転生令嬢と王子の恋人

ねーさん

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「…地味」
 リザは学園の窓に写る自分を見て思わず呟いた。
「リザ?」
 隣に写るステラはハッキリとした顔立ちの美人だ。
「いや~私みたいな地味なのが王子妃になって良いのか、改めて疑問が、ね。ステラみたいな美人さんなら良かったんだけど…」
「私だと文字通り『国庫を食い潰す気か』って批判されるわよ」
 ぶふっとステラの後ろでジェイクが吹き出す。
「…ジェイク?」
 ステラがジトリとジェイクを睨む。
「…いや、俺としてはステラが王子妃になったら困るから、ね?」
「ああ、早くもっと頭が良くて性格も良くて私を愛してくれるお婿さん候補が現れてくれないかしら?」
「待って待って、頭と性格はともかく、俺ほどステラを愛してるお婿さん候補はいないからね!」
「とてもそうは思えないけど?」
「愛してるかあ…」
「リザ?」
 ジェイクをじっとり睨んでいたステラは、リザの呟きを聞いてリザへ視線を移す。
「私、ロイド殿下に『好き』とか『愛してる』とか言われた事ないのよね」
「そうなの?」
「そうなの」
 ロイドは「リザの側にいたい」「リザが幸せになるのが見たい」「俺がリザを幸せにしたい」とは言うが「好き」とは言った事がない。
 レイモンドに嫉妬したりする様子を見ると、好かれてるのかな、とリザも思うが、確信はないのだ。
「リザは?」
「え?」
「リザはロイド殿下に『好き』って言った事ある?…あれ?そもそもリザってロイド殿下を好きなの?」
 ステラにそう言われて、リザは考える。
「…好き?かな?」
「かな?」
「…考えた事なかった」
「殿下もリザも、どっちもどっちよ。これは」
 ステラは呆れたように笑った。

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「よっしゃ!」
 新学年になって初めての考察で、リザは狙い通り一位を取った。貼り出された順位の書かれた紙を見て、リザは小さくガッツポーズをする。
「さすがリザね。一生懸命勉強してたものね」
「不正行為がないか、先生に側で見ててもらったしね」
「ステラ~俺今回三位なんだよー褒めてよぉ」
 リザとステラの後ろからジェイクが言う。
「自己最高位ね。ジェイク、すごいわ」
「リザありがとう」
「…努力は認めるわ」
 ステラはそう言うと、ジェイクの顔の前に三本の指を出した手を突き出す。
「三位以内」
「え?」
「最後の考査までずっと三位以内だったら、卒業パーティーでジェイクと二曲踊るわ」
「…本当!?ステラ!俺頑張るよ!」
 ジェイクは満面の笑みでそう言った。

 食堂で二人になった所でリザはステラに問い掛けた。
「ステラはジェイクを好きになったの?」
「…最近、ジェイクの人気が鰻登りなの、リザは知らないでしょう?ほら見て」
 ステラが示す方を見ると、飲み物を買いに行ったジェイクが下級生らしき女生徒に話し掛けられていた。
「…鰻登りなの?」
「元々容姿もそこそこの男爵家の三男だから婿が欲しい令嬢からは注目浴びてたのよ。そこに成績も良いって言うのが加わって、貴族ではない女子からの人気も上がってるの」
「そうなんだ」
「…それで、ちょっと惜しくなっちゃってね」
 リザはステラの顔を見てから、肘でステラの腕をつつく。
「照れ隠し?耳が赤いわよ」
「…もっと頭が良くて性格も良いお婿さん候補は居るだろうけど、私にあんなに一途なお婿さん候補は他に居ないんじゃないかと思って、惜しくなったの」
 ジェイクは女生徒に丁寧に謝ってからこちらに戻って来る。
「モテるのね、ジェイク」
 リザが言うと、飲み物を置きながらジェイクは不思議そうな顔をする。
「誰が?」
「ジェイクが」
「俺が?…確かに、最近よく話し掛けられるな、とは思うけど、モテてるのとは違うんじゃない?それに俺はステラ以外にモテても嬉しくないし」
 ジェイクがさらりとそう言うと、リザは頷いた。
「なるほど」
 こういう所ね。
 ステラがサンドイッチを一切れ、ジェイクの方へ差し出す。
「ステラ?くれるの?」
 ジェイクが聞くと、ステラは明後日の方を見ながら頷いた。
 ジェイクはサンドイッチを両手に持ち、感無量の表情だ。
「…ステラが食べ物を分けてくれるなんて!これはもう求愛行動!」
「なっ何言うの!?返して!」
「もう食べた!」
 ステラがジェイクの手からサンドイッチを奪い返そうとすると、ジェイクは避けてからパクリとそれを咥えた。
 求愛行動とは、まんざら間違ってないな。と二人の様子を見てリザは思った。


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