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トレーニングの成果
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地獄のトレーニングを開始してから五ヶ月が経った。
この五ヶ月間で、俺の魔法能力は飛躍的に向上した。
まず、自分が使える魔法は完璧に操れるようになった。
威力を弱めたり強めたりするのはお手の物で、最近では大嵐の本質を隠す事も出来る。
後は、魔法を二十種類程使えるようになった。
俺は基本的に見るだけで魔法を使えるようになるが、適性の無い魔法は使えなかった。
俺の適性は、火、風、氷、水属性だった。
無属性魔法は魔核さえあれば誰でも使えるらしく、俺は実質五属性の魔法が使える。
魔法だけではなく、俺の凛耶への心象も大きく変わった。
俺は凛耶の事が最初は大嫌いだった。
俺に魔法を教える気が無いような態度を取ったり、魔法を倒れるまで使う事を強制されたりと酷い目に遭わされてきたからだ。
今は、凛耶の事を尊敬していると言うのは大袈裟だが、少なくとも嫌いでは無い。
我ながら何という手のひら返しだと思うが、凛耶のおかげで自分の魔法能力が向上しているのを考えると、凛耶の事を認めざるを得なかった。
そして、凛耶の俺への態度も軟化していた。
トレーニング開始直後は、脳内疎通でしか会話をしてくれなかったが、今では普通に会話をしてくれている。
その凛耶との別れの時期が近付いて来ている。
最近親から聞いたのだが、凛耶との契約は俺が四歳になるまでとなっているらしい。
俺の歳は、三歳だ。正確には、三歳と三ヶ月だ。
つまり、あと九ヶ月で凛耶との契約が終了する。
俺はそれまでにやらなくてはならない事がある。
それは、トレーニングをする前に決めた目標を達成する事だ。
⋯⋯俺の目標は、凛耶を倒す事だ。
目標を立てた当初は、単純に凛耶に腹が立ち、ぶっ飛ばしたいと思ったから立てた目標だが、今は違う理由がある。
今は自分なりの恩返しのやり方として、凛耶を倒すという目標を持っている。
だから、自分でも無謀だと思っているが何としてでも達成したかった。
「お前最近妙に力入ってねーか?」
そんな事を考えながらトレーニングをしていると、凛耶にそう声をかけられた。
実際に俺は力が入っている。
無理もない事だ、後九ヶ月で凛耶を倒せるだけの力を手に入れなくてはならないのだ。
このままのペースでは傷一つ付けられそうにもない。
「そうだな⋯⋯少し最近力んでいる⋯⋯いや、焦っているな」
「なんでだ?お前は十分強くなったと思うがな」
「それじゃ足りないんだ⋯⋯」
執拗に力を求める俺に、凛耶は怪訝そうな顔をしていた。
「力を求めても良いことばかりとは限らない。寧ろ悪い事の方が多い。お前がなぜそんなに力を求めてるか知らねーがろくな事にならないぞ」
「⋯⋯俺はとある人を倒すために力を付けたいんだ」
このままでは魔法のトレーニングが捗らないと思い、俺は遠回しに凛耶に力を付けたい理由を話すことにした。
「ふーん⋯⋯あれか、復讐とかか?」
「違う。恩返しだ」
「恩返しで人を倒すねぇ⋯⋯」
凛耶はそう一言言い黙ってしまった。
――数分間の沈黙が流れる――
「それなら一つ良いことを教えてやる」
沈黙を先に破ったのは凛耶だった。
「複合魔法って知ってるか?」
「いや、知らない」
「複合魔法ってのは違う属性の魔法同士を、融合させて発動する魔法だ。当然威力も格段に上がる」
複合魔法⋯⋯遂に来たか!
