ある日、私は事故で死んだ───はずなのに、目が覚めたら事故の日の朝なんですけど!?

ねーさん

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 学園は十五歳になる年に入学し、四年間学び十八歳で卒業する。貴族の令息令嬢は幼い頃より家庭教師に学び学園へ入学するが、貴族でない者は家の都合により五歳から十歳には初等教育校へ入学し、数年間字や計算などを学び、成績優秀者やお金のある商家の子供などが学園へと入学する。
 全寮制で、いかに高位の貴族でも侍女や侍女、メイドなどを伴う事はできない決まりだ。もちろん王族でも。

 学園は一学年が春期、秋期、冬期の三月期制で、春期と秋期の間に約二ヶ月の夏季休暇、秋期と冬期の間、冬期と春期の間にそれぞれ約二週間の冬期休暇、春期休暇がある。
「セラはベンジャミン殿下とステファン殿下と仲が良いの?」
 学園の寮のアイリスの部屋で、お茶を飲んでいたセラフィナがアイリスの方を見て首を傾げた。
「お兄様たち?そうね。歳の離れた妹だからかわいがっていただいているわ」
「ベンジャミン殿下が二十七歳で、ステファン殿下が二十五歳?セラと十一歳と九歳違いね」
 と言う事はウォルター殿下とは九歳と七歳違いか。

「私は妹だからかわいがっていただいているけど、お兄様は弟だからなかなか複雑みたいよね…」
 セラフィナがため息混じりに言う。
「この間ウォルター殿下から少しお聞きしたわ」
 この国では爵位や家督を継ぐのは男性と決まっている。
 家を継ぐべき男性が居ない場合は一時的に女性が代行する事もあるが、最終的には親類の男性が家を継いだり、養子を取る、娘婿を迎えるなどして男性が後継となる。
 それは王家も同じで、王女には継承権がなく、王子のみが王位を継承する者となり得るのだ。
「……」
 アイリスは先日のウォルターの話を思い出した。

 ウォルターたちの父親であるこの国の王太子と、婚約者の東国の王女は十二歳、歳が離れていた。
 そのため、王太子が学園で第一王子ベンジャミンと第二王子ステファンの母親と出会った時、王女はまだ幼い子供だったのだ。
 東国との関係上、王女との婚約を解消する事はできず、王太子は男爵家の娘であるベンジャミンとステファンの母親を側妃に据えた。
 そして側妃との間に第一王子、第二王子が生まれ、更に数年後、東国から王女を正妃として迎えウォルターとセラフィナが生まれたのだ。
「東国とは国境を接して紛争が絶えない。特に国境となる連山の一つから銀が採取されると国境線を巡っての攻防が激しくなったんだ」
「はい」
 そうウォルターが言うと、アイリスは頷く。
「そこで、国境線は連山の麓、連山は土地も産出物も両国で共有し平等に分配すると条約が結ばれた。これが約三十年前だね。その時、父上と母上の婚約が取り決められた」
 この国の王太子に東国の王女が嫁ぐ。政略結婚であり、友好の標であり、人質みたいなものでもあるのね…
「更に、父上たちの次の代での婚姻もその時決められたんだ。兄上…第二王子ステファンと東国の王女。兄上が東国へ婿入する事になっていた。しかし…」
 ウォルターはそう言うと、眉を顰めた。
「東国の王女は政略結婚を嫌って出奔してしまったんだ」
「……」
 そうだ。その時この国でも騒ぎになったわ。
 確か私がガードナー家に来てから何年か経った頃…そう言えば、ウォルター殿下とお姉様が婚約されたのって、ステファン殿下の婚約破棄騒動の直ぐ後じゃなかった?

「そう。僕がその時、ガードナー伯爵令嬢との婚約を申し出たんだ」
 アイリスの顔色を読んでウォルターが言う。
「そうだったんですか」
 そう言うアイリスを見て、ウォルターは少し笑った。
「兄上が…ステファンではなく第一王子ベンジャミンが、ステファン兄上の代わりに僕を東国へ差し出そうとしたからね」
「え!?」
 アイリスが驚いた表情を見せるとウォルターは自嘲気味に笑う。
「いくら長子継承とは言え、兄上は側妃の子、僕は正妃の子だから。僕を王太子…国王に、と担ぎ上げようとする勢力もいるんだ。だから兄上は僕を東国へ行かせて自分の立場を固めようとしたんだよ」
 理屈はわかる。わかるけど…
「ステファン兄上と婚約していた王女以外に王女が居なかったのもあってね。兄上の婿入先はないが、僕は母が東国出身だから母の実家や親類などがある。東国へ行かせて、そこで東国の令嬢と結婚すれば良いと」



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