せき替え

ガンジ

文字の大きさ
上 下
1 / 1

せき替え 運命が変わる瞬間 #1

しおりを挟む
席替え。学生の青春を物語る上で、重要になってくるイベントだ。
高2の冬の席替えで俺は美優と隣になった。今まで関わることはなかった、いや、関わるはずがなかったのだ。 
美優との出会いは高校受験の受験会場。緊張が漂う中、テスト問題に釘付けの他の受験生とは裏腹に、窓際で斜め前の、神々しく光を放っていた美優に釘付けだった。もし、この学校にお互い入学しても、決して交わることのない運命であると分かっていた。だからこそ、最初で最後のチャンスとして、美優を見つめていたのだ。


俺と美優は同じ高校に進学した。
俺の予想通り、【いや運命通りなのかもしれない⠀】俺と美優は交わることはなかった。美優はクラスのマドンナ的存在。俺はただの帰宅部。この運命に悔しくとも、悲しくもならなかった。だってそーゆう運命と分かってたからだ。 

月日は流れ、ある時廊下にハンカチが落ちているのを僕は見つけた。見るからに女子のハンカチだ。いつもの俺なら、誰かが拾ってくれるだろうという考えだっただろう。しかし、なぜかその時だけは拾って、唯一気をゆるして話せる幼なじみの花に届けた。

俺  これ誰の知らんけど、女子のやつだから頼む

花   はいよー。 

花はいいやつだ。自分で渡せなど言わない。顔もクラスの中では上位に入るくらい可愛いと思う。だけど、モテてるようには見えない。一方で、花よりそれほど可愛くない同じクラスの女子は、先輩から後輩からたくさんの運動部の男子に告白されている。花より性格がいいのか。いや、花だって性格はいい。花より明るいかもしれない。いや、本当にそれだけか。考えれば考えるほど分からなくなる。恋愛ってむずかしい。それが今まで僕が生きてきた中での結論だ。 

現実は無情だ。気づけば、高2の12月になった。街はクリスマスで華やかだ。教室でも、サッカー部のアイツがバト部の可愛い子に告白したなど色々な恋愛話が聞こえてくる。高3からは本格的な受験勉強がはじまる。俺らからしたら、今が恋愛を楽しめる最後の時なのだ。 
俺はもちろん彼女はいない。仲の良い男友達が何人か入ればいいと思ってた。 その中の1人が野球部の優太。自他ともに認めるイケメンだ。勉強もできる。 そんな奴の口癖がある。 

優太  彼女ほしー。思わん? 

俺      来年受験やし、もういらんわ

強がりなんかでは無い。いや、そう言いたかった。 

そんな時に、運命をかえる席替えがあった。俺は6番だった。俺の隣は12番の子だ。隣が誰かは明日、登校してからわかる。俺までになるとドキドキしないのだ。まぁ、せめて嫌がられるのだけは避けたいくらいにしか思っていなかった。 
いつも通り、いつもの帰り道を野球部がオフだった優太と同じ帰宅部の賢人と帰った。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...