「凛耶⋯⋯その魔法を俺に教えてくれ」
俺はすぐに凛耶に教えてくれと頼んだ。
「教えてやりたいんだが、お前が修得出来るとは限らない。こればかりは完全にセンスの問題だからな⋯⋯それでもやるか?」
「もちろんだ」
俺は間髪入れずに答えた。
当然だ。やってみなくては分からない事なのに、最初から諦めるという選択肢は俺には無かったからだ。
「まずは、魔法を使うと脳内から何かが抜けて行く感覚がするだろ?それを二つが抜けて行く感覚に増やせ」
⋯⋯いや、無理だから。
凛耶の教え方は、魔法の論理を教えるのではなく、感覚で覚えろといった教え方だ。
俺的には魔法論理を教えて欲しかった。
「そんな事いきなり言われても出来ると思う?」
「出来る出来ないじゃなくてやるんだ。最初に言ったろ?複合魔法を使うにはセンスが必要だと」
⋯⋯つまり魔法論理を説明した所で、センスが無いと意味が無いから説明しないという事か。
なるほど⋯⋯凛耶の考え方は中々にドライだな。
今まで論理を一切説明しなかった理由がやっと分かった。
「分かったよ。でも、せめて凛耶の複合魔法を使う時の感覚を教えてくれないか?」
「あ?そんなの属性の違う魔法を二つ同時に発動してるだけだが⋯⋯言っとくけど感覚は人それぞれだから参考にしない方が良いぞ?」
⋯⋯凛耶は、属性の違う魔法を二つ同時に発動する事を簡単な事のように言っているが、それは相当難しい事だ。
もちろん俺も試した事はあるが、成功する兆しは全く見えなかった。
「凛耶の感覚が参考にならない事が良く分かったよ⋯⋯」
「おぉい!⋯⋯お前って意外と毒舌だよな」
俺は遠回し⋯⋯割とストレートに凛耶は使い物にならないと言った。
(さて、じゃれ合いはこのへんにして、複合魔法のトレーニングを開始しますか)
俺は集中する。
まずは風属性魔法の烈風を発動する手前で止める。
その状態を維持したまま、炎属性魔法の炎球を発動しようとした。
だが、発動出来なかった。
明らかに魔法構築の、スペースが足りなかった。
これは想定内だ。
最初はなっから一度目で成功するとは思っていなかった。
ならばと思い、烈風と炎球を入り混ぜる様に魔法を発動させた。
俺の脳内から何かが抜けて行く感覚がする⋯⋯どうやら成功したようだ。
しかし、発動した直後に凄まじい熱風が俺と凛耶を襲った。
俺は発動させたものの、コントロールが出来ずに魔法を暴発させてしまった。
俺はどうすればいいか分からず狼狽えたが、凛耶の表情を見て落ち着きを取り戻した。
凛耶の表情はいつもと変わらない、ニヤついた顔をしていたからだ。
「おう⋯⋯やりやがったなお前⋯⋯炎風」
凛耶は、俺の使った魔法を相殺した。
「まさか、こんなに早く発動出来るとは思ってなかったぜ⋯⋯ちょいと油断してたな」
俺は、やはり凛耶は凄いと改めて実感した。
本人には絶対に言わないが、俺が魔法名すら発さず魔法を暴発させたにも関わらず、凛耶は瞬時に何の魔法を使ったかを見抜き、相殺したのだ。
並大抵の実力では出来ない早業だと思う。
「⋯⋯ありがとう凛耶」
「気にすんな。それより久しぶりに隔離空間を使うぞ」
凛耶は俺のトレーニングに付き合う気になったようだ。
「了解」
俺は一言返事し、隔離空間の中に飲み込まれて行った。
――――
複合魔法のトレーニングを開始してから六ヵ月が経った。
すでに俺は複合魔法を操れるようになり、今は凛耶を倒すための魔法を練習している所だ。
その魔法とは大嵐と炎球の複合魔法だ。
もう一つ魔法を用意しているが、期限までに操れる自信が無かった。
しかし、仮にこの魔法を使えるようになったとしても、まだ凛耶に勝てない。
確実にもうワンランク上の魔法が必要になってくる。
俺はもうワンランク上の魔法を身に付けるべく、思考を巡らせた。
――
凛耶との別れの日まで一週間を切っていた。
そんなある日の事だった。
「そーいえば、お前の事を教えるの後一週間ぐらいしかないから」
突然、凛耶の口から契約終了の日時を伝えられた。
「知ってるよ」
俺は知っていたので特に表情を変えずに答えたが、 凛耶は違った。
