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52 魔王の告知、パテックの不満
「ふははは、どうだ、恐ろしいか!」
魔王は牙を剥きだして凄んだ。しかし、私はこの登場が大いに不満だった。
「違うでしょ!」
「何がだ?」
「ダンジョン入って一発目が魔王って…順番がおかしいでしょ」
「まずは挨拶から入るのが礼儀というものだろう」
「魔王が礼儀を語んないでよ…魔王はだんだん盛り上げていって最後に登場させないと、怖がろうにも怖がれないじゃない」
「子供受けはいいんだが…」
フィリップを大人にするのが目的なのに、魔獣とのバトルもなしにラスボス登場では心の成長も望めない。
「こっちはトラウマになるくらい怖いって評判聞いてやって来てるんだから、子供だましじゃなく、キッチリ演出で怖がらせてもらわないと困るのよ」
「そう言われても、こっちは仕事でやってるだけだし…」
魔王はブツブツと小声で言い訳を言った。
「めんどくさい奴に当たったっとか思ってるでしょ」
「そ、そんな事はないぞ、ふははは…」
「もういいわ、とっとと仕事して帰って」
そう言うと、魔王は態度を豹変させて私を指さした。
「ふははは、お前らに警告だ!魔獣等、園内の設備は精密に出来ている、指定された装備以外の使用は禁止じゃ」
「知ってる、ガイドブックに書いてあるから」
「園内での飲食は決められたエリアだけ…」
「それもガイドブックに書いてあるわ」
「……分かっているならよい、さらばじゃ!」
魔王は振り向くと、駆け出した。
「逃げた」
「最後に、園内は火気厳禁じゃ!以上、違反した場合は強制退去となるぞ、ふははは…」
魔王は助走をつけて黒い翼を羽ばたかせると、どこかへ飛び去った。
「魔王が注意事項の告知ってサービスのつもりかしら、冷めるわ…」
「パティ、こんなとこにステキなステッキがあるよ」
フィリップが指差す先を見ると、壁に水晶飾りの付いたステッキが掛けてあった。壁にはネームプレートも付いている。
「魔法のステッキ…」
私は壁から外すため手で持ち上げようとした。
「んっ…外れない…魔法使いにしか装備できないって事?」
「あのパテックさん、私たち魔獣に囲まれていますけど」
エベルに言われて周囲を見回すと、狼タイプの魔獣が四方から近づいて来ていた。
「これが第二の試練でしょうか?」
エベルに言われて私はガイドブックを開いた。
「第二の試練は…魔獣の群れを突破し、魔法使いは次の扉をノックせよ…って書いてあるわ」
「魔獣に襲われたらどうなるんだ?」
レイモンドが訊く。
「ケガはしないけど強烈な電気ショックを食らうらしいわ」
「えー、電気ショックは嫌だな」
フィリップが情けない声を出す。
「私だって嫌よ」
「俺は戦うぞ!」
レイモンドは魔法のタクトを剣にように振りかざした。
「戦うなら魔法のステッキを使ってよ。魔法のタクトの十倍のパワーだって書いてあるわ」
私はガイドブックを見ながら言った。
レイモンドは壁から魔法のステッキを外し、ブンブンと振り回した。やはり装備に適した役の者しか持つ事ができない仕様のようだ。
「この棒でぶん殴ればいいのか?」
「いい訳ないでしょ、強制退去になるわ!そこは魔法使い役なんだから魔法で何とかしてよ」
「コイツの使い方が分からん!」
「魔法のステッキの使用法は…ステッキを上に向けてから前方に九十度倒しつつ『ラリホー』と唱えるとメニューが起動する。ステッキで右円を描くと次メニュー、左円を描くと前メニューに切り替わる。ステッキを選択したい項目の方向へ十五度傾けつつ『ハイホー』と唱えると魔法が実行される。だって、覚えた?」
「覚えられるか!」
「じゃあ勇者役のフィリップに戦ってもらう?」
「フィリップ様が魔獣と戦えるわけないだろう!」
「そうだよー、何も悪い事してない魔獣さんと戦うなんてできないよー」
相変わらずフィリップは話の観点がずれてる。
「あの…提案があります」
エベルが手を挙げた。
「何?」
「魔獣を倒せとは書いてないんですよね?リモート操作の甲冑をおとりにして逃げるというのはどうでしょう」
「その話、乗った!」
