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「ロード・フェアリです。よろしくお願いします」
教壇の前で頭を下げるのは、ピンクの髪で目が大きくてまつ毛がバサバサで唇が赤くて、とてもかわいらしい男子生徒だった。
この人が「ヒロイン」なのね。
顔立ちは女の子みたいにかわいい…でも背は私より高そう。細身だけど筋肉はありそうね。
教室の一番後ろの真ん中の席からパトリシアはロードの姿を観察していた。ロードが教室を見渡し、パトリシアと視線が合う。
パチンッ
視線が合った瞬間、二人の間に火花が散ったような感覚があった。
「先生、俺、あの子の隣が良い」
ロードは隣へ立つ教師マリアン・ノックスに向かってそう言うと、真っ直ぐにパトリシアを指差した。
え?私?
「デンゼルさんの?」
マリアンが眉を顰めてロードを見る。
…あ、ノックス先生は生徒会の顧問だから攻略対象者だわ。
「駄目かな?あ、済みません。先生、駄目ですか?」
ニコッとマリアンに笑顔を向けるロード。
「…いいわ。端の空いている席と変わってあげてくれるかしら?」
マリアンがパトリシアの隣の席の男子生徒にそう言うと、男子生徒は「はーい」と立ち上がると、後ろの廊下側の端にあった空いた机と自分の机をガタガタと入れ替えた。
「よろしくね」
パトリシアの隣の席にやって来たロードはニコリと笑う。
かわいいな。でも笑顔の向こうに黒い影が見える気がするのはこの人が「ヒロイン」だって知ってる私の先入観のせいかしら?
「よろしくお願いします」
「あ、馴れ馴れしかったね。俺元々貴族じゃなかったから距離感が良くわからなくて」
「そうなんですか」
「色々教えてね。えーと…デンゼルさん、だっけ?」
「パトリシア・デンゼルと申します」
ニコニコとして言うロードに、わざと丁寧に答える。
「パトリシアちゃんか。パティって呼んでも良い?」
「だっ、駄目です!」
慌てて言うパトリシア。
「駄目かあ~」
あまり気にしていない様子でロードは言う。
だって「パティ」は今はアランしかそう呼んでいないけど、アランとアレン殿下が呼んでた私の愛称で…
「愛称は…」
「あ、そうか。そうだね。愛称呼びは仲良くなってからだね」
仲良く?なるつもりはないんだけどな…
「はーい、お喋りしてないで前を見てね」
マリアンが教壇からそう言ったので、パトリシアはロードの方からマリアンへ視線を移す。
パトリシアと目が合ったマリアンは一瞬真顔になり、すぐ目を逸らすと笑顔を浮かべ生徒たちに話しかけた。
もしかして、攻略対象者であるノックス先生はヒロインから隣の席になりたいと言われて話しかけられてる私に、嫉妬をしてる?
ノックス先生が初めてヒロインと会ったのは今朝なんじゃないの?そんなにすぐに惹かれるの?
それとも休暇中に挨拶とかで会った事があるのかしら?
-----
「パトリシアちゃん、俺生徒会室に呼ばれてるんだけど、生徒会室ってどこにあるの?」
「生徒会室に?」
放課後、ロードに話しかけられたパトリシアは生徒会室までロードを案内する事になった。
「パトリシアちゃんって第三王子の婚約者なんだってね」
廊下を歩きながらロードが言う。
「はい」
「残念だなあ。俺パトリシアちゃん好みなのにな」
「は?」
私は攻略対象者じゃないのに、何言ってるんだろ?
「…その表情、好きだな」
ロードがパトリシアの顔を覗き込むように身を屈める。
「パトリシア」
後ろから声がする。
「アレン殿下」
パトリシアとロードが振り向くと、アレンが不機嫌そうな顔で立っていた。
「あ!生徒会長の第二王子!」
「…君が編入生のロード・フェアリか」
アレン殿下、もしかして怒ってる?
「何故パトリシアと一緒に居る?」
ジロッと睨むようにロードを見るアレン。
「生徒会室の場所がわからなかったので隣の席のパトリシアちゃんに案内してもらいました」
「パトリシアちゃん?」
眉を顰めるアレン。
「あれ?パティ?」
アレンの後ろからアランがやって来る。
「アラン」
「どうしたんだ?こんな所で。アレンまで」
「編入生を生徒会室に案内してて…」
「俺は偶然ここでパトリシアと編入生に会っただけだ」
パトリシアの横でロードがアレンとアランを見比べている。
「第三王子…さすが双子、そっくりだ…」
「…!」
アランが、ロードの顔を見た途端に息を飲んだ。
「…アラン?」
もしかして、これ、攻略対象者とヒロインとの出会い…?