凛耶の表情は、まるで獲物を狙う肉食獣の様な表情だった。
「俺が言いたいのは、お前は俺に言いたい事があるんじゃねーのかって事だ」
凛耶は更に表情を恐ろしい形相に変え、そう言った。
(これは見透かされているな⋯⋯)
俺は見透かされている事に少し驚いた。
「そうだな。言いたいことがある⋯⋯最終日に俺と勝負してほしい」
俺は簡潔に一言そう言った。
だが、その言葉には俺なりの思いが入っている。
無意識の内に自分の表情が変化しているのが、手に取る様に分かる。
「⋯⋯わかった」
凛耶も一言だけそう言った。
凛耶の表情は相変わらず恐ろしい形相だが、微かに笑みを浮かべていた。
俺はこの笑みの意味に気付かなかった。
「じゃまたな。一週間後の勝負に期待してるよ」
凛耶は一言だけそう残して帰って行った。
この五ヶ月間で、俺の魔法能力は飛躍的に向上した。
まず、自分が使える魔法は完璧に操れるようになった。
威力を弱めたり強めたりするのはお手の物で、最近では大嵐の本質を隠す事も出来る。
後は、魔法を二十種類程使えるようになった。
俺は基本的に見るだけで魔法を使えるようになるが、適性の無い魔法は使えなかった。
俺の適性は、火、風、氷、水属性だった。
無属性魔法は魔核さえあれば誰でも使えるらしく、俺は実質五属性の魔法が使える。
魔法だけではなく、俺の凛耶への心象も大きく変わった。
俺は凛耶の事が最初は大嫌いだった。
俺に魔法を教える気が無いような態度を取ったり、魔法を倒れるまで使う事を強制されたりと酷い目に遭わされてきたからだ。
今は、凛耶の事を尊敬していると言うのは大袈裟だが、少なくとも嫌いでは無い。
我ながら何という手のひら返しだと思うが、凛耶のおかげで自分の魔法能力が向上しているのを考えると、凛耶の事を認めざるを得なかった。
そして、凛耶の俺への態度も軟化していた。
トレーニング開始直後は、脳内疎通でしか会話をしてくれなかったが、今では普通に会話をしてくれている。
その凛耶との別れの時期が近付いて来ている。
最近親から聞いたのだが、凛耶との契約は俺が四歳になるまでとなっているらしい。
俺の歳は、三歳だ。正確には、三歳と三ヶ月だ。
つまり、あと九ヶ月で凛耶との契約が終了する。
俺はそれまでにやらなくてはならない事がある。
それは、トレーニングをする前に決めた目標を達成する事だ。
⋯⋯俺の目標は、凛耶を倒す事だ。
目標を立てた当初は、単純に凛耶に腹が立ち、ぶっ飛ばしたいと思ったから立てた目標だが、今は違う理由がある。
今は自分なりの恩返しのやり方として、凛耶を倒すという目標を持っている。
だから、自分でも無謀だと思っているが何としてでも達成したかった。
「お前最近妙に力入ってねーか?」
そんな事を考えながらトレーニングをしていると、凛耶にそう声をかけられた。
実際に俺は力が入っている。
無理もない事だ、後九ヶ月で凛耶を倒せるだけの力を手に入れなくてはならないのだ。
このままのペースでは傷一つ付けられそうにもない。
「そうだな⋯⋯少し最近力んでいる⋯⋯いや、焦っているな」
「なんでだ?お前は十分強くなったと思うがな」
「それじゃ足りないんだ⋯⋯」
執拗に力を求める俺に、凛耶は怪訝そうな顔をしていた。
「力を求めても良いことばかりとは限らない。寧ろ悪い事の方が多い。お前がなぜそんなに力を求めてるか知らねーがろくな事にならないぞ」
「⋯⋯俺はとある人を倒すために力を付けたいんだ」
このままでは魔法のトレーニングが捗らないと思い、俺は遠回しに凛耶に力を付けたい理由を話すことにした。
「ふーん⋯⋯あれか、復讐とかか?」
「違う。恩返しだ」
「恩返しで人を倒すねぇ⋯⋯」
凛耶はそう一言言い黙ってしまった。
――数分間の沈黙が流れる――
「それなら一つ良いことを教えてやる」
沈黙を先に破ったのは凛耶だった。
「複合魔法って知ってるか?」
「いや、知らない」
「複合魔法ってのは違う属性の魔法同士を、融合させて発動する魔法だ。当然威力も格段に上がる」
複合魔法⋯⋯遂に来たか!