私はエベルの肩を叩いた。
魔王は牙を剥きだして凄んだ。しかし、私はこの登場が大いに不満だった。
「違うでしょ!」
「何がだ?」
「ダンジョン入って一発目が魔王って…順番がおかしいでしょ」
「まずは挨拶から入るのが礼儀というものだろう」
「魔王が礼儀を語んないでよ…魔王はだんだん盛り上げていって最後に登場させないと、怖がろうにも怖がれないじゃない」
「子供受けはいいんだが…」
フィリップを大人にするのが目的なのに、魔獣とのバトルもなしにラスボス登場では心の成長も望めない。
「こっちはトラウマになるくらい怖いって評判聞いてやって来てるんだから、子供だましじゃなく、キッチリ演出で怖がらせてもらわないと困るのよ」
「そう言われても、こっちは仕事でやってるだけだし…」
魔王はブツブツと小声で言い訳を言った。
「めんどくさい奴に当たったっとか思ってるでしょ」
「そ、そんな事はないぞ、ふははは…」
「もういいわ、とっとと仕事して帰って」
そう言うと、魔王は態度を豹変させて私を指さした。
「ふははは、お前らに警告だ!魔獣等、園内の設備は精密に出来ている、指定された装備以外の使用は禁止じゃ」
「知ってる、ガイドブックに書いてあるから」
「園内での飲食は決められたエリアだけ…」
「それもガイドブックに書いてあるわ」
「……分かっているならよい、さらばじゃ!」
魔王は振り向くと、駆け出した。
「逃げた」
「最後に、園内は火気厳禁じゃ!以上、違反した場合は強制退去となるぞ、ふははは…」
魔王は助走をつけて黒い翼を羽ばたかせると、どこかへ飛び去った。
「魔王が注意事項の告知ってサービスのつもりかしら、冷めるわ…」
「パティ、こんなとこにステキなステッキがあるよ」
フィリップが指差す先を見ると、壁に水晶飾りの付いたステッキが掛けてあった。壁にはネームプレートも付いている。
「魔法のステッキ…」
私は壁から外すため手で持ち上げようとした。
「んっ…外れない…魔法使いにしか装備できないって事?」
「あのパテックさん、私たち魔獣に囲まれていますけど」
エベルに言われて周囲を見回すと、狼タイプの魔獣が四方から近づいて来ていた。
「これが第二の試練でしょうか?」
エベルに言われて私はガイドブックを開いた。
「第二の試練は…魔獣の群れを突破し、魔法使いは次の扉をノックせよ…って書いてあるわ」
「魔獣に襲われたらどうなるんだ?」
レイモンドが訊く。
「ケガはしないけど強烈な電気ショックを食らうらしいわ」
「えー、電気ショックは嫌だな」
フィリップが情けない声を出す。
「私だって嫌よ」
「俺は戦うぞ!」
レイモンドは魔法のタクトを剣にように振りかざした。
「戦うなら魔法のステッキを使ってよ。魔法のタクトの十倍のパワーだって書いてあるわ」
私はガイドブックを見ながら言った。
レイモンドは壁から魔法のステッキを外し、ブンブンと振り回した。やはり装備に適した役の者しか持つ事ができない仕様のようだ。
「この棒でぶん殴ればいいのか?」
「いい訳ないでしょ、強制退去になるわ!そこは魔法使い役なんだから魔法で何とかしてよ」
「コイツの使い方が分からん!」
「魔法のステッキの使用法は…ステッキを上に向けてから前方に九十度倒しつつ『ラリホー』と唱えるとメニューが起動する。ステッキで右円を描くと次メニュー、左円を描くと前メニューに切り替わる。ステッキを選択したい項目の方向へ十五度傾けつつ『ハイホー』と唱えると魔法が実行される。だって、覚えた?」
「覚えられるか!」
「じゃあ勇者役のフィリップに戦ってもらう?」
「フィリップ様が魔獣と戦えるわけないだろう!」
「そうだよー、何も悪い事してない魔獣さんと戦うなんてできないよー」
相変わらずフィリップは話の観点がずれてる。
「あの…提案があります」
エベルが手を挙げた。
「何?」
「魔獣を倒せとは書いてないんですよね?リモート操作の甲冑をおとりにして逃げるというのはどうでしょう」
「その話、乗った!」
私はエベルの肩を叩いた。
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