僕の職業は王妃です!

かるぼん

文字の大きさ
31 / 31
本章~恋に落ちるまで~

バレてはいけない

しおりを挟む
ヒュンッ

空を切る音が聞こえた。

と、同時に僕に覆い被さっていた男は僕から飛び退いた。
押し付けられていた部分の血液の流れが再開したのを感じる。

少し離れたところに立つ男は地面に倒れている僕ではなく、正面を見据えていた。
僕もそれに倣って視線をそちらへ向けた。
すると。

「っ!陛下…っ!」

陛下が剣を片手に鋭く男を睨み付けて立っていた。
「無事か、ルーノ。」
陛下は男に視線を向けたまま、僕に問いかけた。
僕は上体を起こしながら、
「は、はい。
あ!あの、でも、リナが…」
「私ならここですよ、王妃様。」

リナがその男に襲われたかも、と言おうとした言葉は、女性の声でかき消された。

振り返ると、そこにはリナが立っていた。

「リナ!?」

僕がリナを視界に留めた瞬間、男が何かを地面に叩きつけた。
そこから白い煙が大量に吐き出された。

煙幕だ。

突如、視界が悪くなる。
すべてが見えなくなる前に、陛下が僕に駆け寄り抱き締めた。

しばらく何も見えない時間が流れた。

次に視界が開けたときには、茂みには、僕と陛下しかいなかった。

リナとあの男は仲間だったようだ。

リナが僕を茂みにおびき寄せ、男が僕を襲う。

何のために?

分からない。分からないけれど、今は…。

「へ、陛下…あの…。」

視界が晴れてもなお、陛下は僕を抱き締めていた。
僕の背に回した手が僕の後頭部を押さえて陛下の肩に押し付ける。

陛下の匂いだ。

いつもの優しい大きな手。

安堵から涙がポロポロと流れ落ちて、陛下の肩を濡らす。

「陛下…陛下…。」

そう呼んで、僕も陛下の背にそっと手を伸ばした。
すると、陛下の腕がより強く僕を抱き締めた。

「……一人で寝たいって言ってた君の様子が少し変だったから、こっそり君の部屋に行ったんだ。
そしたら部屋に君の姿はなくて、ベッド脇のテーブルに手紙を見つけた。
その手紙を読んで、急いでここへ来た。
…何かされた?」

陛下は僕を抱き締めながら助けに来てくれた経緯を話してくれた。

「……服の上から胸触られて、太ももに手を滑り込ませてきたくらい…
それ以外は何も……んぅっ!」
何もされてない、と続けようとした言葉は陛下の唇によってかき消された。

強く、深い口づけ。
舌が入り込んできて、口の端から唾液が垂れる。

「ん……ふ、ぅん…っ。」

苦しい。
苦しいけれど、今はこの苦しさがちょうどいい。

陛下が唇を離す。

僕は、はぁ、はぁ、と肩で息を整えた。

「私以外を君に触らせるな。
ルーノ、君は私にだけ抱かれていればいい。」


なんで。
陛下、それって、どういう意味ですか。
陛下は僕のことどう思ってますか。

僕は陛下のことが…
でも、これは言ってはいけない。
陛下は恋愛のために僕を妃にしたんじゃない。
目の保養と性的欲求を満たすため。
最初の頃にそう言われたじゃないか。

僕のこの気持ちは気づいてはいけないものだったんだ。
隠さなきゃ。バレてはいけない。


その夜、陛下は僕を姫抱きして、部屋まで連れてくると、まず風呂で念入りに僕の身体を洗った。
流しっぱなしのシャワーに打たれながら、僕は風呂で一度抱かれた。
そのあとはベッドに運ばれて、空が白んでくる頃まで抱かれ続けた。
「私のものだという証だ。」
とかいって、至るところにキスマークをつけられて。
最後の方はほとんど記憶がない。

ただ、陛下も僕を好きになってくれたらいいのに、と思ったことだけは鮮明に覚えている。

本章~恋に落ちるまで~ END
しおりを挟む
感想 2

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(2件)

Yuu
2018.12.24 Yuu

更新キタ━(゜∀゜)━!
ありがとうございますありがとうございます( *・ω・)*_ _))ペコリン
とても面白くて続き気になってました
のんびりで構わないので是非とも今後も更新していただけると超嬉しいです(/ω・\)チラチラ

2018.12.24 かるぼん

感想ありがとうございます!
ずっと続きを待っていて下さったのですね!
とっっても嬉しいです(*´ー`*)
これからも楽しんで読んでもらえるように頑張ります!
よろしくお願いします!

