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50 国王からの招待、歓迎レセプション
私たちが貴賓室に入ると、長テーブルには食事が用意されていた。
各々席に着くと、国王ショパールが歓迎の言葉を述べる。
「シャフハウゼン王国の第一王子にお越しいただけるとは光栄の極みです…それで、どなたがフィリップ殿かな?」
「その勇者の恰好をしているのがフィリップです」
私が手で指すと、国王は興味深そうにフィリップを見た。
「病気で長く城に籠っていたと聞いておりましたが、お元気そうですな」
なるほど、対外的には呪いではなく病気という事になっていたのか…
「それは…ディスティニーランドを訪れたいという強い思いが、病を克服させたのです!」
私は適当に話を合わせた。
「なんと感動的な話だ!ところで、何の病だったのですかな?」
(え…んな事、知るか!)
「パティ、僕は病気じゃないよ」
「このように、本人も病気のことは忘れたいと申しておりますので…」
「そうか、嫌な事を訊いてしまったな、申し訳ない」
何とか誤魔化し切った。エベルとレイモンドは黙々と食事するだけで協力する気はゼロらしかった。
「ちなみに、歓迎レセプションに招待されたのは私たちだけなんですか?」
「そこは一般のお客様と、王族の御一行様では待遇に差があります」
私の質問に答えたのは摂政のコルムだった。
「はっきり言うんですね?」
「王子には、国に帰った折には、ディスティニーランドの事を広く国民に知らしめてほしいと願っておりますので」
「またまた、予約が二年待ちなんでしょ?余裕じゃないですか」
「黙って客が入るのは初めだけです。人気の移ろいは早い、今のうちに市場をもっと開拓しておかなければ」
どうやらこの国は摂政コルムの手腕で回っているようだった。
「そちらの騎士殿は先程から動かないが、甲冑を脱いで食事されてはどうかな」
エポスがコントロールして何とか椅子に座らせた甲冑飾りを見て、国王が余計な気を効かせた。しかし甲冑の中は空っぽだ、食事できるわけがない。
「か、彼は最近、太って甲冑がきつくなって来たのでダイエット中なんです」
私はまたデタラメを言った。
「そういう事情なら無理に勧めるわけにもいかないな」
焦ったー…話題を変えなければ。
「園内の魔獣、とても自然な動きで、すごいカラクリですね」
「はい、あの技術が開発できたおかげで、我が国の財政は飛躍的に豊かになりました」
「動力は何でしょう、魔法石かなんですか?」
「モーザー殿は魔法工学院を首席で卒業されたそうで、こういった技術にご興味が?」
コルムの目つきが警戒するように鋭くなった。そう言えば私はモーザーという事になってるんだった、技術系の人間には教えたくない内容に触れたという事だろうか。
会話に気を取られて全く食事を楽しめなかったが、ランチのコースも終わっていたので、ここが潮時だと思った。
「ごちそうさまでした。そろそろアトラクションに戻ろうと思うんですが…」
「そうですか、ではダンジョンの入口までお送りしましょう。安全な冒険をお楽しみください」
各々席に着くと、国王ショパールが歓迎の言葉を述べる。
「シャフハウゼン王国の第一王子にお越しいただけるとは光栄の極みです…それで、どなたがフィリップ殿かな?」
「その勇者の恰好をしているのがフィリップです」
私が手で指すと、国王は興味深そうにフィリップを見た。
「病気で長く城に籠っていたと聞いておりましたが、お元気そうですな」
なるほど、対外的には呪いではなく病気という事になっていたのか…
「それは…ディスティニーランドを訪れたいという強い思いが、病を克服させたのです!」
私は適当に話を合わせた。
「なんと感動的な話だ!ところで、何の病だったのですかな?」
(え…んな事、知るか!)
「パティ、僕は病気じゃないよ」
「このように、本人も病気のことは忘れたいと申しておりますので…」
「そうか、嫌な事を訊いてしまったな、申し訳ない」
何とか誤魔化し切った。エベルとレイモンドは黙々と食事するだけで協力する気はゼロらしかった。
「ちなみに、歓迎レセプションに招待されたのは私たちだけなんですか?」
「そこは一般のお客様と、王族の御一行様では待遇に差があります」
私の質問に答えたのは摂政のコルムだった。
「はっきり言うんですね?」
「王子には、国に帰った折には、ディスティニーランドの事を広く国民に知らしめてほしいと願っておりますので」
「またまた、予約が二年待ちなんでしょ?余裕じゃないですか」
「黙って客が入るのは初めだけです。人気の移ろいは早い、今のうちに市場をもっと開拓しておかなければ」
どうやらこの国は摂政コルムの手腕で回っているようだった。
「そちらの騎士殿は先程から動かないが、甲冑を脱いで食事されてはどうかな」
エポスがコントロールして何とか椅子に座らせた甲冑飾りを見て、国王が余計な気を効かせた。しかし甲冑の中は空っぽだ、食事できるわけがない。
「か、彼は最近、太って甲冑がきつくなって来たのでダイエット中なんです」
私はまたデタラメを言った。
「そういう事情なら無理に勧めるわけにもいかないな」
焦ったー…話題を変えなければ。
「園内の魔獣、とても自然な動きで、すごいカラクリですね」
「はい、あの技術が開発できたおかげで、我が国の財政は飛躍的に豊かになりました」
「動力は何でしょう、魔法石かなんですか?」
「モーザー殿は魔法工学院を首席で卒業されたそうで、こういった技術にご興味が?」
コルムの目つきが警戒するように鋭くなった。そう言えば私はモーザーという事になってるんだった、技術系の人間には教えたくない内容に触れたという事だろうか。
会話に気を取られて全く食事を楽しめなかったが、ランチのコースも終わっていたので、ここが潮時だと思った。
「ごちそうさまでした。そろそろアトラクションに戻ろうと思うんですが…」
「そうですか、ではダンジョンの入口までお送りしましょう。安全な冒険をお楽しみください」
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