残酷なこの世界で、

やっこ

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第1章

第12話

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 そして現在、陸翔と蓮華は学園の生徒として潜入を開始していた。
 編入という形で入学したのだが、編入生がそんなに珍しいのか初日から目立ってしょうがない。
 いや、他にも理由はあるだろう。十中八九、新入りの容姿だ。聞こえてくる黄色い悲鳴の中には、いくつか野太いものも混ざっている。男女構わず魅了するとは恐ろしい奴だ。中身はクソ生意気なクソガキのくせに。

 廊下を歩きながら、豪勢な造りの校舎を見渡す。西地区なんてどの建物もコンクリート剝き出しの廃墟同然だというのに、まったく憎らしいほどの格差だ。
 西地区には学校なんて大層なものは存在しない。その日その日を生き抜くので精一杯で、他に関心を向ける余裕などないのだ。
 だから読み書きなんて大半の者が出来ないし、陸翔も【曇天】に入ってから初めて教わった。

 ふと思い至って、隣を見る。
 慣れない制服に息が詰まりそうな陸翔に対して、蓮華は完全にその場に溶け込んでいた。質のいい制服を着ていると、良いとこのボンボンにしか見えない。

『蓮華くんが倒れてたのは、きっと異能の影響だね』

 新入りをホームへ連れて来たあらましを伝えた後、ボスに言われたことを思い出す。なんでも随分とデリケートな異能らしく、副作用が激しいのだとか。

『陸翔にはね、あの子を支えてあげて欲しいんだ』

 珍しく改まった様子で、ボスはそう告げた。
 俺があいつを支える。正直あまりピンとこない。
 この数日間で見てきた新入りは、十分すぎるほど太々しい。そんな相手に一体何をしろというのだろうか。
 脱線した思考を切り替えて、陸翔は隣を歩く蓮華に話しかける。

「まずは情報収集だな。失踪した奴ら、1人ずつ洗ってくぞ」
「……」
「って無視すんじゃねーよ!」

 こいつはボスや秀の言うことには比較的素直に従う癖に、こちらには一切聞く耳を持たない。
 込み上げてくる苛立ちに顔を引き攣らせていると、突然周囲が騒がしくなった。歓声を上げ、皆同じ方向へ熱い視線を送っている。
 一体何事かと生徒たちが見つめる場所へ視線を向ければ、そこには周りの金持ち連中よりも一段と華やかなお嬢と、それに付き従えるように歩く男がいた。



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