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第ニ章 「僕と君」
Your Voice #5 「慣れない感情」
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「曲のタイトルは、「I want to be with you forever」」——
——「日本語で直訳するとどうなるんだ?」
ふと僕は小森に訊く。
すると小森は悪戯っぽく笑ってこう言う。
「今は教えないよ♪ふふっ♪ 」
「めっちゃ気になるんだが…」
僕はそう言いつつも、その意味をあえて調べはしなかった。
…そんなことよりも。
「あ、あのさ。いつまでハグしていたらいいんだ…?」
そう、僕と小森はさっきからずっとハグしているのだ。
「あ…!ごめん、嫌だった…?」
小森はようやく冷静さを取り戻してきたようだ。
でも…、嫌じゃなかった。「小森とハグしている」ことが。僕はそれを伝えるためにこう返す。
「嫌じゃないよ…?小森がしたいならさっきみたいにしててもいいよ。」
「じゃああと3時間はしようかな~笑」
「流石にあと3時間はキツいかな…笑」
そんな会話を交わしながら学校の校門で2人は別れを告げる。
独りっきりの帰路。僕は小森についてとあることを考えていた。
(なんで、あの時嫌じゃないなんて言ったんだろう…?これが、「好き」という感情なのか…?)
わからない…。慣れない感情に僕は心を掻き乱されていた。
そんな心の状態のまま、僕は小森、叶斗たちと合唱の練習の日々を過ごしていった。
だが、夏休みも終わり少し暑さも落ち着いてきた文化祭まであと3週間前の9月のある日…、僕たちは担任の先生から衝撃の言葉を告げられる。
それは3時間目が終わり、10分休みの時間の時だった。担任の先生に「職員室に来てくれ」と急に呼び出されたのだ。
「実は…、文化祭で合唱するには、最低でも「4人」は集めて一緒に歌わないといけないらしい…。」
先生は申し訳なさそうに言った。
そう、4人。僕と小森と叶斗で3人なのであと1人、一緒に歌ってくれる人がいないといけないのだ。
そして、先生は続けてこう言う、
「もし、見つからなかったら…その時は…、」
「わかってます。」
先生の最後の言葉を待たずして小森はそう言う。僕と叶斗も、
「もう1人、絶対に見つけて来ますから、その続きの言葉は言わないでください…。先生。」
「わかった。」
先生は僕たちにそう言った後、何もなかったかように普段通りの態度でまたいつも通りの授業をしていく。
そして、放課後。僕たちは先生から告げられた大問題に頭を抱えていた。
「さてどうしようか…、まず、叶斗は誰か誘える友達っているか?」
「いるっちゃいるけど…多分合唱とか興味ないから、人数合わせで入ってきたとしても俺たちの合唱にノイズ与えるだけだと思うぞ…?」
「そうかぁ…。僕もそんな合唱に興味ある友達いないしなぁ…。」
「———がいてくれたらよかったのに…。」
小森はボソッと何か呟いた。
「ん?何か言った?小森…?」
僕は何て言ったか聞き取れず、小森に訊く。
「いやさ、「三河先輩」がいてくれたらな…、って思ってさ。中学校の頃、酷いことされたけど、歌声は本物だったから…、もし、もう一度私と合唱してくれるなら嬉しいなって思って…。」
「小森は強いな…。酷いことをされた過去があるのに、まだ、仲良くなりたいって考えられるなんて…。」
無意識に僕は口走っていた。
「ありがとう。「君のおかげ」なんだよ…?こう思えてるのは。」
「僕のおかげ…、そうなのか…?」
「うん。だから…」
「…だから?」
僕は小森のその言葉の続きが気になり小森にそう問う。すると、
「…い、いや何もない!もしかしたら三河先輩まだ学校居るかもしれないから探しに行こ!笑」
小森は何故か焦っているかのような、苦笑いの表情を浮かべ、教室を出ようとする。
僕もその小森を追いかけるように、教室を後にしようとしたその時。
「ちょっと待て…!2人共。」
叶斗が大きな声で教室を出ようとした僕と小森を引き留める——。
——「お前らってさ、「付き合ってる」の?」
後書き
——「日本語で直訳するとどうなるんだ?」
ふと僕は小森に訊く。
すると小森は悪戯っぽく笑ってこう言う。
「今は教えないよ♪ふふっ♪ 」
「めっちゃ気になるんだが…」
僕はそう言いつつも、その意味をあえて調べはしなかった。
…そんなことよりも。
「あ、あのさ。いつまでハグしていたらいいんだ…?」
そう、僕と小森はさっきからずっとハグしているのだ。
「あ…!ごめん、嫌だった…?」
小森はようやく冷静さを取り戻してきたようだ。
でも…、嫌じゃなかった。「小森とハグしている」ことが。僕はそれを伝えるためにこう返す。
「嫌じゃないよ…?小森がしたいならさっきみたいにしててもいいよ。」
「じゃああと3時間はしようかな~笑」
「流石にあと3時間はキツいかな…笑」
そんな会話を交わしながら学校の校門で2人は別れを告げる。
独りっきりの帰路。僕は小森についてとあることを考えていた。
(なんで、あの時嫌じゃないなんて言ったんだろう…?これが、「好き」という感情なのか…?)
