復』っていうスキルで、壊れた物を元に戻す事が出来るんだ。んで、使って壊れたスクロールを元通り直すと何回でも使う事が出来るんだよね」

「ちょっと何それ!その便利スキルなんなのよ!?」

「あ、そういやよぉ、アサヒお前、その鞘の装飾、マガタマ使ったジンツーグなんだろ?1回使えばマガタマぶっ壊れちまうだろぉ?それトウゴに直してもらえよ」

「え!?えぇ!?まさかこれも直せるの!?」

「マガタマ?ってその装飾のとこに付いてた石みたいなやつ?」

「そうよ!てかマガタマが何か知らないの?」

「知らない。なにそれ?」

「ちょっとあなた……。どんだけ世間知らずなのよ。マガタマって言うのは、言わばマガの塊みたいな物ね。基本的には魔物や魔獣の体内で長い時間をかけて生成される物らしいわ。もちろん魔物が強ければ強い程、純度の高いマガタマが生成される。で、マガタマにももちろん属性がある。私がさっき使ったマガタマは火属性のマガタマだったって訳。そのマガタマのマガを使う事で魔法を行使する、それがジンツーグの基本ね。そのさっきもらったジンツーグにも何かしらのマガタマが使われているはずよ」

「おぉーなるほど。何となく理解したぞ。んじゃさっそくそのマガタマとやらを直してみるか」

 オレはアサヒの背後に周り、装飾に僅かに残った赤い石の欠片に触れる。

『修復』

 粉々になった赤い石の欠片が集まってくる。そして装飾の溝に次々と吸い込まれ、ついには元の石に戻った。

「すごい!すごいすごい!トウゴすごいじゃない!このマガタマとっても高いのよ!それが使い捨てなんてやってらんないと常々思ってたのよ!それが!トウゴがいたらタダで使いたい放題じゃない!最高!あぁー!もぅー!私たち最高のパーティになれるんじゃないの!?トウゴったら素敵!!!」

 女の子って現金だなあ……。騙されない様に気を付けよう。

「そうなんだよぉ~!こいつのスキルめっちゃ便利なんだよぉ!いいだろぉ~!オレもよぉ!すぐ武器ぶっ壊しちまうから買い換えるのがしんどかったんだよ!それがこいつがいたら全て解決すんのな!最高だぜぇ!」

「わかるぅ!消耗品ってお金かかってしょうがないのよね!この人便利!経済的!もう手放せないわ!」

 どゆことだ?こいつらオレの事なんだと思ってるんだ?次から金取ろうかな?

「ところでアサヒ、そのマガタマ?とか言うの仕込んである鞘はそれだけじゃないんだろ?」

「そうですわよ!私の持ってる6本の鞘ぜーんぶにそれぞれ別々の属性のマガタマを使った仕掛けがあるの!よろしくね!」

「なにがよろしくなんだ?」

「よろしくったらよろしくよ!いやぁ~!使い放題となったら戦いの幅が広がるわぁ~!これから魔物は任せてちょーだい!」

「こちらこそよろしくお願いします……」

 これが女の子のテンションか……。女心って難しいな。

「あれ?あそこに落ちてるのなんだ?」

 スライムの残骸があった場所に何か光る物を見つけた。

「あぁー、これが今言ってたマガタマだぜ。ほらよ」

 ゼニが拾ってこっちに投げてきた。
 受け取ったそれはちょっと綺麗な石みたいな物だった。

「これがマガタマ?」

「そそそ、それね。まぁこんな弱い魔物だからマガタマも最下級のマガタマね。それでも一応水属性のマガタマよ。それぐらいなら日用品のジンツーグぐらいにしか使えないんじゃないかしら?」

「へえぇ~そうなんだ。じゃあギルドに持って行っても大した金にはならないんだ?」

「そうね、小銭程度なもんね」

 なるほどな。でも記念にもらっとこう。

 

 その後オレ達は森の中をウロウロした。するとほんの少しだけどジンツーグの中の球が震え出し、それを頼りにさらに進む。

「ちょっとぉ!なぁんであんたはそう力任せなのよ!そんな大きな武器を頭から叩き付けたらグチャっとなっちゃうでしょ!ホーンラビットのお肉はそこそこ美味しいんだから!」

「あぁん?うっせぇなぁ、こんな弱っちい魔獣相手に手加減なんて出来ねぇだろぉ?」

「あぁもう!バカ!バカなのね!やっぱり!トウゴもトウゴよ!その盾で頭からゴチンと行ったらゼニと同じになっちゃうでしょ!こう、首をスパッと行くのよ!スパッと!こう!」

 アサヒは手を水平に振って必死にジェスチャーで伝えてくる。

「善処します」

「じゃあよぉ、ホーンラビットは全部アサヒがやる事にしようぜぇ?」

「とりあえず!それでいいわよ!もう!不器用な奴らね!最悪のパーティだわ!とにかく私が倒した綺麗な状態のホーンラビット3匹で晩ご飯にしましょ!休憩ね!」

 さっき最高のパーティって言ってたのはどこのどいつだ?
 
 という事でちょっと早いが晩ご飯と言うことになった。この森に入って数時間、ジンツーグの球は先ほどからずっと揺れっぱなし。でもさすがに数時間でどうにかなる訳では無かったか。少なくとも一晩、この危険な森で過ごさなきゃならない。晩ご飯も兼ねて野営出来そうな場所も探した。

「ここがいいんじゃねぇか?」

 ゼニが見つけた場所は川原。意外にもこの森にも川が流れていてちょっとした岩場になっていた。大きな岩がいくつか転がっている場所がちょうど壁となっていて、少しは身が隠せそうだ。エンシェントエルフの変な仕掛けがあるから異質なだけで、ここも普通の森なんだよな。

「そうね、ここなら水もあるしいざと言う時にもすぐに移動出来そうね。ここにしましょ」

 という事でオレ達は荷物を岩陰に降ろしアサヒはご自慢の綺麗な状態のホーンラビットの解体、ゼニは水汲み兼周囲の見回り、オレは火起こしの担当になった。
 オレはその辺からちょうど良さそうな枯れ木を拾い集め、少し大きめの石を組んで即席の焚き火台を作った。

「あー危ない危ない、そんな事したら派手な事になっちゃうでしょ。これ使いなよ」

 焚き火台の枯れ木に向かって手を向けファイアボールを放とうとしていたオレにアサヒが小さなジンツーグをくれた。それは手のひらに収まるサイズの小さな金属製の平べったい箱。その真ん中には切れ込みが入っていて、そこからパカッと2つに折れそうな感じだ。

「それは火起こしのジンツーグよ、安物だからそう長くは使えないけど枯れ木に火をつけるぐらいなら十分よ。こういうの結構便利だから今度揃えておくといいわよ」

「なるほどなぁ、つまりライターって訳だ」

「らいたー?何言ってんの?とにかくそれ、真ん中で折り曲げて、ちょっとしたら断面から火が出てくるから」

 どれどれ、さっそくやってみよう。言われた通り箱の真ん中から2つに折り曲げパタンと合わせる。長さは半分に、厚みは倍になったそれの断面がほんのり赤くなっている。そして数秒後、ポゥッという音と共に小さな炎が上がった。

「おおー!すげぇ」

「そんなん子供でも使った事あるわよ」

 そうなんだ。て事でオレは枯れ木に火をつけた。
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