解除
あちゃこ
2018.08.29 あちゃこ

始まったばかりですので続きをたのしみにしてます。
体に無理せず頑張ってくださいね!

2018.08.29 かるぼん

ありがとうございます!
体のことまで気遣っていただけるなんてとても嬉しいです。
今後ともぜひよろしくお願いします!

解除

あなたにおすすめの小説

魔法使い、双子の悪魔を飼う

yondo
BL
「僕、魔法使いでよかった」 リュシーは宮廷専属の優秀な魔法使い。 人が寄りつけない程強い自身の力のせいで常に孤独なリュシーは、ある日何気なく街を歩いていた際に闇商人の話を聞いてしまう。貴重で価値ある''モノ''を高値で買い取る悪趣味な会が近くであるらしく気になったリュシーは其処で不思議な双子と出逢いを果たす。 本の見よう見まねで無償の愛を与え続けるリュシーに育てられた双子はいつしか胸の内に何とも言えない感情を抱く様になり... 独りぼっちだった魔法使いが出逢いを通して彼等と関係を紡いでいき幸せを知る微闇要素有りのBLファンタジー。 (※) 過激描写のある話に付けています。 *** 攻め視点 ※不定期更新です。 ※誤字脱字の報告助かるので嬉しいです。 ※何でもOKな方のみ拝読お願いします。 扉絵  YOHJI@yohji_fanart様 (無断転載×)

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

仮面の王子と優雅な従者

emanon
BL
国土は小さいながらも豊かな国、ライデン王国。 平和なこの国の第一王子は、人前に出る時は必ず仮面を付けている。 おまけに病弱で無能、醜男と専らの噂だ。 しかしそれは世を忍ぶ仮の姿だった──。 これは仮面の王子とその従者が暗躍する物語。

僕に双子の義兄が出来まして

サク
BL
この度、この僕に双子の義兄が出来ました。もう、嬉し過ぎて自慢しちゃうよ。でも、自慢しちゃうと、僕の日常が壊れてしまう気がするほど、その二人は人気者なんだよ。だから黙って置くのが、吉と見た。 そんなある日、僕は二人の秘密を知ってしまった。ん?知っているのを知られてしまった?が正しいかも。 ごめんよ。あの時、僕は焦っていたんだ。でもね。僕の秘密もね、共有して、だんだん仲良くなったんだよ。 …仲良くなったと、そう信じている。それから、僕の日常は楽しく、幸せな日々へと変わったんだ。そんな僕の話だよ。 え?内容紹介が内容紹介になってないって?気にしない、気にしない。

狼領主は俺を抱いて眠りたい

明樹
BL
王都から遠く離れた辺境の地に、狼様と呼ばれる城主がいた。狼のように鋭い目つきの怖い顔で、他人が近寄ろう者なら威嚇する怖い人なのだそうだ。実際、街に買い物に来る城に仕える騎士や使用人達が「とても厳しく怖い方だ」とよく話している。そんな城主といろんな場所で出会い、ついには、なぜか城へ連れていかれる主人公のリオ。リオは一人で旅をしているのだが、それには複雑な理由があるようで…。 素敵な表紙は前作に引き続き、えか様に描いて頂いております。

劣等アルファは最強王子から逃げられない

BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。 ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。

[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン モデル事務所で メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才 中学時代の初恋相手 高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が 突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。 昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき… 夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる

水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。 「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」 過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。 ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。 孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。