わからない…。慣れない感情に僕は心を掻き乱されていた。
そんな心の状態のまま、僕は小森、叶斗たちと合唱の練習の日々を過ごしていった。
だが、夏休みも終わり少し暑さも落ち着いてきた文化祭まであと3週間前の9月のある日…、僕たちは担任の先生から衝撃の言葉を告げられる。
それは3時間目が終わり、10分休みの時間の時だった。担任の先生に「職員室に来てくれ」と急に呼び出されたのだ。
「実は…、文化祭で合唱するには、最低でも「4人」は集めて一緒に歌わないといけないらしい…。」
先生は申し訳なさそうに言った。
そう、4人。僕と小森と叶斗で3人なのであと1人、一緒に歌ってくれる人がいないといけないのだ。
そして、先生は続けてこう言う、
「もし、見つからなかったら…その時は…、」
「わかってます。」
先生の最後の言葉を待たずして小森はそう言う。僕と叶斗も、
「もう1人、絶対に見つけて来ますから、その続きの言葉は言わないでください…。先生。」
「わかった。」
先生は僕たちにそう言った後、何もなかったかように普段通りの態度でまたいつも通りの授業をしていく。
そして、放課後。僕たちは先生から告げられた大問題に頭を抱えていた。
「さてどうしようか…、まず、叶斗は誰か誘える友達っているか?」
「いるっちゃいるけど…多分合唱とか興味ないから、人数合わせで入ってきたとしても俺たちの合唱にノイズ与えるだけだと思うぞ…?」
「そうかぁ…。僕もそんな合唱に興味ある友達いないしなぁ…。」
「———がいてくれたらよかったのに…。」
小森はボソッと何か呟いた。
「ん?何か言った?小森…?」
僕は何て言ったか聞き取れず、小森に訊く。
「いやさ、「三河先輩」がいてくれたらな…、って思ってさ。中学校の頃、酷いことされたけど、歌声は本物だったから…、もし、もう一度私と合唱してくれるなら嬉しいなって思って…。」
「小森は強いな…。酷いことをされた過去があるのに、まだ、仲良くなりたいって考えられるなんて…。」
無意識に僕は口走っていた。
「ありがとう。「君のおかげ」なんだよ…?こう思えてるのは。」
「僕のおかげ…、そうなのか…?」
「うん。だから…」
「…だから?」
僕は小森のその言葉の続きが気になり小森にそう問う。すると、
「…い、いや何もない!もしかしたら三河先輩まだ学校居るかもしれないから探しに行こ!笑」
小森は何故か焦っているかのような、苦笑いの表情を浮かべ、教室を出ようとする。
僕もその小森を追いかけるように、教室を後にしようとしたその時。
「ちょっと待て…!2人共。」
叶斗が大きな声で教室を出ようとした僕と小森を引き留める——。
——「お前らってさ、「付き合ってる」の?」
後書き
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