「アラン!編入生!来い!」
「わっ!アレン!?」
「わあ」
アレンがアランとロードの腕を両手でそれぞれ引っ張って、生徒会室の方へ歩き出す。
「パトリシア、もう戻っていいぞ」
少しパトリシアの方を振り向いて言った。
「あ、はい」
二人を引っ張りながらズンズンと歩いて行くアレン。
アランはパトリシアの方を振り返らなかった。
「ロード・フェアリです。よろしくお願いします」
教壇の前で頭を下げるのは、ピンクの髪で目が大きくてまつ毛がバサバサで唇が赤くて、とてもかわいらしい男子生徒だった。
この人が「ヒロイン」なのね。
顔立ちは女の子みたいにかわいい…でも背は私より高そう。細身だけど筋肉はありそうね。
教室の一番後ろの真ん中の席からパトリシアはロードの姿を観察していた。ロードが教室を見渡し、パトリシアと視線が合う。
パチンッ
視線が合った瞬間、二人の間に火花が散ったような感覚があった。
「先生、俺、あの子の隣が良い」
ロードは隣へ立つ教師マリアン・ノックスに向かってそう言うと、真っ直ぐにパトリシアを指差した。
え?私?
「デンゼルさんの?」
マリアンが眉を顰めてロードを見る。
…あ、ノックス先生は生徒会の顧問だから攻略対象者だわ。
「駄目かな?あ、済みません。先生、駄目ですか?」
ニコッとマリアンに笑顔を向けるロード。
「…いいわ。端の空いている席と変わってあげてくれるかしら?」
マリアンがパトリシアの隣の席の男子生徒にそう言うと、男子生徒は「はーい」と立ち上がると、後ろの廊下側の端にあった空いた机と自分の机をガタガタと入れ替えた。
「よろしくね」
パトリシアの隣の席にやって来たロードはニコリと笑う。
かわいいな。でも笑顔の向こうに黒い影が見える気がするのはこの人が「ヒロイン」だって知ってる私の先入観のせいかしら?
「よろしくお願いします」
「あ、馴れ馴れしかったね。俺元々貴族じゃなかったから距離感が良くわからなくて」
「そうなんですか」
「色々教えてね。えーと…デンゼルさん、だっけ?」
「パトリシア・デンゼルと申します」
ニコニコとして言うロードに、わざと丁寧に答える。
「パトリシアちゃんか。パティって呼んでも良い?」
「だっ、駄目です!」
慌てて言うパトリシア。
「駄目かあ~」
あまり気にしていない様子でロードは言う。
だって「パティ」は今はアランしかそう呼んでいないけど、アランとアレン殿下が呼んでた私の愛称で…
「愛称は…」
「あ、そうか。そうだね。愛称呼びは仲良くなってからだね」
仲良く?なるつもりはないんだけどな…
「はーい、お喋りしてないで前を見てね」
マリアンが教壇からそう言ったので、パトリシアはロードの方からマリアンへ視線を移す。
パトリシアと目が合ったマリアンは一瞬真顔になり、すぐ目を逸らすと笑顔を浮かべ生徒たちに話しかけた。
もしかして、攻略対象者であるノックス先生はヒロインから隣の席になりたいと言われて話しかけられてる私に、嫉妬をしてる?
ノックス先生が初めてヒロインと会ったのは今朝なんじゃないの?そんなにすぐに惹かれるの?
それとも休暇中に挨拶とかで会った事があるのかしら?
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「パトリシアちゃん、俺生徒会室に呼ばれてるんだけど、生徒会室ってどこにあるの?」
「生徒会室に?」
放課後、ロードに話しかけられたパトリシアは生徒会室までロードを案内する事になった。
「パトリシアちゃんって第三王子の婚約者なんだってね」
廊下を歩きながらロードが言う。
「はい」
「残念だなあ。俺パトリシアちゃん好みなのにな」
「は?」
私は攻略対象者じゃないのに、何言ってるんだろ?
「…その表情、好きだな」
ロードがパトリシアの顔を覗き込むように身を屈める。
「パトリシア」
後ろから声がする。
「アレン殿下」
パトリシアとロードが振り向くと、アレンが不機嫌そうな顔で立っていた。
「あ!生徒会長の第二王子!」
「…君が編入生のロード・フェアリか」
アレン殿下、もしかして怒ってる?
「何故パトリシアと一緒に居る?」
ジロッと睨むようにロードを見るアレン。
「生徒会室の場所がわからなかったので隣の席のパトリシアちゃんに案内してもらいました」
「パトリシアちゃん?」
眉を顰めるアレン。
「あれ?パティ?」
アレンの後ろからアランがやって来る。
「アラン」
「どうしたんだ?こんな所で。アレンまで」
「編入生を生徒会室に案内してて…」
「俺は偶然ここでパトリシアと編入生に会っただけだ」
パトリシアの横でロードがアレンとアランを見比べている。
「第三王子…さすが双子、そっくりだ…」
「…!」
アランが、ロードの顔を見た途端に息を飲んだ。
「…アラン?」
もしかして、これ、攻略対象者とヒロインとの出会い…?
「アラン!編入生!来い!」
「わっ!アレン!?」
「わあ」
アレンがアランとロードの腕を両手でそれぞれ引っ張って、生徒会室の方へ歩き出す。
「パトリシア、もう戻っていいぞ」
少しパトリシアの方を振り向いて言った。
「あ、はい」
二人を引っ張りながらズンズンと歩いて行くアレン。
アランはパトリシアの方を振り返らなかった。
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