【本編完結】農民と浄化の神子を並べてはいけない

ナナメ

文字の大きさ
94 / 203
第二章 浄化の旅

ブラッキル伯爵領

しおりを挟む
「…死ぬかと思った」

あの後、3人がさらに2回イくまで解放してもらえなかった俺は目が覚めたら体はギッシギシだし、声はガラガラだし、お腹はペコペコだし、尻はヒリヒリするし…コンディションは最悪だ。
俺の両隣にディアとローゼンがいて、ローゼンの向こうにいたらしいティエは俺が起きる前にすでに任務に出た。お仕事お疲れ様です。
ちなみに俺の隣で寝るのは順番が決まってるらしい。いつの間に色んな順番を決めたんだ。俺は何も聞いてないぞ!

「すみません…。スナオ様がいなくなってしまった、と思った時には恐怖で気が狂いそうになって、倒れた姿にそれが重なってしまいました」

「お前が倒れたのを見て箍が外れた。すまん」

「う…っ」

くっそぅ、顔が良い…!!!

魔力切れで倒れた俺に応急処置でキスして唾液やらパーピュアの薬やらを飲ませながらここへ運び込んだのが昼間。そして俺が起きる前に既に1回ずつ3人に抱かれてたって知りちょっと遠い目になるけど、でもそれがなかったら死んでたかも知れないしな。というかだから起きた時すでにドロドロだったのか…。

「…俺も心配かけてごめん…」

全て不可抗力だけど!!でも心配してくれたのは素直に嬉しいから謝っておく。…心配して箍が外れるのは金輪際やめて頂きたいけどな!お仕置きモードのみんな怖くて嫌だ!

「…ねぇ、ところで、ここどこ…?」

4人で寝てもギリギリ平気なドでかいベッドは天蓋付き。枕も布団もフッカフカで、起き上がった二人に支えられて体を起こして見渡す部屋の中も豪華だ。

きらびやかな調度品は磨き上げられピカピカで、床に敷かれた赤の絨毯は室内土足の世界なのに普段は砂一つ落ちてないのだろう。今日は俺達…というかディア達が靴で歩いた箇所だけ毛足が倒れ汚れている。でも歩いてない場所はまるで新品のよう。
ベッドサイドのテーブルには陶器のティーセットが置かれていてローゼンが慣れた手付きで準備を始めた。そのティーセットも華美過ぎず地味すぎない模様が描かれておりそれを眺めて楽しめる作りになっている。

ホントにここどこ…?

「ブラッキル伯爵邸だ。あの森から一番近かったのでな」

騎士団からの頼みで、というよりはマクシノルト家の名前の方が魅力的だったようだが、とディアの唇が皮肉に歪む。

貴族の事は良くわかんないけど、ディアの表情を見る限りあんまり仲良しな相手じゃないのかな?

首を傾げてたら、俺の背中にふかふかクッションを差し込んで凭れられるように調整したローゼンが紅茶の入ったティーカップを手渡してくれる。

「ありがと」

「まだ熱いのでお気を付けください」

今日は鎧でも隊服でもないラフな服装の二人は相変わらずタイプの違うイケメンだ。何だってティーカップがこんなに似合うんだ。きっと俺が持ってても、庶民が無理してお高い物頼んじゃって…的な生ぬるい目で見られるだろうティーカップが二人の手の中では途端に高級感を醸し出すから不思議。そして紅茶が旨い。茶葉の違いなんかわかんないけど、間違いなくティーパックで入れた紅茶の味ではない。

「…噂の真相究明は致しますか?」

「本来我々の仕事ではないがな。…パルティエータが集めた情報次第だ」

何の話だろう?
主語を出さないという事は多分俺にもあんまり聞かれたくない類いの話なんだろう。だったら側でしないで、とか、俺にも教えて、というワガママは言わない。
そもそも俺は騎士団員じゃないし、何でも教えて、というのは傲慢が過ぎるだろう。みんなが側にいてくれるだけでもありがたいんだから。

だから黙って紅茶を飲んでたんだけど…。

「スナオ」

「ん?」

「後で領地の散策に行くか」

「…多分歩けないけど…」

何せ下半身がまだジンジンヒリヒリしてるもんでね。

「抱いて行く。お前の目から見てこの領地がどう見えるか教えて欲しい」

「俺の?」

「ここにはある噂があってな。噂を知らないお前なら先入観が働かない。お前の目で見た景色が知りたい」

本来お前の仕事でもないが、と言われるけど。それって…俺も騎士団の仕事手伝わせてくれるって事?

「わかった」

ちょっと嬉しくなってこくこく頷く。
俺にも出来ることが増えるのは嬉しい!

その後ローゼンが呼んだブラッキル伯爵邸の使用人さん達が食事を運んできてくれて、ついでに湯浴みの用意も整っております、なんて言われて昨日のアレコレを知られている事を突き付けられ俺は恥ずか死ぬ思いをする。
そうだよね…。人んちのシーツとかぐっちゃぐちゃのデロッデロにしたんだもんね…。起きた時には清潔なシーツに替わってたし、きっと替えてくれたんだよね。

とりあえず、二人のお皿から甘くて美味しかった果物を強奪してジト目で睨んでおきました。

しおりを挟む
感想 91

あなたにおすすめの小説

獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果

ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。 そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。 2023/04/06 後日談追加

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新! Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新! プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…

こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』  ある日、教室中に響いた声だ。  ……この言い方には語弊があった。  正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。  テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。  問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。 *当作品はカクヨム様でも掲載しております。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

「今夜は、ずっと繋がっていたい」というから頷いた結果。

猫宮乾
BL
 異世界転移(転生)したワタルが現地の魔術師ユーグと恋人になって、致しているお話です。9割性描写です。※自サイトからの転載です。サイトにこの二人が付き合うまでが置いてありますが、こちら単独でご覧頂けます。

超絶美形な悪役として生まれ変わりました

みるきぃ
BL
転生したのは人気アニメの序盤で消える超絶美形の悪役でした。

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました

SEKISUI
BL
 ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた  見た目は勝ち組  中身は社畜  斜めな思考の持ち主  なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う  そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される    

処理中です...