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第一章
シュンカの家にて
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翌朝。
セイトとミラは、屋敷を出て、北の森へと向かって歩いていた。
「朝の空気は気持ちが良いなぁ。
これが仕事じゃなかったら、もっと気持ち良いんだろうなぁ。」
未だにぶつぶつと愚痴をこぼすセイトに、ミラは呆れたように言葉を返す。
「まだ、言ってるんですか。
そもそも、引き受けたのはセイト様なんですから、しっかり責任持って仕事してください。」
横を歩くミラを半目になって睨むセイトに、怯むことなく事実を述べるミラは、強者である。
他愛もない世間話をしながら歩いていると、森が見えてきた。
その近くに一軒の家が見えた。
「ああ、あれがシュンカの家だな。」
シュンカに、『森に向かって歩いてくればすぐに分かるから』、と言われていたので、確証を持ってあの家がシュンカの家だと分かった。
家の隣には柵で囲まれた土地があり、そこは畑のようだった。
これが、昨日、シュンカが交渉に持ち出した"茶畑"だろう。
玄関の前に立ったセイトは、手の甲でノックをした。
中から女性の返事が聞こえて、すぐに扉が開いた。
シュンカにそっくりな女性だったが、シュンカよりも大人びた顔立ちをしている。
シュンカの母親だろう、とすぐに察しがついた。
「あら、こんにちは。
えっと、もしかして、占い師さん?」
首をかしげる女性に、ハッとして、セイトは自己紹介をした。
「はじめまして、町で占い師をやっております、セイトと申します。
シュンカ殿の依頼で参りました。
シュンカ殿は…」
「あ!占い師さん!!
来てくれたのね!」
またもや、セイトの言葉を途中で遮るシュンカ。
「こら、シュンカ。
占い師さん、まだ話終わってなかったでしょう?
人の話は最後まで聞かないとダメよ。」
母親が娘に注意をする姿は、まさしく親子だった。
「俺は大丈夫ですので、お気になさらず。
それでは、俺はこれから森に入り、弟君を探して参ります。
あなた方は、危険ですから、家の中で待機していてください。
では。」
一礼して、後ろを向いたセイトを、シュンカが呼び止める。
「あ、あの!」
セイトが振り向くと、不安げにこちらを見るシュンカがいた。
「あ、あの…。」
気まずそうにもじもじとするシュンカに、「ああ。」と言って、体ごとシュンカに向き合った。
「?」
不思議そうにセイトを見るシュンカに、セイトはにこりと笑った。
「そういえば、弟君の名前、聞いてなかったよ。
探すとき、名前を呼べないのはつらいからね。」
本当は、シュンカが何を言いたいのかは分かっていた。
きっと、
ー危ない目に合わせることになってごめんなさい。
そう言いたかったのだと思う。
でも、そんな気遣いは無用だ。
安心させるように、優しく微笑んだ。
「えっ、えと…。」
予想外の問いかけだったのだろう。
シュンカは一瞬、戸惑った様子だった。
しかし、もやもやしていた心が、セイトの堂々とした立ち姿、言葉を聞いて、晴れていくようだった。
「弟は、シュウト、っていうの。
私たちの名前を合わせると、『春夏秋冬』になるのよ。
素敵でしょ。」
にかっと笑うシュンカを見て、セイトも安心した。
「ああ、素敵だな。
それならやっぱり、二人は一緒にいないといけないな。」
そう言って、セイトとミラは森へと入っていったのだった。
セイトとミラは、屋敷を出て、北の森へと向かって歩いていた。
「朝の空気は気持ちが良いなぁ。
これが仕事じゃなかったら、もっと気持ち良いんだろうなぁ。」
未だにぶつぶつと愚痴をこぼすセイトに、ミラは呆れたように言葉を返す。
「まだ、言ってるんですか。
そもそも、引き受けたのはセイト様なんですから、しっかり責任持って仕事してください。」
横を歩くミラを半目になって睨むセイトに、怯むことなく事実を述べるミラは、強者である。
他愛もない世間話をしながら歩いていると、森が見えてきた。
その近くに一軒の家が見えた。
「ああ、あれがシュンカの家だな。」
シュンカに、『森に向かって歩いてくればすぐに分かるから』、と言われていたので、確証を持ってあの家がシュンカの家だと分かった。
家の隣には柵で囲まれた土地があり、そこは畑のようだった。
これが、昨日、シュンカが交渉に持ち出した"茶畑"だろう。
玄関の前に立ったセイトは、手の甲でノックをした。
中から女性の返事が聞こえて、すぐに扉が開いた。
シュンカにそっくりな女性だったが、シュンカよりも大人びた顔立ちをしている。
シュンカの母親だろう、とすぐに察しがついた。
「あら、こんにちは。
えっと、もしかして、占い師さん?」
首をかしげる女性に、ハッとして、セイトは自己紹介をした。
「はじめまして、町で占い師をやっております、セイトと申します。
シュンカ殿の依頼で参りました。
シュンカ殿は…」
「あ!占い師さん!!
来てくれたのね!」
またもや、セイトの言葉を途中で遮るシュンカ。
「こら、シュンカ。
占い師さん、まだ話終わってなかったでしょう?
人の話は最後まで聞かないとダメよ。」
母親が娘に注意をする姿は、まさしく親子だった。
「俺は大丈夫ですので、お気になさらず。
それでは、俺はこれから森に入り、弟君を探して参ります。
あなた方は、危険ですから、家の中で待機していてください。
では。」
一礼して、後ろを向いたセイトを、シュンカが呼び止める。
「あ、あの!」
セイトが振り向くと、不安げにこちらを見るシュンカがいた。
「あ、あの…。」
気まずそうにもじもじとするシュンカに、「ああ。」と言って、体ごとシュンカに向き合った。
「?」
不思議そうにセイトを見るシュンカに、セイトはにこりと笑った。
「そういえば、弟君の名前、聞いてなかったよ。
探すとき、名前を呼べないのはつらいからね。」
本当は、シュンカが何を言いたいのかは分かっていた。
きっと、
ー危ない目に合わせることになってごめんなさい。
そう言いたかったのだと思う。
でも、そんな気遣いは無用だ。
安心させるように、優しく微笑んだ。
「えっ、えと…。」
予想外の問いかけだったのだろう。
シュンカは一瞬、戸惑った様子だった。
しかし、もやもやしていた心が、セイトの堂々とした立ち姿、言葉を聞いて、晴れていくようだった。
「弟は、シュウト、っていうの。
私たちの名前を合わせると、『春夏秋冬』になるのよ。
素敵でしょ。」
にかっと笑うシュンカを見て、セイトも安心した。
「ああ、素敵だな。
それならやっぱり、二人は一緒にいないといけないな。」
そう言って、セイトとミラは森へと入っていったのだった。
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