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「じゃあエラ、何かあったら本当のホントにウチに逃げて来てね!」
学園の門の馬車止めスペースに停まった馬車の前で、舞踏会のドレス姿のニーナが制服に着替えたエラの手を握り締めた。
ニーナは養母にドレス姿を見せるためそのまま、エラは義母や義姉たちを刺激しないために制服に着替えているのだ。
「ありがとう」
ニコニコと微笑むエラ。
「何もなくても連絡するし」
「うん。またね。ニーナ。レジスさんも」
ニーナの後方、少し離れた所に立って待っているレジスに、エラは視線を向ける。
「ええ、また」
レジスが口角を上げて言うと、エラはにっこりと微笑んで馬車に乗り込んだ。
エラの乗った馬車が走り出し、手を振って見送ったニーナとレジスは自分の家の馬車の方へと歩き出す。
「はあ~かわいい。ねえレジス、エラこそ王子の妃に相応しいと思わない?」
「妃?」
馬車に乗り、ニーナが座席に座る。レジスも乗り込んでニーナの隣に座った。
「エラはかわいくて綺麗で頭も良いし、優しくて気さくで、逆境でもめげない強さもあるし、庶民の気持ちだってわかるし、未来の王妃にピッタリだと思うの。でもエラのお義母様はエラを舞踏会へ出席させないつもりなのよ」
「ああ、妃選定の舞踏会か」
「そう。エラは絶対舞踏会に出なきゃいけないの。魔法使いの代わりに私が何とかしなくちゃ…」
「魔法使い?」
首を傾げるレジスに、ニーナはブンブンと首を横に振る。
「エラのドレスとか硝子の靴とか、魔法みたいに出て来ないかな~なんて、ちょっと思っただけ」
「ニーナ、魔法とか現実的じゃない事をたまに言うよな。それに硝子の靴?硝子でできた靴か?」
「えっと、硝子みたいにキラキラした靴、よ?」
ニーナは態とらしく大きく首を傾げた。
「ふーん…」
レジスは冷や汗をかくニーナをじっと見る。
「な、何?」
「いや、王子の妃という事は、リオン殿下の妃という事だろ?ニーナはリオン殿下とエラさんが結婚すれば良いと思ってるのかと思って」
チクン。
小さく胸が痛んだ。
……莉音が結婚してたって聞いた時だって驚いたし、推しが結婚するとなるとやっぱり少しくらい胸が痛くて当たり前よね。
「思ってる」
ニーナは腿の上に置いた手へ視線を落として言う。
「『思ってる』表情じゃないけどな」
レジスが小声で呟くが、ニーナの耳には入っていなかった。
エラはシンデレラだし、リオン殿下は王子。だから舞踏会で王子がシンデレラに一目惚れするのが当然で……って、あれ?リオン殿下、エラの顔知ってるのに舞踏会で一目惚れっておかしいような…?
いや、まあ、でも、リオン殿下とエラは始業式の日に救護室でチラッと話しただけで、あれ以来親しく話したりした事はないもんね。国宝級美少女が着飾った麗しい姿を改めて見て好きになるってストーリーなんだわ。きっと。
「まあエラさんが未来の王妃に相応しいのには同意する」
レジスがそう言うと、ニーナは顔を上げる。
「でしょ?」
「それで、エラさんが妃選定の舞踏会に出られるように、ニーナが協力するつもりなのか?」
「そう!そうなの」
頷くニーナ。
レジスは眼鏡のブリッジを中指で押し上げた。
「メンテルス公爵家に、未来の王妃か…」
「レジス?」
「ニーナ、テオバルト様に何らかの思惑があったとしても、お近付きになって損はない。恋人になるのが無理でもその手前くらいの関係を保っておけよ。それにエラさんが舞踏会に出られるよう協力して、未来の王妃に恩を売っておけ」
そう言うレジスを、ニーナは眉を顰めて見る。
「…損はないとか、恩を売るとか、レジスのそういう家と会社のためなら何でもアリって処…」
「打算的で悪いな」
憮然とするレジス。
「そういう処、ちょっと苦手だけど、悪くはないわ。私だって家と会社のためになりたいし。でもエラに関しては恩を売るとかじゃなくて、エラの事好きだから協力したいの」
真顔で言うニーナに、レジスは眉を上げた。
