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はじまりの物語。
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ぼくには家族がいなかった。どこで産まれて、両親は誰でどんな人なのか、ぼくは知らない。ぼくが知っているのは、15歳になったら孤児院を出て行かないといけないって事だけ。
だけれどその孤児院は、ぼくが7歳の時になくなってしまった。ぼくと、まだ2歳のルイだけを残して、みんな死んでしまった。
孤児院がなくなってから、ぼくはルイと一緒に王都に連れて行かれた。そこでぼくは王様と会って、色々話した。ルイを安全な場所で育ててくれる代わりに、ぼくは色んな仕事をしないといけなくなった。そう言う契約をした。
最初の仕事は魔獣を殺す事だった。王都から少し離れた、人がよく使う道に魔獣が出るから、それを殺してこいって。小さな魔獣なら孤児院にいた頃から殺していたから、簡単に仕事は終わった。その後も何度も何度も魔獣を殺す仕事をした。
何度目かの仕事を請け負った時、ある人を事故に見せかけて殺せと言われた。人を殺すのは嫌だったけど、断ったらルイを殺すと言われた。ぼくにはルイしかいないから、ぼくは人を殺した。大型の魔獣と戦うよりも怖かったけど、ルイを守れたから、怖くなかった。
そうして王都での仕事を繰り返し、ぼくが10歳になる少し前。隣の国に行って、行商人とその客の村人を殺してこいって言われた。女の子の方が簡単に侵入出来るからって、ぼくは女の子の格好をさせられた。ルイを守る為だからって、ぼくはその通りにした。
村に着いたのは大雨の日だった。村の女の子と窓越しに目が合って、女の子とお姉さんが家から出てきた。お姉さんに「どうしたの?」って聞かれたから、ぼくは何も分からないって答えた。そうしてその家にお世話になる事になった。
ぼくはイリニと呼ばれるようになった。これから戦争が起きる原因になるぼくを平和と呼ぶなんて、どんな冗談だと思った。
村に行商人が来る前日の夜。ぼくはそっとベッドを抜け出し、行商人を探した。
村からそう離れていない場所で、行商人はテントを張っていた。音を立てないように忍び寄り、ひとりずつ殺した。
抜け出した時と同じようにベッドへ戻ると、お姉さんに見付かった。忘却魔法を使って忘れてもらった。
数日が経ち、行商人が来ない事を不審に思った村人達が村長の家に集まり、話をしていた。話し合いは夜になっても終わらなかった。
ぼくはまたベッドを抜け出した。だけれど今度はお姉さんに邪魔をされてしまった。
仕事を終わらせないとルイが危ない。だからお姉さんと攻撃魔法を撃ち合いながら、村長の家に向かった。
みんな、攻撃魔法を撃ちながら表れたぼくとお姉さんに驚いていたけれど、隙だらけだったから簡単に死んでしまった。お姉さんは殺さなくてもいい人だったけど、殺さなくちゃいけない人になってしまった。
「カレナさん、ごめんなさい」
何故かは分からないけれど、ぼくはお姉さんを殺す時に謝っていた。傍にはあの子もいたように思う。あの子も殺さなくちゃいけない人になったけれど、あの子は殺さなかった。そうすれば、きっとあの子はぼくを殺してくれると思ったから。
ルイを守る為だから。そう思って頑張ったけど、分からなくなってきた。ぼくは本当にルイを守れてる?王様は、ちゃんと約束を守ってくれる?
それから数年が経って、ぼくはいい事を思い付いた。そうだ、この国も王様も、みんなみんな殺せばいいんだ。そうすればルイと一緒にいられる。ルイを守る為だからって、人を殺さずにいられる。
そうしてぼくは国を殺して、ルイと一緒に旅に出る事にした。
だけれどその孤児院は、ぼくが7歳の時になくなってしまった。ぼくと、まだ2歳のルイだけを残して、みんな死んでしまった。
孤児院がなくなってから、ぼくはルイと一緒に王都に連れて行かれた。そこでぼくは王様と会って、色々話した。ルイを安全な場所で育ててくれる代わりに、ぼくは色んな仕事をしないといけなくなった。そう言う契約をした。
最初の仕事は魔獣を殺す事だった。王都から少し離れた、人がよく使う道に魔獣が出るから、それを殺してこいって。小さな魔獣なら孤児院にいた頃から殺していたから、簡単に仕事は終わった。その後も何度も何度も魔獣を殺す仕事をした。
何度目かの仕事を請け負った時、ある人を事故に見せかけて殺せと言われた。人を殺すのは嫌だったけど、断ったらルイを殺すと言われた。ぼくにはルイしかいないから、ぼくは人を殺した。大型の魔獣と戦うよりも怖かったけど、ルイを守れたから、怖くなかった。
そうして王都での仕事を繰り返し、ぼくが10歳になる少し前。隣の国に行って、行商人とその客の村人を殺してこいって言われた。女の子の方が簡単に侵入出来るからって、ぼくは女の子の格好をさせられた。ルイを守る為だからって、ぼくはその通りにした。
村に着いたのは大雨の日だった。村の女の子と窓越しに目が合って、女の子とお姉さんが家から出てきた。お姉さんに「どうしたの?」って聞かれたから、ぼくは何も分からないって答えた。そうしてその家にお世話になる事になった。
ぼくはイリニと呼ばれるようになった。これから戦争が起きる原因になるぼくを平和と呼ぶなんて、どんな冗談だと思った。
村に行商人が来る前日の夜。ぼくはそっとベッドを抜け出し、行商人を探した。
村からそう離れていない場所で、行商人はテントを張っていた。音を立てないように忍び寄り、ひとりずつ殺した。
抜け出した時と同じようにベッドへ戻ると、お姉さんに見付かった。忘却魔法を使って忘れてもらった。
数日が経ち、行商人が来ない事を不審に思った村人達が村長の家に集まり、話をしていた。話し合いは夜になっても終わらなかった。
ぼくはまたベッドを抜け出した。だけれど今度はお姉さんに邪魔をされてしまった。
仕事を終わらせないとルイが危ない。だからお姉さんと攻撃魔法を撃ち合いながら、村長の家に向かった。
みんな、攻撃魔法を撃ちながら表れたぼくとお姉さんに驚いていたけれど、隙だらけだったから簡単に死んでしまった。お姉さんは殺さなくてもいい人だったけど、殺さなくちゃいけない人になってしまった。
「カレナさん、ごめんなさい」
何故かは分からないけれど、ぼくはお姉さんを殺す時に謝っていた。傍にはあの子もいたように思う。あの子も殺さなくちゃいけない人になったけれど、あの子は殺さなかった。そうすれば、きっとあの子はぼくを殺してくれると思ったから。
ルイを守る為だから。そう思って頑張ったけど、分からなくなってきた。ぼくは本当にルイを守れてる?王様は、ちゃんと約束を守ってくれる?
それから数年が経って、ぼくはいい事を思い付いた。そうだ、この国も王様も、みんなみんな殺せばいいんだ。そうすればルイと一緒にいられる。ルイを守る為だからって、人を殺さずにいられる。
そうしてぼくは国を殺して、ルイと一緒に旅に出る事にした。
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