「凛耶⋯⋯その魔法を俺に教えてくれ」
俺はすぐに凛耶に教えてくれと頼んだ。
「教えてやりたいんだが、お前が修得出来るとは限らない。こればかりは完全にセンスの問題だからな⋯⋯それでもやるか?」
「もちろんだ」
俺は間髪入れずに答えた。
当然だ。やってみなくては分からない事なのに、最初から諦めるという選択肢は俺には無かったからだ。
「まずは、魔法を使うと脳内から何かが抜けて行く感覚がするだろ?それを二つが抜けて行く感覚に増やせ」
⋯⋯いや、無理だから。
凛耶の教え方は、魔法の論理を教えるのではなく、感覚で覚えろといった教え方だ。
俺的には魔法論理を教えて欲しかった。
「そんな事いきなり言われても出来ると思う?」
「出来る出来ないじゃなくてやるんだ。最初に言ったろ?複合魔法を使うにはセンスが必要だと」
⋯⋯つまり魔法論理を説明した所で、センスが無いと意味が無いから説明しないという事か。
なるほど⋯⋯凛耶の考え方は中々にドライだな。
今まで論理を一切説明しなかった理由がやっと分かった。
「分かったよ。でも、せめて凛耶の複合魔法を使う時の感覚を教えてくれないか?」
「あ?そんなの属性の違う魔法を二つ同時に発動してるだけだが⋯⋯言っとくけど感覚は人それぞれだから参考にしない方が良いぞ?」
⋯⋯凛耶は、属性の違う魔法を二つ同時に発動する事を簡単な事のように言っているが、それは相当難しい事だ。
もちろん俺も試した事はあるが、成功する兆しは全く見えなかった。
「凛耶の感覚が参考にならない事が良く分かったよ⋯⋯」
「おぉい!⋯⋯お前って意外と毒舌だよな」
俺は遠回し⋯⋯割とストレートに凛耶は使い物にならないと言った。
(さて、じゃれ合いはこのへんにして、複合魔法のトレーニングを開始しますか)
俺は集中する。
まずは風属性魔法の烈風を発動する手前で止める。
その状態を維持したまま、炎属性魔法の炎球を発動しようとした。
だが、発動出来なかった。
明らかに魔法構築の、スペースが足りなかった。
これは想定内だ。
最初はなっから一度目で成功するとは思っていなかった。
ならばと思い、烈風と炎球を入り混ぜる様に魔法を発動させた。
俺の脳内から何かが抜けて行く感覚がする⋯⋯どうやら成功したようだ。
しかし、発動した直後に凄まじい熱風が俺と凛耶を襲った。
俺は発動させたものの、コントロールが出来ずに魔法を暴発させてしまった。
俺はどうすればいいか分からず狼狽えたが、凛耶の表情を見て落ち着きを取り戻した。
凛耶の表情はいつもと変わらない、ニヤついた顔をしていたからだ。
「おう⋯⋯やりやがったなお前⋯⋯炎風」
凛耶は、俺の使った魔法を相殺した。
「まさか、こんなに早く発動出来るとは思ってなかったぜ⋯⋯ちょいと油断してたな」
俺は、やはり凛耶は凄いと改めて実感した。
本人には絶対に言わないが、俺が魔法名すら発さず魔法を暴発させたにも関わらず、凛耶は瞬時に何の魔法を使ったかを見抜き、相殺したのだ。
並大抵の実力では出来ない早業だと思う。
「⋯⋯ありがとう凛耶」
「気にすんな。それより久しぶりに隔離空間を使うぞ」
凛耶は俺のトレーニングに付き合う気になったようだ。
「了解」
俺は一言返事し、隔離空間の中に飲み込まれて行った。
――――
複合魔法のトレーニングを開始してから六ヵ月が経った。
すでに俺は複合魔法を操れるようになり、今は凛耶を倒すための魔法を練習している所だ。
その魔法とは大嵐と炎球の複合魔法だ。
もう一つ魔法を用意しているが、期限までに操れる自信が無かった。
しかし、仮にこの魔法を使えるようになったとしても、まだ凛耶に勝てない。
確実にもうワンランク上の魔法が必要になってくる。
俺はもうワンランク上の魔法を身に付けるべく、思考を巡らせた。
――
凛耶との別れの日まで一週間を切っていた。
そんなある日の事だった。
「そーいえば、お前の事を教えるの後一週間ぐらいしかないから」
突然、凛耶の口から契約終了の日時を伝えられた。
「知ってるよ」
俺は知っていたので特に表情を変えずに答えたが、 凛耶は違った。
凛耶の表情は、まるで獲物を狙う肉食獣の様な表情だった。
「俺が言いたいのは、お前は俺に言いたい事があるんじゃねーのかって事だ」
凛耶は更に表情を恐ろしい形相に変え、そう言った。
(これは見透かされているな⋯⋯)
俺は見透かされている事に少し驚いた。
「そうだな。言いたいことがある⋯⋯最終日に俺と勝負してほしい」
俺は簡潔に一言そう言った。
だが、その言葉には俺なりの思いが入っている。
無意識の内に自分の表情が変化しているのが、手に取る様に分かる。
「⋯⋯わかった」
凛耶も一言だけそう言った。
凛耶の表情は相変わらず恐ろしい形相だが、微かに笑みを浮かべていた。
俺はこの笑みの意味に気付かなかった。
「じゃまたな。一週間後の勝負に期待してるよ」
凛耶は一言だけそう残して帰って行った。
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