「まあそれが結果、未来の王妃に恩を売る事になるなら止める理由もないし、多少なら協力しても良い」
「じゃあエラ、何かあったら本当のホントにウチに逃げて来てね!」
学園の門の馬車止めスペースに停まった馬車の前で、舞踏会のドレス姿のニーナが制服に着替えたエラの手を握り締めた。
ニーナは養母にドレス姿を見せるためそのまま、エラは義母や義姉たちを刺激しないために制服に着替えているのだ。
「ありがとう」
ニコニコと微笑むエラ。
「何もなくても連絡するし」
「うん。またね。ニーナ。レジスさんも」
ニーナの後方、少し離れた所に立って待っているレジスに、エラは視線を向ける。
「ええ、また」
レジスが口角を上げて言うと、エラはにっこりと微笑んで馬車に乗り込んだ。
エラの乗った馬車が走り出し、手を振って見送ったニーナとレジスは自分の家の馬車の方へと歩き出す。
「はあ~かわいい。ねえレジス、エラこそ王子の妃に相応しいと思わない?」
「妃?」
馬車に乗り、ニーナが座席に座る。レジスも乗り込んでニーナの隣に座った。
「エラはかわいくて綺麗で頭も良いし、優しくて気さくで、逆境でもめげない強さもあるし、庶民の気持ちだってわかるし、未来の王妃にピッタリだと思うの。でもエラのお義母様はエラを舞踏会へ出席させないつもりなのよ」
「ああ、妃選定の舞踏会か」
「そう。エラは絶対舞踏会に出なきゃいけないの。魔法使いの代わりに私が何とかしなくちゃ…」
「魔法使い?」
首を傾げるレジスに、ニーナはブンブンと首を横に振る。
「エラのドレスとか硝子の靴とか、魔法みたいに出て来ないかな~なんて、ちょっと思っただけ」
「ニーナ、魔法とか現実的じゃない事をたまに言うよな。それに硝子の靴?硝子でできた靴か?」
「えっと、硝子みたいにキラキラした靴、よ?」
ニーナは態とらしく大きく首を傾げた。
「ふーん…」
レジスは冷や汗をかくニーナをじっと見る。
「な、何?」
「いや、王子の妃という事は、リオン殿下の妃という事だろ?ニーナはリオン殿下とエラさんが結婚すれば良いと思ってるのかと思って」
チクン。
小さく胸が痛んだ。
……莉音が結婚してたって聞いた時だって驚いたし、推しが結婚するとなるとやっぱり少しくらい胸が痛くて当たり前よね。
「思ってる」
ニーナは腿の上に置いた手へ視線を落として言う。
「『思ってる』表情じゃないけどな」
レジスが小声で呟くが、ニーナの耳には入っていなかった。
エラはシンデレラだし、リオン殿下は王子。だから舞踏会で王子がシンデレラに一目惚れするのが当然で……って、あれ?リオン殿下、エラの顔知ってるのに舞踏会で一目惚れっておかしいような…?
いや、まあ、でも、リオン殿下とエラは始業式の日に救護室でチラッと話しただけで、あれ以来親しく話したりした事はないもんね。国宝級美少女が着飾った麗しい姿を改めて見て好きになるってストーリーなんだわ。きっと。
「まあエラさんが未来の王妃に相応しいのには同意する」
レジスがそう言うと、ニーナは顔を上げる。
「でしょ?」
「それで、エラさんが妃選定の舞踏会に出られるように、ニーナが協力するつもりなのか?」
「そう!そうなの」
頷くニーナ。
レジスは眼鏡のブリッジを中指で押し上げた。
「メンテルス公爵家に、未来の王妃か…」
「レジス?」
「ニーナ、テオバルト様に何らかの思惑があったとしても、お近付きになって損はない。恋人になるのが無理でもその手前くらいの関係を保っておけよ。それにエラさんが舞踏会に出られるよう協力して、未来の王妃に恩を売っておけ」
そう言うレジスを、ニーナは眉を顰めて見る。
「…損はないとか、恩を売るとか、レジスのそういう家と会社のためなら何でもアリって処…」
「打算的で悪いな」
憮然とするレジス。
「そういう処、ちょっと苦手だけど、悪くはないわ。私だって家と会社のためになりたいし。でもエラに関しては恩を売るとかじゃなくて、エラの事好きだから協力したいの」
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